絵の世界に入り込む

Sato Sosei
芸術祭の記録
Published in
2 min readSep 10, 2016

小豆島で目覚めて、大岩オスカールさんの「大岩島2」を見に行く。自転車でたどり着くと、おじいちゃんが2人店番をしていて、最近結婚した近所の孫について話していた。

大岩さんの作品は、旧醤油倉庫の中に設置された半径約6メートルの宇宙船のようなエア・ドームに360度パノラマで描かれた、瀬戸内の海。絵として描かれた扉は実際に出入口になっていて、そこからドームの中に入ることができる。

全方位に描かれた絵を体験するのが初めてで、文字通り絵の世界に入り込んでしまって、なんだか所在がつかめなかった。映画で俳優が絵の中に入り込んだりするのは見たことがあったからなのか、体験するのは初めてなのに、どこか既視感がある。エアードームの中に入ると、最初に目に飛び込んでくるのは海の絵。ずーっと進んで振り返ると、切り立った崖の下の海岸沿いに、漁師の小屋のような建物が建っている。

大岩さんも、北アルプス国際芸術祭の参加を予定している。この前、大町に訪れて、一緒に色々な場所を巡った。ゆったりとした紳士的な雰囲気の人なのだけど、やっぱりどこか絵描きなんだなぁと感じる独特のリズム感がある。よく知らないけど、きっととっても柔軟な人で、大規模に展開してきた絵描きならではの視点で世界を見ていて、もしかしたら大岩さんは、このエアードームの中みたいな世界を生きているのかもしれないと思った。もしそうだとしたら、彼の自由な柔軟さには、それを現実化させた歴史がそのまま描くという行為に重なっているのかもしれないと思って、なんだか興味が膨らんでくる。

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