贅沢なカクテルと世界一のパフォーマンスが楽しめるBar 不動前「Garden」【受講生課題記事】

Miho
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6 min readOct 11, 2016

※こちらはsentence schoolの受講生が、課題として作成したインタビュー記事です

東急東横線不動前駅から徒歩6分、山手通りから目黒不動の交差点を曲がったエムズビル3階に、フレアバーテンダーチーム「UPT」が経営するBar「Garden」がある。

「フレア」とは、お酒のボトルやシェイカー、グラスなどを投げたり回したりしながらカクテルを作ること(フレアバーティンディング)を指し、その技術を有する人をフレアバーテンダーと呼ぶ。

ここGardenには、2008年の世界大会で日本人初の優勝を果たした、金城光浩(MITSU)さんがいる。

店内は見渡せるほどの大きさだが、一人分のスペースが贅沢にとられており、お客さんはみんなリラックスしてお酒とご飯を楽しんでいるようだ。テーブル席にはカップルや仕事帰りの会社員、カウンターには一人客の女性も見られる。メインのスペースとは別に個室も用意されており、芸能人もお忍びで来るそうだ。

Gardenに来たら頼まずにはいられないのが、お店オリジナルのカクテル。金城さんによって数々の大会で作られたカクテルがメニューに並ぶ。沖縄の大会での作品「梨華-Kizuna-」は、味だけではなくグラスにもこだわりが込められていた。

△「梨華-Kizuna-」\1,200 福島で開催した復興支援チャリティイベントにも出品。

小さな花飾りと、原っぱをイメージするような緑色のモコモコ。淡いピンク色のカクテルが、花飾りを従えて咲いているようだ。

グラスをくちに近づけると、ふわっと甘い香りがただよってきた。カクテル用のフラワーパフュームを使用しているらしく、飲む前から贅沢な気分を味わえる。カクテルは梨のリキュール「梨園」とハイビスカスシロップがほんのりとした甘さを出しており、ジュース感覚で飲めてしまった。

ベルギーの世界大会へ出場した際に作られたカクテル、「アフターザナイトパーティ」は国ちなんだチョコレートの香りが印象的だ。

△「アフターザナイトパーティ」\1,200 お店は予約をして行くと、コースターに名前とコメントを書いてくれる。

チョコレートがシトラスとまざり絶妙な香りが楽しめ、グラスの脇にあるオレンジの飾りが優雅な気分を誘ってくれる。

「MITSUさんはどうして、フレアバーテンダーになったんですか?」カウンターのむこうでカクテルを作るMITSUさんに聞いてみると、爽やかに微笑んで話してくれた。

MITSUさんとフレアバーテンダーとの出会いは、とある横浜のBarに行ったことから始まる。当時20歳だったMITSUさんはアルバイト先の後輩に連れられ飲みに行った先で、初めてフレアショーを目にしたそうだ。

「見た瞬間、これだ!って思って、毎日そのBarに通ったよ。当時お金がなかったから、1,000円だけ握りしめて(笑)。Barでパフォーマンスを目に焼き付け、昼間それを練習して、また夜いって覚えて……。何日も繰り返したね。」

と、最初は独学だったというから驚きだ。通っているうちにBarの店主から「TGIフライデーズ」の紹介を受け、働きだしたのがきっかけで本格的にフレアバーテンダーとして始まったそうだ。

「TGIフライデーズ」は世界60か国で展開しているアメリカ発のカジュアルレストラン&バーで、「T.G.I.フライデーズ・ワールド・バーテンダー・チャンピオンシップ」というフレアの技を競う大会が年に1度開催されている。世界各国900店舗以上、約18,000人の従業員の中から一位を決定しているというこの大会に、MITSUさんは入店一年目に挑戦するも、最初はあっけなく予選落ちだったそう。

「もう悔しすぎて、ひたすら練習したね。仕事が終わるのが朝5時、そこから大会に必要な筆記の勉強を5時間、パフォーマンスの練習を5時間やって、また仕事に行く。毎日2~3時間睡眠で1年間、夢中にやったよ」

どうしてそこまで……と思うほどストイックなMITSUさん。その努力が花を咲き、後の大会では見事一位を獲得、日本人初の世界大会優勝も果たし、これまでに獲得したタイトルは40以上にもなるという。

「一度出場したら楽しくてやめられなくなってしまった」と語るMITSUさんは、世界大会出場のために、働いたお金を貯めていつもギリギリで生活していたそうだ。

「現地で使えるお金が食費や宿泊費を全部含めて3万円だけになった時もあったね。最終日は宿も泊まれないから、空港泊もあったよ。帰国までに給料が入ってないと成田空港から帰れないぐらいお金がなかった(笑)そこまでして行きたくなるくらい、大会はワクワクするんだよね」

話の節々から、フレアを愛してやまない様子が伝わってくる。「これからもずっと、Gardenでパフォーマンスを続けるんですか?」なんて聞いてみたら、もちろん、といった表情でこう答えてくれた。

「できる限りずっと続けていきたいよ。50、60代のバーテンダーってかっこよくない? お店でもお客さんがどうしたら喜んでくれるか考えて、パフォーマンスして、楽しそうな顔してくれると嬉しいよね。まぁ結局のところ、楽しくてしょうがないからやめられないっていうのが本音かな!」

店名:Garden
住所:東京都目黒区下目黒2–15–10 エムズ目黒3F 4F
不動前駅徒歩6分
電話:03–5435–2335
営業時間:ランチ 11:30~(水曜日のみ営業)
ディナー 19:00~翌4:00(L.O3:00)

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Miho
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旅とらくだが好きです。 旅のこと、インタビューや取材を中心にライターしてます。