自分のことを伝えるこわさを忘れてはいけない、「すぎなみのファシリテーション学習ワークショップ」から学んだ、安心につなげる場づくりの要【受講生課題記事】

※こちらはsentence schoolの受講生が、課題として作成したインタビュー記事です

ここ数年、「ファシリテーション」という言葉を教育分野で聞くようになりました。皆さんは「ファシリテーション」に対して、どんなイメージをお持ちでしょうか。

協働学習における教員の役割として、必要なスキルとして使用され始めた「ファシリテーション」という言葉。今では「教育ファシリテーション専攻」の大学院もあるほど、その重要性が認識されつつあるようです。

私も仕事柄(会社内・外)、場作りをすることが増えたので、先月ファシリテーションを学ぶワークショップに参加してみました!

参加したのは、山ノ内凜太郎さんが講師を勤める「【事前準備編】第11回すぎなみのファシリテーション学習ワークショップ」。

今回は、その中で一番の学びであった「安心の場づくりをするために、忘れてはならないこと」について、書いていきます。

大切な気づきをくれた「コンセンサスゲーム」

今回のワークショップは、ファシリテーションの要である『事前準備』を理論と実践を交えて学ぶ場。

凜太郎さんの講義に始まり、コンセンサスゲーム(『事前準備』として適切なことをコンセンサスで決定する)の後、導入プレゼンを実践して終了しました。

このワークショップの要であり、学びを得たのは「コンセンサスゲーム『場づくりの依頼』」。

今回は各グループをファシリテーターが集うチームとみなし、ある中学校の学校支援本部から2時間の会議進行の依頼を受けた、という状況のもと実施しました。

「事前の配慮」から、「テーブルの人数」、「使用物品」など8つのテーマごとに、選択肢が3つ与えられています。

まずは個人で、3つのうち適切だと考えたものを選択し、選択理由を一つひとつじっくり考えます。

その後、グループで話し合いながら、グループで一つの回答を選択する作業に入ります。

各々がこれまでのファシリテーターとしての経験や、参加した場に基づいて意見を交換するので、選択した答えには違いがうまれます。

特に「アイスブレイク」については、両グループとも合意形成に時間を要していました。

「アイスブレイク」の事前準備、あなたはどう考える?

この、「アイスブレイク」として適切な項目のディスカッションが、このワークショップの中で一番と言える気付きをもたらしてくれました。

今回は、

  • 学校支援本部には大学生から定年退職した校長など多世代が集まっている
  • 会議の時間を苦痛に感じている人が多い

という2つの条件のもと、以下の3つから「アイスブレイク」に必要な項目を選択します。

1.スキンシップを多くとる運動系のゲームで、お互いの新密度を高める

2.チームで協力する頭を使うゲームで、お互いの価値観を知る

3.それぞれがどんな想いで学校支援本部に参加しているのかを話せる時間にする

皆さんだったら、どれを選択しますか?

私は、2を選びました。

選択肢1は、スキンシップは抵抗がある人がいることから選びませんでした。

選択肢3は、思いを持って参加している人がいたとしても、それを言葉に出せるかどうかは別の問題であること。「やって、と言われたからやっている」という人が他の人が熱く思いを語っているのを見たら、熱量の差にひいてしまい、その後のコミュニケーションに良くないのでは、と考えたことが理由でした。

他の方からは、

「初対面から心を開いて話さないと、会議が進まない」
「本当にお互いの価値観を知ることができるのは、参加の動機を聴くことだと思う」

という声もあり、私のグループでは合意形成ができないまま、時間切れとなってしまいました。

そして、答えあわせの時。ファシリテーターの凜太郎さんから出た言葉は、

「正解は2番です。場づくりを主催したり、色んな場に参加してくると、自分の気持ちを伝えることに慣れてきて忘れがちになるけれど、自己開示は慣れていないと、とてもハードルが高いことなんですよね」

というものでした。

自分のことを伝えるこわさを、忘れてはいけない

きっと多くの人が、自分のことを誰かに伝えられるようになる前は、「拒絶されたらどうしよう」という不安。「自分なんかのこと話すのは抵抗ある」「自分の話なんかする価値ない」という気恥ずかしさ。「周りの人みたいな明るい夢なんてもってないよ」という諦めの気持ち持っていたのではないかと思います。

ですが、自分の話を受け入れてもらえて、誰かに話せるようになり、堂々と何十人、何百人もの前で何かを伝えることが当たり前の立場になってくると、「自分のことを話せない子・話さない子」の気持ちに寄り添うことが、難しくなってきてしまうこともあるかもしれません。

「ファシリテーションは、人が集まる場の価値を最大化するためのスキルであり、ファシリテーターは、中立の立場で場のゴールと前提を設定・共有して、ゴールへと先導する役割。ゴールは、参加者のためのもの」(凜太郎さん)

「人が集まる価値を最大化する」ためには、「安心できる」という土台が、前提としてなくてはならないのではないでしょうか。

それは、「自分のことを話してもいいと思えること」だけではなくて、「自分のことを話すことを強要されず、感じているこわさをも、受け容れてくれること」だと、私は思います。

授業にしても、友達関係にしても、人と人が二人以上いる場に身を置く時には、その場をつくっている一人の人間として、そのことを絶対に忘れてはいけない、と思うことができました。

凜太郎さん、参加者の皆さん、一日ありがとうございました。


山ノ内 凜太郎

杉並区で対話による交流機会を創る一般社団法人ISPの代表理事。「ファリシテーター」として杉並区地域コーディネーター養成講座の講師や、職員向けの研修講師として活躍。

一般社団法人ISP