32年め
父親は封筒を受け取り、中の印刷物を眺めた。一枚の電子ペーパーが入っていた。父親は子供の学校に登録してるものと組になる鍵をバッジを近づけることで入力し、また読んだことを示す署名を行なった。
父親が母親に印刷物を渡した。母親も同様にバッジを取り出し、読んだことを示す署名を行なった。
「家なら私かあなたが教えればいいことだから必要ないし。学校で、あった方が便利?」
「分からない。学校の図書サーバにアクセスできなくても、家でどこにでもアクセスできるから、今まで必要だと思ったことはないから」
母親が手につける仮想キーボードを取り出し、その旨の返答を電子ペーパーに入力した。
「そうだ。今すぐどうするというわけではないが、私の方に文面を送っといてもらえるかな。それがあれば欲しいと思った時にすぐに貰えるはずだから」
「片親がバッジを持っている場合も含めて、同じ例があるようですね。」
「これではしめしがつきません。バッジやカードの重みを自覚してもらわなければ」
「難しいところですね。先生方はバッジやカードの実際の目的を知っていますか?」
「まぁ、それは表向きの話で。人類にとって異質な人を見分けられるようにするためですよ。化物を野放しにするわけにはいかないが、かと言って檻に入れるわけにもいかない。そこで見えない檻を作っているのですよ。異質物を排除したいが、我々の文明はその異質物に依存している。矛盾ですね」
「彼らは人類にとって異質だと言ったでしょう。人間の理屈を通そうとしても無理です。」
「フォルス・ポジティブでしょう。いや、テスト上位なのは確かですが、彼や彼の家族は人間だということでしょう」
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