SORA：VALidatorと報酬について
TL;DR
- VALトークンは以前、いくつかのドキュメントではSTKと呼ばれていました。
- VALトークンは、バリデーターの報酬に使用されるSORAエコノミーの新しいトークンです。
- VALトークンはSORA v2ネットワーク上の全ての取引でバーンされるため、VALの総流通量は1億トークンから始まり 時間の経過とともに減少していきます。
- VALトークン保有者はDAO構造でグループ化され、Polkaswapに流動性を供給するために投票することができます。この際に供給される流動性は、SORAトークン結合カーブ・メカニズムの半分からもたらされます。
- VALトークンは、3段階に分けて3つのグループに均等に配布されます： (1) SORA v1 XOR保有者（9月中） (2) ERC-20 XOR保有者（SORAv2ネットワークのローンチ時） (3) 次期SORA議会（SORAv2ネットワークのローンチ後）
- かつて「SORA v1 XOR」と呼ばれていたトークンは完全になくなり、もはや存在しなくなります。
概要：SORAエコシステムにおけるトークン
SORA エコシステムには、以下の種類のトークンがあります：
XOR (天): SORAネットワーク上の取引で、手数料（ガス）として使用されます。
- トークン結合カーブ・メカニズムによって管理された、供給の弾力性を持ちます
- 一定量以上を保有している人は、SORAコミュニティの市民権を獲得し、また、SORA議会の評議員となることができます。
VAL (≚): SORAネットワーク上のバリデーターの報酬として使用されます。
- 最初の流通量は1億トークンですが、SORA v2ネットワークで取引がある毎にVALトークンがバーンされるため、時間の経過とともに流通量が減少します。
- バリデーターとステーク・ノミネーターへの弾力的な報酬は、VALトークンで与えられます。
- VALトークン保有者はDAO構造でグループ化され、Polkaswapの取引ペアに流動性を提供するために投票する権利を持ち、PSWAPトークンを報酬として受け取ることができます。
PSWAP: Polkaswapの流動性供給者の報酬として使用されます。
- Polkaswapでトークンを交換するたびにトークンがバーンされ、流通量が減少します。
- 今後の記事で、ガバナンスとトークンの詳細を解説します。
背景: SORA 新しい経済秩序に向けて
令和元年10月17日、SORA v1ネットワークがローンチされ、約1,618,033,988 XORが発行されました。 令和2年3月に、約350,000のXORがSORA v1ネットワークからEthereumネットワークに移動され、Uniswapで取引が開始されました。 Uniswapでの取引開始の目的は、予備的な価格発見を行い、Ethereumネットワークのユーザーを招き入れSORAコミュニティを形成することでした。しかし、私たちのテクノロジーが向上したことで、新たな野心的なタイプのトークンエコシステムを形成する可能性がでてきました。私たちの中期的な目標は、コミュニティに価値をもたらすことにありますが、SORA経済システムを分析した結果、国家の枠組みを超えた世界経済システムを実現するという長期的な目標を抱くようになりました。
このシステムを実現するために、私たちは「SORA：The New Economic Order」を提案しました。これは、SORAネットワークとSORAトークン経済モデルへの大幅かつ重要なアップグレードです。このアップグレードは、SORAコミュニティによる批准を得るための投票が行われますが、これは人類に価値を追加できるシステムだと私たちは確信しており、その採用を強く支持します。
前回の記事では、SORA新しい経済秩序の全体的なマクロ経済モデル、特にXORトークンに焦点を当てて解説しました。今回の記事ではVAL：Validator報酬トークンの詳細を解説します。SORAネットワークを確固としたものとするためには、バリデーター報酬の制度設計の裏側に、分析とシステム・ダイナミクス・シミュレーションに基づいた明確な経済モデルが存在することが重要です。
ソラノミクスと分散型金融農業との出会い
Polkadot と Kusama は、自らのネットワークをコントロールすることを試みるプロジェクトに独立した地位を与えると同時に、安全で効率的な相互運用性のためのツールを提供することで、プロジェクトチームが新しい技術や経済モデルを簡単に実験できるエキサイティングな機会を提供しています。SORAは、SORAネットワーク上に存在するPolkaswapのようなアプリケーションを利用することで、他の多くのネットワークと接続し、他のネットワークとの間で価値を交換することが容易に可能です。SORAを創った同じチームによって開発されたFEARLESSウォレットは、SORAネットワークを価値交換と創造の重要なハブとして、デジタル資産の相互運用可能な未来を推進します。
