培養肉と健康 −生活習慣病予備軍の救世主となるか
60%。
日本人の死因の内、がんや心疾患、脳卒中を含む生活習慣病が全体に占める割合です。
運動、喫煙、ストレスなど、その原因は様々ですが、特に日々の食事は、生活習慣病の原因として大きく取り上げられています。
戦後の日本では、人々の食生活が大きく変化し、魚と野菜中心の食事から、畜産物と油脂が大幅に増加しました。
その結果、元来調和の取れていた脂質、糖質、タンパク質のバランスが崩れ、生活習慣病の蔓延につながったと言われています。
しかし、食の西洋化が進んだ今、急に食生活を変えろと言われても、それは容易ではありません。
無理に食生活を変えれば、却ってストレスが溜まり、結局継続出来ないことも多いのではないでしょうか。
そんな現代人の食生活を大きく変えること無く、健康の維持を助ける食材のひとつとして、培養肉が注目されています。
培養肉の生活習慣病予防効果
培養肉とは、今までの畜産業の常識を覆し、牛や豚などの動物の細胞を摘出し、その細胞を培養することで食肉を創り出すという全く新しい製法で作られた食肉です。
カルチャード・ミート(Cultured Meat)や、イン・ヴィトロ・ミート(In-vitro meat)とも呼ばれています。
培養肉が健康促進効果をもたらすと言われる所以は、その製造方法にあります。
筋肉細胞でできたこの牛肉は、ウシから採取した筋肉細胞のサンプルを研究所で培養してつくられた。採取した組織は小さく刻まれ、脂肪と筋肉細胞に分けられた。その後、個々の筋肉特有の幹細胞を輪の形に培養してから切って鎖状になるようにした。こうしてできた鎖を重ねて、シート状にして、牛肉の固さを表現した。
上記は、Wall Street Journalの記事「細胞から培養した人工牛肉で作ったハンバーグ、お味は?」から抜粋した一文です。
上記の通り、脂肪と筋肉細胞を分けて、それぞれの細胞を培養し、後ほど成長した組織を混ぜ合わせることから、培養肉の脂肪分を好みの配分に調節することが出来るのです。
しかし、生活習慣病の原因は決して脂質の量だけではありません。
食肉が豊富に含む飽和脂肪酸は、魚介に多く含まれるオメガ3脂肪酸や、植物に含まれるα-リノレン酸に比べて、心疾患や成人型糖尿病を引き起こしやすいと言われています。
今後培養肉の開発が進めば、飽和脂肪酸を、オメガ3脂肪酸やα-リノレン酸と置き換えて食肉を培養することも可能になるでしょう。
更に、牛肉等の赤肉は、結腸がんとの関連性が長らく指摘されてきました。
これは、人間が肉食動物でありながら、他の肉食動物が持つ糖質分子(Neu5Gc)を持ち合わせておらず、赤肉が体内に流入した際に、人体がこの赤肉を「侵入者」として扱うことが原因だと言われています。
まだ実験の段階には至っていませんが、もし糖質分子「Neu5Gc」を取り除くことが出来れば、結腸がんのリスクも抑えることが出来ると期待されています。
培養肉はいつどこで手に入る?
残念ながら、培養肉はまだ皆様の手に届く状態にありません。
生産技術が十分に発達していないことから、培養肉100gあたりの値段は、現在数百万円から1,000万円ほどに登ってしまうのです。
値段のみならず、味の改良や更なる安全性の追求を考慮すると、一般的なスーパーマーケットに並ぶまでには、あと10~20年程度の月日を要すると考えられています。
しかし、他の技術と同様に、社会による理解と産学官のスムーズな連携によって、皆様の食卓に培養食肉が並ぶ日が近づく可能性はおおいにあり得ます。
健康面のみならず、農業による環境負荷の低減や動物愛護の観点からも大きな注目を集める培養食肉技術を日本がリードして行けるように、ぜひ今後ともShojin Meatへのご協力を何卒宜しくお願い申し上げます。
ご協力のお願い
①メンバー募集
Shojin Meatは、培養食肉の開発に携わるメンバーを募集しています。
以下の職種にご興味頂ける際には、ぜひウェブサイト内コンタクトページよりご連絡ください!
・臓器培養/細胞培養/組織工学がご専門の方
・IP戦略の策定及び実行が出来る方
・ファイナンス戦略の策定及び実行が出来る方
・本メディアにおけるライター
・培養食肉技術向けの研究室を提供頂ける方
②実験器具
細胞用インキュベーター、冷凍庫等の保存機器、減菌系機器、顕微鏡、シャーレなど、不要になった実験器具はございませんか?
お心当たりがございましたら、ぜひウェブサイト内コンタクトページよりご連絡ください!
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