Skeb Coinに関する補足説明

Kazunari Kida
skeb_jp
Published in
Jun 12, 2022

いつもSkebをご利用いただきありがとうございます。

6月10日に配信させていただきました、Skeb Coinの発行とIEOに関する協議開始のお知らせにつきまして、Skebを安心してご利用いただくために、みなさんへ補足の説明をさせていただきます。

Skebを利用中のクライアントのみなさんへ

Skebの決済を今後Skeb Coinだけに制限することはありません。Skeb Coinの導入と同時に、ビットコインモナコイン銀行振込コンビニ払いにも対応する予定です。

Skebを利用中のクリエイターのみなさんへ

Skebを利用する限りでは、クリエイターのみなさんは今まで通りリクエストの金額は日本円でやり取りしますし、どの決済手段が使われたとしても売上は常に日本円で受け取ることになります。
Skebを利用する限りでは、クリエイターのみなさんがSkeb Coinの価格変動のあおりを受けたり、税務処理が複雑になることはありません

既存の暗号資産ではなく、Skeb Coinを発行する主な理由は3つあります。

1. 既存の暗号資産が日本のサブカルチャー(ニューカルチャー)層に対して一般化しているとは言い難いから

Skeb Coinが最も重視する価値観「日本の法令の範囲内での表現の自由」は、機能の面だけで言えばSkeb Coinでなくとも既存の暗号資産で実現することができます。
Skebは、暗号資産に限らず日本のサブカルチャー層に広く普及している決済手段があれば、それも並行して活用していきたいと考えています。

一般社団法人日本暗号資産取引業協会(JVCEA)によれば、日本の暗号資産交換業者の総開設口座数は2021年3月末の時点で429万口座とのことです。
何らかの対価や金銭のやり取りの手段として、Skebの利用規模と同等に利用されている暗号資産は、日本のサブカルチャーという狭い業界に限って言えば、ビットコインですらこの業界では普及しているとは言い難いです。
日本のサブカルチャー層に対して強い訴求力を持つ暗号資産の発行者も今のところ存在しません。

SNSをはじめ人がいることで成立するシステムでは、機能の優位性よりも「誰が使っているか」が利用者にとって重要となる場合があります。
いかに優れたシステムでも、利用者がいなければその利便性を発揮できません。
210万人以上のユーザー数を誇り10万人以上の日本のクリエイターの登録母体を持つSkebが、Skeb利用者に対してエアドロップ(無料配布)を実施し、日本の暗号資産交換業者のアカウント開設やウォレットの作成、アドレスの公開を促します。

日本でIEOを実施するにあたり、暗号資産の発行者は、JVCEAに対して売り出す暗号資産の数量がいくつで、売り出さない数量についてはそれぞれ何に使うのかを説明し、審査を受ける必要があります。
Skeb Coinには、既にSkebを利用しているみなさんに対してエアドロップを実施するための数量が設定されています。
Skeb Coinのエアドロップを通して、はじめて触る暗号資産がSkeb Coinという方々が相当数生まれると予想しています。
数十万人の日本のサブカルチャー層が暗号資産交換業者のアカウントを開設するとなれば、他の暗号資産のステークホルダーのみなさんにとってもメリットがあると考えます。

仮にSkebが他の暗号資産でエアドロップを実施するとなれば、Skebが既存の暗号資産を買い上げる莫大な費用が必要であり、現実的ではありません。
さらに、日本のサブカルチャー層へ暗号資産を普及させるための開発費などの初期費用も、IEOによって調達可能であり、ブロックチェーン事業のコストをSkeb本体の手数料収入から転嫁せずに済みます。

2. Skebが資金調達するための手段が非常に限られているから

事業を成長させていく上で、資金調達は欠かせない要素のひとつです。
Skebは事業の性質上、運営会社の株式を証券取引所へ上場させる難易度が高く、資金調達の手段は非常に限られています。
IT業界にとって最もメジャーな資金調達方法であるベンチャーキャピタルも、株式上場が難しそうな事業に対しては厳しく、Skebの立ち上げ時も、ベンチャーキャピタルや銀行ではなくブロックチェーン分野で有名なエンジェル投資家達が支援した経緯があります。

