社内で「90分で体験するデザイン思考ワークショップ」を開催してみた

kamiru78
Shibuya design engineering
8 min readMar 28, 2019

開催の経緯

1ヶ月ほど前に私がEirene Management Schoolで4日間のデザイン思考研修を受講したのですが、その研修の最初に「90分でデザイン思考を一通り体験する」というワークがありました。まずは体験してみるというところがこれからデザイン思考を知りたいと思ってる人にもちょうどいいのではないかと思い、社内のワークショップとして企画しました。
なお、ワークで使うシートはEirene Management Schoolさんから社内利用であればOKといっていただいていたのでほぼそのまま利用させてもらいました。

参加者募集の呼びかけ

タイトル : 90分で体験するデザイン思考ワークショップ
募集文言 : ものづくりにおいて、よりよいものをつくる手法・成功の確率を上げる手法として最近よく耳にするようになったデザイン思考ですが
説明を聞いたり読んだりするだけではなかなか理解しにくいものです。
今回開催するワークショップで手を動かして体験しましょう。
前提知識は必要ありません。
前半で、あるテーマで5つのプロセスを実際に手を動かして体験し
後半でやったことを振り返りながらデザイン思考の5つのプロセスと全体像について解説します。

当日は参加者15人+運営4人+見学で20人くらいになりました。

当日のアジェンダ

前半の座学 : 5分
ワーク : 60分
後半の座学 : 20分

前半の座学

「デザイン思考とは」の簡単な説明と、5つのプロセスの簡単な説明

前半の座学

ワーク

ワークのテーマは「財布を新しくデザインする」です。本家のd.schoolでもやってるワークのテーマのようです。
共感 : ペアになってインタビュー
問題定義 : POV Madlibのようなフォーマットでユーザー・ニーズ・インサイトをまとめる
創造 : ペアを変えてブレーンストーミング
プロトタイプ : 画用紙で作成(すぐ壊せるもの)
テスト : インタビューした人へ渡してフィードバックをもらう

プロトタイプ作成の様子
作成したプロトタイプ①
作成したプロトタイプ②

後半の座学

1つ1つのプロセスを掘り下げて説明しました。ワークを通して一通りのプロセスを体験した後なので、納得感をもって聞いてもらえたようでした。
共感 : インタビューで聞けることはその人の表層的なことで、その裏にある考え・気持ち、さらには価値観や信条のようなものはインタビューの後で推測する。
問題定義 : GEのMRIの例でユーザー・ニーズ・インサイトのまとめ方を紹介。
創造 : アイデア出しをする前に問題を絞り込むことの必要性や、他の手法の紹介。
プロトタイプ : 時間をかけてつくると、捨てるのが惜しくなるということ(アイデアも含めて捨てられなくなる)。ソフトウェアだったらどういうプロトタイプが適切か。
テスト : みんながそれなりに評価してくれるものより、1人でも熱狂的に好きになってくれるもの目指す。
全体 : 失敗の重要性、失敗を繰り返して成功に近づいていくこと、どう小さく・低コストに失敗するか。

ワークショップの企画として工夫したこと

  • 座学だけやってもわりにくいと思ったので前半の座学は軽め、後半重めの比重にした
  • 事前に1回身内でやってみた→詳しくは後述します

事前に身内でやって失敗してみた

身内というのは普段勉強会をいっしょにやっている、このブログのグループのメンバーです。デザイン思考の心得の中に「素早く失敗する」「コスト低く失敗する」という考え方があると思いますが、まさにそれで、社内とはいえ知らない人もたくさんくるとなると失敗したらどうしようと思っていましたが、身内で1回やって失敗しておくことで、改善点も事前に出せたのと、なんとかなりそうだなという感覚も得られました。

