M&Aやったことない人による『JTのM&A』感想

shinozw
Shinozawa’s Good Read
2 min readJan 11, 2016

2兆2500億円のM&Aなんて「まあ自分はやらないだろうけどな」という縁遠い話だが、そこに至るストーリーや、過程で磨かれた経営哲学には感じ入るものがあった。

日本たばこ産業というと元専売公社。本書では、戦前のビジネスから民営化まで綿々と続く経営課題をどのように俯瞰的にとらえて吟味した結果M&Aに至ったという経緯がよくわかる本になっている。といっても歴史がつらつら書かれているわけではなく、「こういう流れであるから、このようにして危機感を持って取り組んだよ」という書き方なのでスッと読めた。

しかしながら、私はたぶん兆円規模のM&Aはやらない。気になることといえば今後のことである。だいいち、今後もJTが海外M&Aでさらに業績を伸ばすのだろうか?より上位を食う?そんな馬鹿な。じゃあ何するか。ベンチャー投資やイノベーションと言うものに期待が集まっているのではないだろうか。

本書にもあったように、M&Aに合わせた社内体制をつくるために社内に負荷をかけて体制をつくることを大事にしていた。そこで小規模のM&Aを練習機会のようにし、膿を出して問題を解決し、自主的で強い組織に変えていった。また、M&Aは「究極の経験者採用」と位置づけ、人材・組織開発の視点を強く持っていたこともわかった。財務・コーポレート部門の強化やの統合作業を担当するような部署の人材育成、また、CFOが率先してビジョンを示したり、統合後の社内風土改革も重要と書いてあった。では、これからのベンチャー投資やイノベーションにおいてはどうだ?新貝さんや筒井さんのBD(事業開発)チームは、まず体制をつくりに動くのではないだろうか。

こんな読み方をするのは本来邪道なのかもしれないが、私は本書からM&Aについて学ぶ気があまりなかったのかもしれない。その代わり、「これからJTがどう動くのか、新貝副社長が何を大切にしているのか」知りたかったのだと思う。

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shinozw
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放て心に刻んだ夢を未来さえ置き去りにして