ネットワークの安全性を確保するために、大量のXOR がバリデーターとステーク・ノミネーターによってステーキング・ボンドにロックアップされます。ただし、このステーキング・ボンドは悪質な行為が発見された場合には廃棄されることになります。これは、共謀したバリデーター同士による資金の盗難や支払い妨害を防ぐための経済的なインセンティブ設計としては有効ですが、その役割を担うバリデーターやステーク・ノミネーターにとっては莫大な機会損失となります。従って、大量のXORのロックアップに貢献したユーザーを補償するために、充分に大きな報酬が付与されるべきです。この補償制度によって、経済的なインセンティブが正しく働き、より安定したエコシステムが実現します。
PolkaswapはSORAネットワーク上で実行され、Polkadot/Kusamaパラチェーンに加えて、他のブロックチェーンプラットフォームへのブリッジが作られる場合、多くのネットワークから大量の資産がSORAネットワークに預けられることになります。これらの資産は、バリデーターによって適切に担保される必要があります。そのため、バリデーターになるための参入障壁は必然的に高くなければならず、また、バリデーターが悪意のある活動に従事していることが証明された場合には、その価値を意味のある形で減殺しペナルティとなるように、ステークキング・ボンドは十分な価値を提供しなければなりません。
バリデーターとステーク・ノミネーターのインセンティブを高めるために、VALトークンは毎日（日本時間13時37分）に報酬として配布され、報酬量はSORAネットワークの利用に基づいて弾力的に調整されます。
VAL (≚): バリデーター報酬トークン
XORトークンはフォワードプライスガイダンスを持つ安定したトークンになりつつあるなか、エコシステムの成長と利用に関連する価値を持つ新しいトークンが登場する予定です。このトークンはVALと呼ばれ、SORA v2ネットワークに参加するバリデーターとステーク・ノミネーターにインセンティブを与えるステーキング報酬トークンです。経済的には、VALの価格動向が市場参加者の選択を明らかにすることができるので、市場としての長期および短期のセンチメントを決定する機能を果たします。
VALは価格が自由に変動し、供給が制限されます。SORA v2ネットワーク内の各取引では、少量のVALがバーンされ、VALの供給が制限されることで、本質的にはデフレ傾向を持つトークンとなります。
弾力的報酬
VALトークンは、バリデーターやノミネーターにステーキングの報酬として付与されます。また、XORの価格に関わらず、トークンを使用することに強気の立場の人のためのトークンでもあります。他のブロックチェーンプラットフォームのバリデーターやステーキング報酬トークンとは異なり、VALトークンは本質的にデフレ傾向にあり、SORAネットワークによって弾力的に調整されます。
- SORAネットワークの取引手数料で使用されるXORの半分は、VALトークンを買い戻してバーンするために使用されます。
- SORAトークン結合カーブ・メカニズムのプライマリーマーケットのマージンの半分はVAL DAO（後述します）に行きます。そのうちの10％はVALトークンの買い戻しとバーンに使用され、残りの90％のXORトークンはVAL DAOの投票によってPolkaswap上の流動性プールに割り当てられたり、バリデーターに指名されたり、VAL DAOメンバーの市民権を補助するために使われます。
- 新しいVALトークンは、SORAネットワークのバリデーターとノミネーターに報酬を与えるために発行されます。報酬は、24時間以内にバーンされたVALトークン量の90%から始まり、毎日減少し、5年後には35%にまで減少して横ばいになります。
- 24時間以内にバーンされたVALトークン量の10%が、毎日発行され、SORA議会に配分されます。
例: SORAネットワークの1日の取引手数料から発生する買い戻しとバーンで10,000 VALがバーンされたとすると、最大9,000 VALが新規に発行されます。1日の報酬がそのうちの80%であれば、8,000 VALが報酬としてバリデーターとノミネーターに貢献に比例して配られ、1,000 VALがSORA議会に配分されることになります。
「買い戻し＆バーン」は、理解いただきたい重要な概念です。XORは、Polkaswap上のXOR-VALの流動性プールから、VALを買うために使われます。そして、購入されたVALは即座にバーンされるため、VALの流通量は継続的に減少します。
