有意義な仕事をしよう


昨夜、帰宅した時間は遅かった。遅かったというより、明るくなりかけていた。仮眠をとると、すぐにまた家を出る。

研究室に入る。昨日、どこまで考えていたを確認しようと、研究ノートを開く。

何か、違和感を感じる。

窓の外に目をやってから、もう一度研究ノートに目を戻す。

自分で書いたはずのことが理解できない。いや、それなりの割合は理解できる。だが大切そうな部分が理解できない。

数日前のところから読み直してみる。

やはり分からない。

本棚の前に行き、学会の雑誌を何冊か開き、論文を読んでみる。

やはり分からない。

隣の棚から、本を取り、開いてみる。

やはり分からない。

入門者に向けた本を取り、開いてみる。

やはり肝心の部分が分からない。

目眩がする。

計算機にログインし、作っていたプログラムを開く。

読めない。声に出して読み上げることはできる。だが、それで何をしたいのかが頭のなかで組み立てられない。

コミュニケーション・ソフトウェアを覗いてみる。先日策定に関わった規則とそのディスカッションを眺める。良い規則だ。

だが、そのディスカッションの中での私の発言に目が留まる。その発言への返答は、「そのような変更はできない」というものだった。私は何を気にしていたのだろう? ディスカッションの流れを読み、私の発言を何度読みなおしても、私が何を気にしていたのかがさっぱり分からない。いや、なぜそのような事を気にしていたのかがさっぱり分からない。

コミュニケーション・ソフトウェアで他の資料にも目を通す。何人もが考えて書いているだけあって、どれも良いものだ。完璧とは言わないが、完璧なものなど作れるはずもない。充分に良いものだ。

だが、目眩がする。さっきの目眩とは違うが、それでも目眩だ。

コミュニケーション・ソフトウェアで幾つもの資料を読み、一日を過ごす。


朝、職場に着く。

雑誌や本を片付けよう。

なぜ研究などやっていたのか、自分でも全く理解できない。有意義な仕事に時間を使えたはずだ。

いや、今からでも遅くはない。有意義な仕事をしよう。プライベートな時間を充実したものにしよう。


補: 「コミュニケーション・ソフト」:メールや、FacebookやGoogle+、そのほかの社内SNSなどが統合されたようなソフト。資料ディレクトリの管理、閲覧も可能。イメージとしてはどっちかというとGoogle wavesが近いかもしれない。

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