2つの不安と3つの解決法

こうのたけし
smashmedia archives
5 min readMay 8, 2015

人間にはふたつの不安があります。

何をすればいいのか「わからない」漠とした先行き不透明な不安と、それは自分にできるのだろうかという自信のなさからくる不安。

これらの不安はまったくの別物なので、それぞれを分けて対処しないといけません。

何をすればいいのか「わからない」漠とした先行き不透明な不安”は、初めてのときには誰でも感じるものです。
仕事や役割を与えられた場合、未経験であるがゆえに、じっさいよりも過大に考えてしまって動けなくなる。次何やっていいかわかんないから、指示待ちくんになったり、あるいは逆ギレしたりします。

でもこういう不安はマニュアルを作ったり、段取りを示すことで解消できます。OJTが有効に作用するのもこっちのパターン。

それでも動けない人がいるのは、不安の種類がちがうから。

それは自分にできるのだろうかという自信のなさからくる不安”は、なかなか克服できるものではありません。それこそ自己啓発書でも読めば、その週くらいはやる気に満ち溢れるんでしょうけど、すぐにまた元通りになります。ほんとうは解決してないからです。

もちろんぼくにだってこういう不安はあって、新しい仕事とか、大勢を前にした講演とか、そういうときには、不安や緊張、恐怖心に悩まされているのですが、以下の3つの方法で乗り越えています。

ひとつ目はその不安を受け入れるということ。向き合うと言ってもいい。
ぼくがいつも思い浮かべるのは、「SLAM DUNK」で山王戦の前の安西先生のセリフ。

試合前の
恐怖心は
誰にでも
あるもの

それから
逃げずに
受けとめ

そして乗り越えた時に
初めて理想の
精神状態に
たどりつける

「SLAM DUNK」完全版20巻

ぼくも部活をやってた頃は翔陽戦のミッチーのように、試合前はよくトイレに行ってたし、いまでも講演前はトイレに籠もることが多いです。必ずしもウンコしたいわけじゃないんだけど。

やっぱり緊張するんですよ。
うまくいかなかったらどうしようっていう不安は常にあります。でも悩んだからといってどうにかなるものでもないし、「人事を尽くして天命を待つ」じゃないけど、やるだけやったら腹をくくるしかない。

松井秀喜も「自分の力でどうにもならないものについては、あれこれ考えません」といってましたね。

だから事前の準備として、自分にできることをやり尽くしてたら、この方法がいちばん簡単です。

2つ目は考え方のアプローチなんだけど、秋元さん(秋元康)のスタンスを真似ることです。
秋元さんは「作詞できますか」って依頼に、「もちろんできます。むしろ得意です」みたいな感じで答えてたそうなんですね。自分の仕事の幅を広げるために、来る仕事を拒むことなく、どんどん受けていったと。

それをぼくはプータローの時期に読んで(場所も憶えてる、桜木町のワシントンホテルにあるコンビニの雑誌コーナー。雑誌はたしか『SPA!』だったと思う)、えらく揺さぶられたのを憶えてます。

なので、やったことがないのは別にどうということではなくて、むしろ成功すれば自分の人生が変わるかもしれないっていうプラスの面を意識するようにしたら、前に進めるようになるんじゃないかと。

似たようなことはしりあがり寿さんもいってました。
「自分の知らない才能がそこで開花するかもしれないから、なんでも受けちゃう」って。こんなにカッコいいスタンスもそうそうないですよね。

3つ目は正しく現状認識するということ。これはほんと簡単です。誰かの受け売りとか引用とかじゃなくて、ぼくがやってることだから。

たとえば自動車の運転について、免許を持ってない人とか、ずいぶん乗ってないペーパードライバーは不安を口にするわけですが、一般の道路は事故が起 こらないように、(運転がうまい人ではなく)下手くそにあわせて整備されています。道幅とか、コーナーの角度とか。
だからよほど裏道にでも入らないかぎりは、誰でもまっすぐに走れます。だってそういうふうにできてるから。たとえ自分の運転技術が平均より下であっても、事故ることはほとんどないんです。

そう、これはただの現状認識です。そしてこれは相対化の話にも通じます。
世の中にはそれを「できてる」人がいて、その人がふつうの範囲にいれば、自分にだって十分できる可能性はある。マスターズでアンダーパーで回ることはできなくても、10万球くらい打ったらホールインワンは出せる(いや、適当に言ってますけどね)。

不安を口にする人は、成功の可能性の大きさを見ずに、むしろ小さいはずの失敗の可能性を過大評価しちゃってるのです。
だから正しく現状認識ができれば、そういうのは払拭することもできるはずです。

まあ不安なんてなくなるもんじゃないので、どうやって「いなす」かだけだと思いますよ。
それを「受け入れる」って言う人もいれば、「乗り越える」って言う人もいるだけの話で、不安とどう向き合うかってだけの話です。

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こうのたけし
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