細胞農業での資源サイクル

Shojinmeat Projectでは、宇宙での食料生産システムも視野に入れた研究開発をしています。そこでは、純肉生産で出てくる産業廃液の再利用を取り入れた資源循環システムを考えています。ここでは、培養液の扱いについて解説します。

純肉の原料となるのは、元となる細胞と培養液です。元となる細胞は生きた動物から採取されます。その一方で、培養液は生産する必要があります。

培養液の要素は大きく3つに分けられます。

ひとつめは基礎培地と呼ばれ、細胞を構成する成分であるアミノ酸や糖、ビタミン、無機塩類を含み、細胞の栄養源になります。

ふたつめは血清成分と呼ばれる成分です。血清は血液から赤血球などの固体成分を取り除いた液体で、アルブミンやインスリン、トランスフェリンなどを含んでいます。血清はホルモンの供給源としての働きや、pH緩衝液としての働きなどが知られています。

みっつめは微量因子と呼ばれる成分で、細胞の生存や増殖に必要です。一部は「ホルモン」とも呼ばれています。必要な微量因子は細胞の種類によって異なります。

これまで、血清成分や微量因子は外から加えていましたが、ほかの細胞に作らせて流し込むこともできます。この技術により、細胞培養に必要な成分をその場で自前調達できることが見込まれます。

わたしたちが目指す細胞培養システムは、培養液を藻類からつくり、培養後の廃液で藻類を育てる循環型のシステムです。藻類は光、水、CO2、微量のミネラル類で育ちます。光エネルギーを利用してCO2を油脂や炭水化物、細胞の生育に有用な物質に変換します。

藻類が作ったバイオマスから、酵母の力を借りるなどして栄養液を作ります。これにより基礎培地成分と酵母ができ、培養液を調製できます。

細胞培養に適したpHに調製した培養液は、循環型細胞培養システムに入れられます。このシステムでは様々な種類の細胞がいっしょに培養されます。それぞれの細胞からは成長因子やアルブミンといった成分が分泌され、別の細胞のところに流れて作用します。この中で、筋肉の細胞は大量に培養され、純肉として出荷されます。

廃液には、細胞増殖に使用されなかったさまざまな成分が多量に残っています。例えば、蓄積した乳酸により培養液は酸性となります。

廃液は微生物の力によって、藻類が利用可能な栄養素まで分解されます。それを利用して藻類を育てれば、循環型のシステムができます。

このシステムにより、宇宙船や火星コロニーのような閉鎖空間でも、極めて少ない資源で食料が生産できるようになります。これは、地球での食糧問題にも重要な意味を持つでしょう。

著: IGA

参考動画: 「火星培養食糧工場 Shojinmeat Nirvana Alpha VRツアー」

https://www.youtube.com/watch?v=YdELM3xjmr0