1日1回、過去24時間に焼かれたVALの量のX%が、報酬テーブルに基づいて新規発行されます。報酬テーブルは当初90%からスタートしますが、時間の経過とともに減少し、常にバーン量よりも少ないため、VALの流通量は毎日減少していきます。
SORAネットワークの取引手数料の半分を受け取ることに加えて、SORAトークン結合カーブ・メカニズムのプライマリーマーケットのマージンの半分がVALホルダーに配分されます。このうち10%がPolkaswapからのVALの買い戻しとバーンに使用され、90%がPolkaswapの取引ペアに流動性を供給するために使用されます。
流動性と民主主義
VALトークンの買い戻しやバーンに加えて、VALトークン保有者には、Polkaswapで流動性を提供したPSWAPトークンが報酬として与えられます。トークン結合カーブ・メカニズム（XOR）のマージンの半分は、VALトークン保有者コミュニティに与えられ、保有者の投票によって使用方法を決定することができます。最初期には最大量のVALトークンが流通しているため、各VALトークンに帰属するトークン結合カーブ・メカニズム（XOR）の割り当て権限は、当初はほんの僅かなものとなります。しかし、VALトークン保有者はDAO構造を形成して投票権をプールし、Polkaswap上の流動性プールにXORを配分することができるようになります。各DAOは、各DAOへの加入／脱退のルールや、XORを配分するための合意形成に関するルールを独自に設定することが可能となります。
流動性を提供する対価としてのPSWAP報酬は、流動性を供給した各DAOに共有されるため、取引量が多いと予想される取引ペアに流動性を供給するインセンティブがあります。さらに、すべてのVALホルダーは、流動性を供給したPolkaswapの恩恵を受けることができます。
VAL DAOはまた、DAOメンバーの市民権を助成するために投票したり、バリデーターのためにXORをノミネートすることができるようになり、ステーク報酬を通じてより多くのVALを獲得することができます。ただし、Polkaswapでの流動性提供以外の用途で利用できるXORの量には制限があります。
VALの初期分配
VALはデフレ性トークンであるため、その出発時に大きな総貨幣価値を必要とします。この初期流通量は1億VALが予定されており、以下のように3段階に分けて分配されることが提案されています。
- 既存のSORA v1 XOR保有者は、VALトークン供給量の1/3を受け取ります。具体的な配分量は、当初のSORA v1 XOR総数を1億だと仮定して再計算し、SORA v1 XORトークンの大部分をバーンし、VAL供給量の1/3（約3,300万）に収まるよう数量を修正します。これらのVALトークンは令和２年9月中に配布される予定です。
- 現在のERC-20 XORトークンの保有者も、VALのトークン供給量の1/3を受け取ります。配分方法は、一部は既存保有者にエアドロップし、残りは流動性を与えるためのインセンティブとして割り当てられ、トークン結合カーブ・メカニズムのリザーブの増加に寄与し、そのエコシステムの成立を補助する役割を果たす予定です。これらのVALトークンは、SORA v2ネットワークのローンチ時に、SORA v2メインネット上でリリースされます。
- VALトークンの残りの1/3は、共通の利益のために民主的なプロセスを通じて配分することを目的としてSORA議会に与えられます。SORA議会は令和３年内に開始される予定です。
VAL経済圏の最大化
VALのデフレ率は一定ではなく、SORA議会によるガバナンスを通じて調整することができます。これは、SORA ネットワークのセキュリティを確保し、ノードを実行するインセンティブを与えるために、必要に応じてバリデーターの需要の調整を目的としています。具体的には、以下のパラメータを調整することができます。
- バーンの報酬比率の調整
- VALの買戻しとバーンに使用されるXORプールの割合を変更する
我々は、優れた BPTK-PY ライブラリを元に構成されたストックフロー比率モデルを使用して、SORA v2 経済モデルの因果ループをシミュレートしました。私たちの結果は、システム運用の最初の1年の間に、VALトークンの約1%が毎月平均してバーンされると予想を示しています。これらのトークンのほとんどは再発行され、バリデーターやステーク・ノミネーターに配分されます。これはネットワークの安全性を確保するためのインセンティブとなる重要な報酬です。
運用開始の2年目以降は、SORAネットワークの利用と同様に、VALトークンの正味のバーン数が増加します。そのため、3 年目以降は、バリデーターやステーク・ノミネーターに配分される報酬の価値が飛躍的に高まることが予想されます。インセンティブ構造の長期的な時間スケール（年単位）は、短期的な攻撃の可能性をさらに低くし、バリデーターとステーク・ノミネーターの貢献に報いる高いインセンティブを与える設計となっています。
