小口化し繰り返すことで持続可能にすること

Yoshihito Kuranuki
SonicGarden Labo
Published in
3 min readJul 1, 2017

ソニックガーデンのウェブサイトには7つの価値観という言葉が書いてある。それらは、ウェブサイトに掲載して終わるような、気持ちのいいお題目ではない。

実際に、日々の仕事の中で、判断に迷うような時がきたら、その価値観に立ち返って判断する。社長のいうことよりも価値観の方が大事。社長でさえ価値観に従うのだ。

そのうちの一つが「小口化」に関するもの。こう書かれている。

良い習慣を続けるには、気軽にして何度も行えるようにすることが重要です。例えばリリース作業を半年に一度でなく、毎週実施することで、習慣化してリリースに対するリスクを下げることができます。一週間悩んでメールを出すよりも、youRoomで小刻みに相談することで、お互いに協調し合えるようにすることができます。どんなことも溜込みすぎず、少しずつこなしていくという状態を目指します。

ソニックガーデンは、持続可能(サステナブル)であることを大事にしている。現状維持ではなく、成長しながらも、どこかでゴールがあってアガリになることを目指している訳ではない。

持続可能であるためには、なるべく大きなイベント毎を無くした方が良い。社運を賭けた一大事業、みたいなことはしない。大きく賭けず、小さく何度も賭ける。これがギャンブルのコツだ。

1年に1度しかしないことは忘れてしまう。確定申告をしているが、だいたい毎年しんどい気持ちになる。年に1度だからだ。あれが、毎月のことになると、めんどいけど忘れはしない。

部屋の掃除だってそうだろう。いつかはしようと溜め込めば溜め込むほど、とりかかるのが億劫になる。これが毎日でも少しずつでもすれば、一度の掃除にかかる時間は短くなり、億劫でなくなる。

小さな単位にすれば、処理する量が少なくなる。そうすると楽になる。楽に慣れば、取り組みやすくなる。始めるまでの抵抗は減る。そうすると、習慣になる。習慣になれば、持続可能だ。

ソニックガーデンは、アジャイル開発の思想を根底に持った会社だ。当たり前にありすぎて、ソニックガーデンの社内でアジャイルについて語ることはないのだが。

アジャイル開発の大きなポイントは2つだと考えている。1つは「見える化」、そして、もう1つが「小口化」だ。

日々の改善こそが、大きな改善に繋がる。見えないものは改善できない。小さくなければ改善する気が起きない。

ペアプログラミングの本質は、実は小口化だ。コードレビューは良いものだ、そんなに良いなら、週に1度でなく毎日、毎日よりも毎時間、いっそのこと極端に考えて、ずっとレビューしていれば良い。それがペアプログラミングだ。

イテレーションの発想も小口化だ。ウォーターフォールで何ヶ月分を一気にリリースするより、週に1度リリースする。方向修正もしやすい。遅れも早く気付くし、手戻りも早い。

朝会というのも小口化だ。定例ミーティングを週に1度2〜3時間かけるなら、毎朝10分やった方がよくわかるというものだ。

なんだって単位を小さくすること。一度に大量の処理をした方が効率的なことは、大量生産の世界ではそうかもしれないが、人間のやる活動、とりわけソフトウェアの世界や経営の中では、小口化した方がうまくいく。

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Yoshihito Kuranuki
SonicGarden Labo

ソニックガーデンという会社を経営しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」の精神で、プログラマという仕事を誇れるものにすることがミッション。 ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp ※2019年1月に新刊「管理ゼロで成果はあがる」でました。→ https://goo.gl/reZez1