ファッション×IT 渋谷から世界へーー『SENSORS SHIBUYA FASHIONCODE WEEK』イベントレポート【受講生課題記事】
※こちらはsentence schoolの受講生が、課題として作成したインタビュー記事です

2016年8月15日、渋谷道玄坂のFabCafe MTRLにて『ファッション×IT 渋谷から世界へ』をテーマとしたトークセッションが行われました。
トークセッションは、8月15〜21日の7日間”ファッション×テクノロジー”をテーマに開催された、WEB・TV・イベントを連携させたイベント『SENSORS SHIBUYA FASHIONCODE WEEK』のオープニングセッションとして開催されたもの。
本記事ではトークセッションの模様をお伝えいたします。
ファッションとテクノロジーが交わる街、渋谷
ファッションの街として知られる渋谷ですが、多くのIT系企業、特にスタートアップが集まる街としても知られています。まさに渋谷は、ファッションとテクノロジーが交差する街なのです。

トークセッションでは、渋谷という街の未来を考える渋谷区長の長谷部健さん、渋谷に拠点を置くファッション×テクノロジーのスタートアップ企業として、『GINI』や『MINE』を運営する3MINUTEの代表取締役・宮地洋州さん、『STYLER』を運営するSTYLER株式会社の小関翼さん、そして”クリエイティブを流通させる”をテーマにクリエイター支援や、本イベントの会場となった『FabCafe』を運営する株式会社ロフトワークの林千晶さんの4名がゲストとして登壇。モデレーターには、イベントを主催する『SENSORS』編集長の西村真理子さんを迎え、計5名でトークが繰り広げられました。
事前予約制のチケットは完売に。会場では名刺を首から下げるスタイルで筆者がリサーチした限りでは、ファッション、テック、メディア、スタートアップと幅広い分野に携わる人々が集まっており、ファッション×テクノロジーの注目度の高さを物語っていました。
ファッション視点で見た『渋谷』

渋谷区という枠組みの中には渋谷・原宿という2つのファッションカルチャーを生みだす街が内包されています。隣接するこれらの街は、相互に影響を与えながらファッションカルチャーを生みだし続けてきました。
渋谷エリアはターミナル駅として発展を遂げながら、1973年にPARCOが開業しファッションカルチャーの源流を生みだします。一方で原宿エリアは、「治安の良い文教地区で地価が安かったこともあり、東京で一旗あげようと考える人が住む街として発展していった」と、渋谷区長で自身も渋谷で生まれ育った長谷川さんは語りました。
渋谷では80年代前半には竹の子族が生まれ、その後渋谷では渋カジ、原宿でDCブランドとそれぞれに大きなファッションカルチャーを生みだします。そこからギャル文化、裏原系のように時代と共にあらたなトレンドを生み続けたのが渋谷なのです。
ファッション系スタートアップ『3MINUTE』を立ち上げた宮地さんも「渋谷には109やキャットストリートのようなファッションの中心地があって、世界の有名セレブも遊びにきます。原宿も含めさまざまなトレンドやカルチャーが生まれ続けるこの場所をスタートの地にするのはすごくいいなと思ったんです」と語るように、ファッションをフィールドに戦おうと考えた時、渋谷という街を選ぶのは必然といえるのかもしれません。
テクノロジー視点で見た『渋谷』
ファッションの文脈の裏側で、渋谷は90年代後半から『Bit Valley(ビットバレー)』と呼ばれるテック系スタートアップ都市として成長してきました。渋谷がスタートアップ都市として成長してきた理由は大きく2つ上げることができます。
1つは土地の値段。
「渋谷って家を借りるにも土地代や賃貸の価格が高いんでしょ?」という印象を抱いている方も多いはず。都内を相対的に見れば決して安い方ではないものの、実は渋谷の地価を調べると面白い特徴があるとロフトワークの林さんは語りました。
林「渋谷の地価をリサーチしてみると、目抜き通りに面した場所は、日本で一番地価が高いと言われる銀座に近い水準にもかかわらず、1本裏に入ると一気に値段が下がるんです」
事業を成長させ「いつかは一等地にオフィスを」と考えるスタートアップにとって、一等地のすぐ近くで働くことはモチベーション維持にも効果的。だからこそ一等地のすぐ近くの安い物件で、虎視眈々と表舞台に登場するタイミングを狙っているのです。
渋谷と同様の理由で、スタートアップ都市として発展しているのがベルリンです。ベルリンの最大の特徴は物価の安さ。ロンドンやパリといった他の主要都市と比べると生活費をおさえやすいベルリン。小さく始めるスタートアップにとっては、固定費が安く住む場所というのは、立ち上げの場所として魅力的なのです。
もう1つはコミュニティの力。
ベルリン、渋谷、そして他のスタートアップが集まる都市。なぜ多くのスタートアップが1カ所に集まるのか。その理由はコミュニティにあります。『STYLER』を立ち上げた小関さんが渋谷を創業の地に選んだのも、コミュニティを重視したからだったそう。
小関「僕が渋谷を選んだのはコミュニティが生まれやすい場だからです。コミュニティをベースとした関係構築を考えた時に、さまざまなコミュニティが生まれる渋谷はビジネスの場として非常に適していると思います」
会場となったFabCafeもまた、渋谷という地でコミュニティを生み出す装置として機能しています。FabCafeがある場所は当初、人通りが少ないため、ビジネス視点で見るとカフェをやっても上手くいかない場所といわれていました。
しかし、駅から離れた場所だからこそ目的を持った人だけが集まり、かつお客さんのほとんどはFabに興味があるという共通点を持っています。その特徴的な場所だからこそ、イベントやワークショップを行うと、FabCafeを中心としたコミュニティが生み出されやすいのです。
テクノロジーの文脈ではシリコンバレーのように同じエリアでスタートアップが競い合い高め合うのが一般的です。人が集まるからこそコミュニティが生まれますし、渋谷の場合は歴史があることでコミュニティが成熟してきています。渋谷のもう一つの顔は、テクノロジーの発展を支える成熟したスタートアップ都市なのです。
ファッション、テクノロジー、それぞれの視点から渋谷を見ていった本イベント。トレンドや歴史、地価といった多様な条件ながそろったことで、渋谷はさまざまなものが混じり合う希有な場所として成立していることが明らかになりました。
歴史的にも、現状を踏まえても、ファッションとテクノロジーの融合が起こるべくして起こるであろう都市、渋谷。今後もファッション×テクノロジーを追う上で見逃せないエリアです。