Skebでは新たな利用者の獲得のため、スマホアプリの開発や、YouTuberやVTuberを初めとした、現在Skebがカバーできていない別業界のクリエイターのみなさんにもSkebの存在を周知させていきたいと考えています。
Skebはこれまで検索広告とSNS広告に1円も費用を投じたことがなく、口コミだけで3年半で210万人以上が利用するに至りましたが、今後はプロモーションも必要であると考えています。
ただし「安く作品を作ってもらえる」ことを前面に出すような宣伝は、クリエイター優位を掲げるSkebのコンセプトとは相反するため絶対に実施しないことをお約束します。
Skebのビジネスモデルを変えることなく現在の手数料率を維持したまま、開発費やプロモーション費用を確保することもIEOを選択した理由の1つです。

3. Skebだけでなく、他事業者のサービスでも決済の選択肢を増やして、業界全体で決済方法を多様化させたいから

大前提として、Skebの決済をSkeb Coinだけに制限することはありません。
Skebとしては、決済手段を可能な限り増やし特定の決済手段への依存を脱却したいと考えており、Skeb Coinの導入と同時に、ビットコイン、モナコイン、銀行振込、コンビニ払いにも対応する予定です。

Skebでクライアントのみなさんがどの決済手段を使用したとしても、クリエイターのみなさんは今まで通りリクエストの金額は日本円でやり取りしますし、売上も常に日本円で受け取ることになります。
Skebを利用する限りでは、クリエイターのみなさんの税務処理が複雑になることはありません。

利用者のみなさんに対して自動的にウォレットを発行したり、暗号資産をそのまま対価とする取引を仲介するためには、暗号資産交換業者の免許が必要です。
暗号資産交換業者の免許は取得ハードルが高く、Skebが暗号資産交換業者になることは考えていません。
Skebで導入予定の暗号資産決済システムは、暗号資産交換業者の免許を持つ会社が運営しており、彼らがSkeb Coinを日本円に交換してSkebに入金します。
例えば、Skeb上でクリエイターの方が「おまかせ金額: 10,000Skeb Coin」のようにSkeb Coinで募集し、Skebが手数料として680Skeb Coinを差し引き、クリエイターの方に日本円ではなく9,320Skeb Coinをお渡しするようなことはできません。
先にお知らせした既存のSNSを通してSkeb Coinのやりとりが可能なチップサービスも、Skebではなく暗号資産交換業者の免許を持つ会社が運営します。

Skeb利用者のみなさんから度々要望として挙がるのは、銀行振込やコンビニ払いへの対応です。
これらに対応する上で最大の問題は、クライアントのみなさんへの返金方法です。
クレジットカード決済では作品が期限までに納品されなかった場合、クレジットカードの返金機能を使ってクライアントのみなさんへ返金していました。
銀行振込やコンビニ払いにはそのような機能はありません。

銀行振込やコンビニ払いでの返金方法として、返金金額をクライアントのみなさんの売上として計上する案も社内で検討されましたが、
クレジットカードの与信の現金化など悪用の可能があることから、売上とは別の仕組みを作る必要がありました。
今回Skeb Coinとは別に「Skebポイント」という前払式支払手段を導入することで、銀行振込やコンビニ払いに対応します。

クライアントのみなさんは、暗号資産決済、銀行振込、コンビニ払いを利用する場合には、事前にリクエスト金額相当のSkebポイントを購入していただくことになります。
Skebポイントを利用してリクエストされた作品が期限までに納品されなかった場合、金額相当のSkebポイントをクライアントのみなさんへ返却します。
なお、クレジットカード決済の場合はこれまで通りクレジットカード会社を通して返金され、クレジットカード決済によるSkebポイントの購入はできません。

