創作の限界

いい着想を得た。1行が80文字、1ページに40行、1冊が410ページ。これをひらがな、カタカナ、漢字、数字、ラテン・アルファベット、ギリシア・アルファベット、キリル・アルファベット、その他ともかく文字という文字を使って埋めていくのだ。

もちろん、一巻目は「あ」で1,312,000文字を埋める。二巻目は、最後の一文字を「い」に変える。いや、それとも最初の一文字を「い」に変えたほうが面白いだろうか。そうだ、スペースと改行も加えよう。きっともっと面白くなる。

もうあらゆるアイディアは書き尽くされてしまった。著作権の問題ではない。ただ、書き尽くされてしまった。この10年、どこかで読んだことがあるようなものしか刊行されていない。そんなものよりもずっと独創的だろう。万が一、既にある著作と同じ文字列になったとしても、それくらいは自動的に確認できる。

書くのは自動でできる。そして読むのはきっと刺激的であるに違いない。

新しい著作を読める。それを想像しただけで胸が踊る。なんで誰もやらなかったのだろう。書き尽くされたアイディアにしがみついている必要などない。新しい文学が読める。

恍惚とも言える気持ちに私は浸っていた。