KPTとロジカルシンキングと問題解決

Yoshihito Kuranuki
SonicGarden Labo
Published in
3 min readJul 15, 2017

ソニックガーデンで実践していることの特徴として「ふりかえり」がある。Keep/Problem/Tryの「KPT」というフォーマットに則って実施するものだ。

入社したばかりのうちは、そこまで馴染めていなかったり、社内のことでわからないことがあっても、相談相手がわからないということもあるから、誰かが師匠(メンター)として就く。

そうすることで、何かあっても相談相手がいるので安心できる。特に、リモートワークの場合、誰もがフラットに話せる分、逆に誰に相談して良いか決まってる方が助かる。

師匠には、相談相手ということの他に、大事な役割がある。それが、「KPT」の相手をするということだ。

ソニックガーデンでのKPTふりかえりは、入社直後は週に1度くらいの頻度で、定期的に行う。アジャイルの世界でのふりかえりと違って、チーム全体ではなく、指導される側がふりかえりを行い、その内容について師匠がレビューをする。

働き方についてレビューするので、「ワークレビュー」とも呼ばれる。KPTの進め方については以下。

自律的に現場を改善できるチームをつくるための「ふりかえり」の進め方 〜 KPTと進め方のノウハウ | Social Change! https://kuranuki.sonicgarden.jp/2013/05/kpt.html

KPTを通じて、会社のカルチャーや価値観も伝えていく。KPT自体で何か問題を解決する。よくないところを改善していく。

また、KPTは自分に起きている問題を解決する手段でもある。忘れてはいけないのが、問題を解決するのであって、反省会ではない。

KPTでよくある間違いは、出来なかったことをProblemとして反省し、次から頑張ります、といったTryを出すことだ。それはただの反省だし、そんな気持ちの問題で解決するなら、とっくに出来てる。

大事なことは、問題の原因は何か、そこにどんな因果関係があるのか、しっかり分析をした上で、ロジカルに考えて解決策を出すことだ。そう、それこそが「問題解決」なのだ。

よく言うのだが、私たちの仕事は何か、ただプログラムを書くことではなく、問題解決をする仕事だ、と。手を動かすだけが仕事ではなく、頭を使うことこそが仕事なのだ。

問題解決を考える際に、必ずしも正解がある訳ではなく、仮説を立てる。仮説は論理的に導かれるものだ。当てずっぽうは仮説とは言えない。その仮説は筋が通っている必要があるのだ。

そこで、KPTだ。KPTは問題解決、つまりロジカルシンキングの練習になる。ただ、ロジカルに考えられているかどうか、これは一人だけでは判定が難しい。そこが師匠の役割となる。

KPTで問題解決の仮説を立てた際に、それが筋が通っているか確認をする。もちろん、師匠にはロジカルシンキングが必要だ。ふりかえりを通じて、ロジカルシンキングを磨くのだ。

ソニックガーデンでは、一人前になる条件の一つに、ふりかえりを一人で、日常的にできるようになること、というものがある。

つまり、KPTを通じて、ロジカルシンキングが当たり前にできることが、一人前に求められるスキルの一つだと言える。

何気ない「ふりかえり」と「KPT」は、案外と奥が深いのだ。

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Yoshihito Kuranuki
SonicGarden Labo

ソニックガーデンという会社を経営しています。「心はプログラマ、仕事は経営者」の精神で、プログラマという仕事を誇れるものにすることがミッション。 ブログ http://kuranuki.sonicgarden.jp ※2019年1月に新刊「管理ゼロで成果はあがる」でました。→ https://goo.gl/reZez1