ホタルの里 × 平田五郎 「水面の風景ー水の中の光~山間のモノリス」

Sato Sosei
芸術祭の記録
Published in
2 min readSep 20, 2017

作品「水面の風景ー水の中の光~山間のモノリス」 は、森にホタルが生息できる環境維持に尽力していた高橋さんという方の想いを受け継いでいる。近年、高橋さんの足が悪くなり、ホタルの里として整備されていた森からホタルが居なくなった。ホタルが生息できるようなきれいな小川を維持することは、自然豊かな大町であっても容易い事ではない。近代になって水路が整備され、森の中に流れていた小川の水が集められて行くことで、人が生活している里のホタルは居なくなっていく。

♪ほう、ほう、ほーたる来い、あっちの水はにーがいぞ♪で始まる童謡の「にがい水」とは、一説には農薬や洗剤が混じった水の事だと言われている。そんな現代、平田五郎はホタルが生息できる環境を取り戻すため、浄水機能をもった3つの彫刻作品を制作し、慣行水利権の効力がなくなっていく水流の線上に設置した。下流の田園がなくなり、使われなくなった大出ため池に再度水が引かれ、蓮の花の石彫作品に貯めらた水が、森の中のモノリスで湧き出している。

この作品によって、すぐにホタルが復活するわけではない。だからこそ、平田はこの作品はまだ製作途中なだという。それは、彼の作品が在る事によって、私たちが昔流れていた里の小川に目を向け、その流れに清浄を求めるきっかけになる事を祈っているからではないだろうか。

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