ライティングコミュニティ「sentence」では、毎月第2・4金曜日の夜に『文章談話』というイベントを開催しています。
文章談話では、明確なテーマを設けず、ライティング・編集を中心に最近に気になっていることや、疑問を話し合っていきます。
4月15日に開催した「文章談話」に参加してくれたのは、既にライターや編集者として活動している方や、企業のPR担当者、これからライターを始めたいという方々。
参加者同士で軽く自己紹介をした後、ライティングに関する疑問や関心事、最近の疑問などをポストイットに記載。記載したものの中からテーマを選び、主催者のモリと西山が答えていくといったかたちで進んでいきました。
本記事では、その場で上がった話題をもとに、モリと西山が語った内容の一部をご紹介します。
文章を書くうえで、フィードバックを得る機会は必要か
Q:文章を書く仕事に携わるうえで、フィードバックを得られる環境は、やはり重要でしょうか?
コンテンツマーケティングなど、ライター以外の人でも文章を書き公開する機会が増えるいま。出版社や編集プロダクションといった文章を扱う仕事を経験を経ずとも、未経験からライターのような仕事を任される機会が増えてきました。身近に、ライティングや編集の経験者がいれば、文章へのフィードバックを得ることもできますが、そもそも文章を書く上で、フィードバックを得ることの価値はどこにあるのでしょうか。
西山「フィードバックを得る機会はとても大切だと思います。それは、文章を書く人は自身の文章に責任を持たないといけないから。責任を持つためには意図通り正しく伝えられる文章を書かなければいけません。そのためには、客観的な視点がもとめられます。文章を他の人に見てもらう経験は客観的視点を簡単に取り入れることができる。他の人に見てもらうを経験を通して、自分の文章も客観的に見ることができるようになるんです。
ただ、文章を誰かに見てもらう経験は必要ですが、見てもらう相手が必ずしも、ライティングや編集を経験している人である必要はありません。結局、その記事を読む大半の人は、一般の読者ですから。
純粋に、分かりやすいとか、わかりにくだけでもいいわけです。身近な友達でもいいので、自分の書いた文章にコメントをしてくれる仲間を見つけることが重要です」
書いた文章は、自分だけが読むのではなく、読者に読んでもらう必要があります。やはり、読者視点のフィードバックを得られる環境というのは、大切なようですね。
sentenceでも「記事フィードバック」といって、会員の方が投稿してくれた文章に、会員どうしでフィードバックや感想をコメントする取り組みを行っています。まだ経験が浅い、もしくは経験のない人の方が、読者視点でフィードバックできるといった目的も兼ねています。
作家・ライター両方を目指すことは難しい?
Q:周囲はどちらかに決めろといいますが、わたしはライターにもなりたいし、作家にもなりたいと思っています。「どちらにもなりたい」、その点に関してどう思いますか?
ライターをしている人、もしくはこれからなりたいと思っている人のなかには、少なからず作家になりたいと思っている人がいるかもしれません。今回の質問に対し、西山とモリは、どちらも目指せるとした上で、作家になることがゴールではないことや、それ相応の努力が必要になることも忘れてはいけないと、指摘。さらに作家としてのスキルと、ライターとしてのスキルは、相性がいいと語ります。
西山「両方目指せると思いますよ。実際に作家とライター、両方を仕事にしている人はいます。ライターと作家は、根本的にやっていることが違いますが、二足のわらじを履いている人がたくさんいるのも事実です。それこそ作家さんがライターのような仕事を依頼されていることもあるますね。
個人的な思いをお話しすると、ぼくはなろうと思っているものにはなれると思っています。これは何も「信じれば、自分のなりたい自分になれる!」みたいなことを言っているわけでなく、純粋に自分が今なれると思っているものはなれますよ、という意味です。
例えば、いくらかっこいいからといって、いまから「サッカー選手なりたい」とは思わないじゃないですか。でもいま「作家になろう」と思っているのであったら、それは突拍子もないことではなく、自分がなれると想像しているから「作家になりたい」と考えているはずです。
もちろん、作家になることがゴールではないことも、頭に入れておくべきだとは思います。何になりたいのかを探しつつも、「何を伝えたいのか」ということが重要です」
モリ「たいていの人は1つしかなれないと思っているんです。実際、『何がやりたい?』といった1つに限定されるような質問しかされないですよね。なので、なりたいと思うことが複数あるのであれば目指したらいいと思います。しかし、なりたいものが2つあるということは、1つを成し遂げる以上に相応の努力が必要です。そこは現実として把握しておくべきです。
ただ、作家としてのスキルとライターとしてのスキルは、重なり合う部分も出てきます。例えば「村上龍」は作家ですが、ライターが行う取材のようなフィールドワークをこなしつつ、ストーリーによりリアリティを加えることで、小説を書き上げることもあるそうです。
ですからぼく個人としては、現在、ライターとして行っている取材の先に、そういう道があるのかなとも考えています。ある一定数の人に「何かを伝えたい」と思ったとき、リアリティをもたせつつ、そこにストーリーをのせていくことは必要だと思うので。作家としてストーリー紡ぎ出す力とライターとしての取材力。この2つをつなぎ合わせることは、何かを伝えるにあたって、相性がいいと考えています」
ライターと作家を別々の職業として捉えてしまうと、両者には途方もない溝があるように感じるかもしれません。しかし、伝えるための手段として、ライターのスキル、作家のスキルを考えてみると、そもそも、ライターと作家は別の仕事ではなく、重なり合う部分が見えてくるかもしれません。2人の発言を聞いていると、その職業を通して、何を伝えたいのかが、重要なようですね。
sentenceが運営するオンラインサロンでは、今回記事で紹介したようなライティングまつわるイベントの記事や、会員による記事への相互フィードバックを行っています。ご関心のある方はぜひsentenceをチェックしてみてください!
一ヶ月短期集中でライティングの基礎から、取材、編集までを学ぶ『ライティング基礎ワークショップ』を、co-ba schoolにて、6月6日に開講します。