VALと共に、次の世界へ
次のステップとして我々は次世代を決定する採決投票を提案します:
- この記事で説明したように、SORA v1 XORトークンホルダーに最初の発行VALの1/3を配布し、SORA v1 XORトークンを消滅させます。
- SORA v1ネットワークからVAL用のEthereumへのブリッジを作成します。
- SORA v2ネットワークの立ち上げでは、VALはERC-20 XORトークン保有者に配布され、その後SORA議会に分配されます。
FAQ
どのようにしてVALトークンを獲得できますか？
- バリデーターになるか、XORでバリデーターをノミネートすることができます。これらの機能は、SORA v2 ネットワークのリリース時に有効になります。
VALトークンの価値は何ですか？VAL トークンは何に使うことができますか？
- VAL トークンは、SORAネットワークの安全性を確保するために、バリデーターやステーク・ノミネーターに報酬を与えるインセンティブとして機能します。その価格は市場によって決定されます。
VALのデフレモデルは何を意味しますか？価格は上がりますか？いつ値上がりしますか？
- VALトークンの供給がデフレモデルであるということは、VALトークンの流通量が時間の経過とともに減少することを意味します。市場価格に影響があるかどうかは、市場が決めることです。
VALトークンの初期価格はどう設定されますか？どこで買うことができますか？
- もしVALトークンを取引したいという需要があれば、Ethereumブリッジが開設された後、一部のユーザーがSORAの運営者と無関係にDEX型の取引所で取引を開始する可能性はありますが、現時点では何も決まったことはありません。
過去の投票によってプロジェクトに与えられることになったSORA v1 XORトークンや、エアドロップ計画はどうなるのでしょうか？
- 既に投票の終わったプロジェクトについては、SORA v1 XORトークンの一部を当該プロジェクトに分配し、VALへの移行前にSORA v1メインネットユーザーにエアドロップする予定です。今後の将来的なプロジェクトへの分配については、SORAv2メインネットのローンチ後、SORA議会がこれまでのすべての投票とプロジェクトの進捗状況を確認し、プロジェクトにXORを与えるかどうか、どのくらいの量を与えるかを決定することになります。
ガバナンストークンは存在しますか？
- VALトークン保有者は、XORトークン結合カーブ・メカニズムのマージンから受け取ったXORトークンのプールを使用し、Polkaswap上のどのペアに流動性を提供するか投票する権利を持ちます。SORA経済圏における全体的なガバナンスはSORA議会の下で行われることになっており、単純なトークン投票モデルではなく、多数関係者の関与によるガバナンスが期待されています。
STKトークンがエアドロップされると聞きました。STKトークンはもらえるのでしょうか？
- VALトークンはSTKトークンです。名称が変更されました。
SORA v1 XORを持っている人はどのくらいいますか？
- 現在、SORAを開発した人、テストネットワークでアプリをテストした人、翻訳などのバウンティをした人、誰かからSORA v1 XORをもらった人など、約300人の保有者が存在します。さらに1000~2000人のユーザーは、プロジェクトへの投票からエアドロップとしてSORA v1 XORトークンを取得する予定です。
どのようにSORA v1 XORトークンホルダーはブリッジにアクセスすることができますか？
- 令和２年９月以内にアプリをリリース予定です。
SORA v1 XORトークン保有者の投票はどうなりますか？
- VALの採決投票に参加するだけでなく、今後行われるSORA世界のルール決定の投票にも参加します。SORA v2メインネットのリリース後は、ガバナンス構造が変更されるため、新たな投票には参加できません。
SORA議会は、VALの使用方法をどのように決定するのでしょうか？
- 議会がトークンを分配するための民主的なプロセスが予定されています。
私は ERC-20 XORトークン の保有者です。私はERC-20 XORトークンを所持していますが、VALトークンのどのくらいの割合で入手できますか？
- VALトークンの1/3は、SORA v2ネットワークローンチ時にERC-20 XORトークンホルダーに分配されるように計画されています。そのうち少数がエアドロップされ、残りの1/3は何らかのアクションを行うために与えられます。
VALトークンの総供給量は幾らですか？
- 初期供給は1億VALを予定しています。
