山 × 大平ゆかり 「山の唄」

Sato Sosei
芸術祭の記録
Published in
2 min readSep 20, 2017

大平由香理が2016年にあさひAIRに滞在した時に感じた事。
「大平由香理は絵をよく見る。僕には彼女が自分の絵を見ているときに、この後どう描くかを考えているのではなく、目の前の状況を観察して、自分の身体にその様子、景色、状態を記憶させている様に見えた。それは例えばテニス選手がコートの範囲に自覚的なように、絵の中で自由に動けるよう、その範囲やポイントを身体に覚えこませている感じだ。太古の昔より脈々と形成されてきた北アルプス山脈を、地球の胎動として描きたいという彼女は、悠久の時を行き来しながら今回の作品「大町図屏風~山紫水明~」を描きだした。大町の民家から譲り受けた80年以上前の2枚の屏風をキャンパスに描かれた、冬から春へと移りかわる北アルプス山脈に、山への畏怖と感謝が表現されている。」

そして、今回の北アルプス国際芸術祭で大町へ再訪した彼女は、北アルプスへの胎動を龍に見立てて、真っ赤な龍の体内から、ホワイトアウトする世界へと向かう、絵画インスタレーション作品「山の唄」をエネルギッシュに描いた。山の魅力に取りつかれた彼女が次にどんな絵を描くのか、楽しみにしている。

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