SkebポイントがあればSkeb Coinは必要ないように思われるかもしれませんが、前払式支払手段にもさまざまな制約があります。
前払式支払手段は有効期限を設定することができますが、有効期限が180日以上ある前払式支払手段は、未使用残高の半分以上を最寄りの供託所に預ける必要があったり、有効期限を定めた課金要素を提供しているアプリは、主要なスマートフォンのアプリストアの審査を通過することができなかったりといったものです。
Skebは納品までの締切を最大120日まで設定できますが、期日までに納品されない可能性があること、そして今後スマホアプリの開発を予定していることから、Skebポイントに有効期限を設定することは現実的ではなく、Skebポイントは有効期限が無期限になる予定です。

有効期限が無期限の前払式支払手段は、個人開発者や零細企業のWebサービス事業者にとって負担が大きく、易々と導入できるものではありません。Skebもこの規模になってはじめて導入できると判断しました。
今後サブカルチャー向けサービスの提供を考えている個人会社や零細企業のみなさんが、Skeb Coinを擬似的なポイントとして活用したい際に、暗号資産交換業者が運営する決済システムを利用すれば、Skeb Coinは前払式支払手段ではないため事業者は供託金を預ける必要がなく、決済システムから日本円で売上を受け取ることができます。
サービスへの組み込みの難易度もクレジットカード決済と差して変わりません。

前払式支払手段と暗号資産との違いとして、日本円や米ドルなどの法定通貨に対して価値が一定かどうかというものがあります。
前払式支払手段はサービスが存続する限り、1Skebポイント=1円のようにいつでも同じ価値がありますが、暗号資産は常に価値が変動し、1Skeb Coin=10円になることもあれば1Skeb Coin=0.1円になることもあり得ます。

Skeb Coinを保有する方々にとって最も恐ろしいのは、Skeb Coinの価値が暴落することだと思います。
価値を安定させるために発行者が取り得る手法としては、例えばステーブルコインとバーンが挙げられます。

ステーブルコインとは、コインの発行量の何割かと同等の法定通貨や暗号資産を発行者が保全することで価値を安定させていく手法です。
価値が安定していながらもブロックチェーンの利便性を活かすことができますが、保全の方法に問題があるステーブルコインがたびたび大暴落しており、2021年6月にはIRONというステーブルコインが、2022年5月にはLUNAというステーブルコインが取り付け騒ぎを経験しました。
これらの騒動を受け、日本でも2022年6月からステーブルコインに対する法規制が強化されました。
法定通貨と連動するステーブルコインを発行できるのは、銀行や資金移動業者、信託会社に制限されることになり、通常の暗号資産よりも発行が非常に難しくなりました。

次に、バーンとは発行者が保有する暗号資産の一部を永久に使用不能にする行為です。
バーンすると暗号資産の数量が減り、暗号資産の希少性が上がることで価値上昇につながります。
バーンしたからといって価値が安定するとは断言できませんが、Skeb本体の総取引金額等に応じてSkebが保有するSkeb Coinを自動的にバーンすることを予定しています。
バーンしたコインの数量やSkebの総取引金額等は特設サイトにてリアルタイムに確認できるようになる予定です。

日本のサブカルチャー層が多くを占めるSkebがその利用者に対してSkeb Coinのエアドロップを実施し、事前に暗号資産交換業者と調整して、導入が簡単でSkeb Coinに対応した「Zaif Payment」という暗号資産決済システムを用意してもらっていることから、Skeb Coinが日本のサブカルチャーサービスを横断する、共通のポイントのように機能することを望んでいます。
そして、Zaif Paymentの他にも、Skeb Coinに対応する暗号資産決済システムが登場した場合、Zaif Paymentと同様にビットコインやモナコインなど他の暗号資産に既に対応していることが予想され、日本のサブカルチャー系のサービス全体で暗号資産決済への対応が進み、日本のクリエイターへ暗号資産由来の資金が流入することも期待しています。

今後ともSkebをよろしくお願いします。

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