迷ったこと・大変だったこと

2人ペアを知り合い禁止にするかどうか

最初の共感フェーズでお互いインタビューをするペアで、研修では知り合いは避けてと言われていました。
実際インタビューするときも知り合いだと最初から深いこと聞けてしまうので楽なのですが、実際には知り合いではない人をインタビューしなければいけない場合がほとんどなので、その難易度に慣れておくのは重要かと思います。
ですが、今回は気楽に進めたかったのと運営も慣れない部分があったので特に制約はつくらないことにしました。最初の1回目としては楽しくできたのでいいかなと思います。

4人チームを運営側で事前に決めてしまうかどうか

振り返りなどで組んでもらう4人チームです。
こちらも内輪での盛り上がりを防ぐなどのメリットはありますが、運営を楽にするため来た人から席を詰めてもらうだけにしました。こちらも楽しくできたのでOKとします。

座席の配置

押さえた会議室はセミナールームと呼ばれる会議室で長机に椅子が並んでいる状態でした。(最初の写真参照)
理想はミニ机つきの椅子だけにして、ペアの人と向かい合わせにしたかったのですが、椅子だけにするとメモ取りにくかったり、プロトタイプ作成でも机が必要になるのでやめてこちらも運営が楽な方法にしました。長机はそのままで横で向かいあってもらったり、縦で机を挟んで向かいあってもらいましたが実際やってみると意外と問題ありませんでした。
また、運営メンバーがお菓子と水を用意してくれていたので初対面の相手でも打ち解けやすかったと思います。

道具を買いそろえること

ほとんどがプロトタイプ作成で必要な道具ですが、1人で買いに行って意外と大変でした。何人かでワイワイいけば楽だったかもしれません。あと100均で殆どのものが売っていることに驚きました。

買ったものリスト

  • ハサミ
  • 色画用紙
  • セロテープ
  • 両面テープ
  • ホッチキス
  • 付箋(会社の備品)
  • ボールペン(会社の備品)
  • サインペン(会社の備品)
  • これらを入れる道具箱
  • 時計

時計はタイムタイマーとデジタルの時計と迷いました。タイムタイマーはこのようなワークショップでは定番なのですが、3分や5分とか短い時間だと残り時間がつかみづらいく、研修でつかってたデジタルが見やすかったので試しにデジタルにしてみました。予算に余裕ができたら使い比べてみたいと思います。
タイムタイマー : https://www.amazon.co.jp/dp/B000J5OFW0
今回買ったデジタルタイマー : https://www.amazon.co.jp/dp/B07L4PFRMX/

道具箱に収納

当日・事後の反省

  • ワークの説明で説明不足なところがあった
    →次に活かします
  • みんなやるからにはちゃんとしたものつくりたいので、1つ1つのワークが3分や5分のため「時間がない!」となりがちだった
    →「時間足りない前提だし、上手くいかなくても大丈夫」「むしろ今回失敗することが大事」ということを事前に繰り返し伝えればよかったです。
  • 募集のときにもっと初心者OKをアピールすればよかった(事後のKPTから)
  • ワークが終わった時点で90分経過していて、20分ほど延長した
    →120分より90分のほうが気軽に参加できるというメリットはありますが、次回は試しに120分でやってみたいと思います。

よかったこと・まとめ

  • ワークはみんなわいわいして楽しそうだった(タイマーが鳴ってもなかなか手を止めてくれないほど)
  • 事後アンケートでデザイン思考の理解が深まった人がほとんどだった
  • 完璧に準備するとあと1ヶ月くらい後の開催になったと思うが、ある程度大丈夫そうだと思ったらやってしまったこと(改善点は次に活かす)
  • 日程の都合で参加できなかった人もそれなりにいたので第2回も計画しようと思います。

最後にアンケートの結果を一部紹介します。

回答いただいた全員から「役立った」以上の評価をもらえました
理解度が平均で1.75→3.25に上がりました

自由回答では手を動かして体験できたのがよかったという意見や、うまくいかなかったフェーズがあったがそれが振り返れて逆に良かったという嬉しい意見もいただきました。

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kamiru78
Shibuya design engineering

最近の興味はデザイン思考とDeepLearningとKotlin