5年後、ついに「培養肉」が食卓に並ぶ

日本でも話題になった「培養肉」を開発したオランダのチームが、ついに企業としての活動を開始すると発表しました。

ハンバーガー1つを作るのに3,500万円かかるとされていた同チームの研究ですが、今回の発表によれば、細胞培養及び組織工学技術を駆使して作られる培養肉(In-vitro meat 【イン・ヴィトロ・ミート】)を5年以内に市場に投入する予定であるとBBCをはじめとするメディアが伝えています。

培養肉(イン・ヴィトロ・ミート)とは?

培養肉(イン・ヴィトロ・ミート)とは、牛や豚等の食肉の幹細胞を取り出し、ペトリ皿の中で細胞を培養することで生産出来る食肉です。

その生産方法は、日本でも成長産業として期待される再生医療の技術に相似しており、近年急速な発達を遂げている細胞培養及び組織再生技術が核を成しています。平たく言えば、体内で細胞が育つ環境と行程を体外に再現する技術と言えるでしょう。

赤肉がペトリ皿の中で成長すると考えると異質に感じてしまうのもやむを得ませんが、育つ環境が体内から体外に移っただけで、遺伝子組み換え等の技術は一切使われておりません。

なぜ食肉を培養するのか

培養食肉は、既存の畜産業とは異なり、動物に与える苦痛が少なく、エネルギーや水資源の消費が少ないことから、培養肉技術は食の安全保障に貢献する次世代の畜産方法として大きな注目を集めています。

特に、環境負荷の面では、生産に伴う7~45%のエネルギー利用量削減、78~96%の温室効果ガス排出量削減、99%の土地利用量削減、82~96%の水資源利用料削減が期待出来るとの報告もあり、今後2050年までに人口が90億人に達すると言われる中、環境に負荷をかけずに食の安全保障に貢献する食肉生産方法として大きく期待されています。(正確な数値は、生産する食肉の種類に依存します)

また、別記事「培養肉と健康 −生活習慣病予備軍の救世主となるか」でも紹介した通り、その独特の生産方法によって、健康への効果もひとつの可能性として取り上げられています。

大量生産へのハードル

メリットが多い培養食肉ではありますが、2013年時点でその値段はハンバーグ1つあたり驚きの3,500万円であると、前述のオランダのチームは報告しています。

当然この値段では誰も日常的に食することは出来ないため、同チームは今回のベンチャーアウトを皮切りにスケール化を図り、消費者の手の届く点まで価格を押し下げることが狙いであると考えられています。

試算ではハンバーガー1つの値段が1,400円程度まで下がると言われておりますが、一般的な牛肉から見れば数倍の価格ではあるため、まずは環境保護や動物愛護をスローガンに、高級路線でマーケティングを行うことが予想出来ます。

また、こうした新しい技術を駆使した食品が市場に出回る前には、アメリカの食品医薬品局(FDA)をはじめめとする機関から安全性の認可を受ける必要もあります。今回、同チームが主催したシンポジウムの中で「5年以内の販売」と宣言したのも、大量生産技術の開発と認可の獲得にまだ相当な時間がかかることが背景にあるのでしょう。

肝心の味は?

ほとんどの消費者にとって、なぜ肉を食べるのかと問われれば、「美味しいから」の一言に尽きるでしょう。

今まで公に行われた数少ない培養肉試食会の参加者の反応を見てみると、「ジューシーではないけど肉に非常に近くて、食感は完璧だ」との声が上がっています。

「ジューシーではない」理由として、試食会で出された培養肉は、牛の筋肉組織だけを培養していることが挙げられます。

もちろん皆様が日々食す肉には多分な脂肪分が含まれており、今後脂肪と筋肉両方の細胞培養プロセスに磨きがかかれば、通常の肉に見劣りしない味の培養肉が誕生するでしょう。

5年後、実際に培養肉がスーパーに並んだ時、あなたなら手を伸ばしますか?

日本発Shojin Meatも

食肉を従来とは異なる方法で育てる取り組みは、何もオランダに限られたことではありません。

アメリカでは既にModern Meadowをはじめとするベンチャー企業が細胞培養技術を駆使した食肉や牛皮の研究開発を進めており、有名投資家であるPeter Thiel氏も出資しています。

そして、何を隠そう我々Shojin Meat ( www.shojinmeat.com )も、培養食肉の開発を通じて、持続可能性の高い食料生産を画策している団体のひとつです。

先日初めて公にプロジェクトを発表し、幸いにも最優秀賞を頂く運びとなった「第2回アグリサイエンスグランプリ」を皮切りに、「精進」や「ベジタリアニズム」発祥の地であるアジアから食料生産に関わる様々な問題の解決に取り組んでいます。

また、我々は、消費者の皆様とのコミュニケーションを、技術開発と同等に重要なミッションとして位置付けています。

技術ばかりが先行して、皆様のご意見や社会のニーズとの間に乖離が生まれないように、今後も本メディアやウェブサイトを通じて公正な立場から情報の共有を図りたい所存です。

ご協力のお願い

①メンバー募集

Shojin Meatは、培養食肉の開発に携わるメンバーを募集しています。

以下の職種にご興味頂ける際には、ぜひウェブサイト内コンタクトページよりご連絡ください!

・臓器培養/細胞培養/組織工学がご専門の方
・IP戦略の策定及び実行が出来る方
・ファイナンス戦略の策定及び実行が出来る方
・本メディアにおけるライター
・培養食肉技術向けの研究室を提供頂ける方

②実験器具

細胞用インキュベーター、冷凍庫等の保存機器、減菌系機器、顕微鏡、シャーレなど、不要になった実験器具はございませんか?

お心当たりがございましたら、ぜひウェブサイト内コンタクトページよりご連絡ください!

上記に該当されない方も、コンテンツの閲覧や拡散を通じて引き続きご支援を宜しくお願い致します。