アダラ・インスティチュート:視聴覚に障がいを持つ人たちの自発・自立を創出する

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5 min readJun 29, 2017

シルレイ・ソウザ (スプリント・マスター)

Note: you can also read this article in English here.

視聴覚に障がいを持つ人たちのチャレンジを通じて、彼らやその家族の生活を改善する

自分たちの取り組みに誇りを持っており、更なる高みへのぼっていくことができると信じでいるチームがよい仕事をする。これが世界が必要としていることであるーアダラ・インスティテュートはまさにこのような団体である。世界に違いをもたらし、ブラジルの人口の5.1%(2010年度国勢調査)と同等の、970万人の視・聴覚に障がいを持つ人たちに課題解決の糸口を提供している。アダラは視・聴覚に障がいを持つ人たちとその家族を温かく迎える場所なのである。

「ここは第二の家です。家にいる気分でここでくつろいでいます。」子どもたちをサポートを受けるために連れてきた親御さんの言葉である。アダラは現在公教育を補完する存在として、複数の領域にまたがる専門家を招き、メンバー(視・聴覚に障がいを持つ子ども、またおは両親、特に母親)に対して、実社会での適応に向けたサポートや、自尊心を促す取り組みを行っている。他の同様の機関との大きな違いは、医療/教育のどちらかに特化するのではなく、包括的なサービスを提供しているところにある。

視・聴覚の障がいを持つ人々の社会への適応

アダラは今、ビジネスモデルや対象となる人々に提供するサービスの見直しを行っている。管轄している地域にて、どのように人々に認知され、ソーシャルセクターの中でモデルとなるような社会的インパクトを創出するためには何をするべきなのかを再考しているのだ。

Co_laboreのサポートを得て、アダラが現在提供しているサービスが、「視・聴覚に障害を持つ人が独立して、かつ自発的に効果的なコミュニケーションをとり、家族や社会と共生していく」ために取りうる方策は何かというチャレンジが立てられた。

アダラのこれまでとこれから:人々の声

初回訪問のときから、すでにアダラに来ている視・聴覚に障がいをもつ人々は溶け込んでいるように見えたー彼らは抱えている同様の問題に対し、複数の領域にまたがる社会的ハードル解消に向けた訓練を行っている。具体的には、ブラジル式手話、読み書きのワークショップ、コンピューターの使い方、複合的な治療法、心理学、ソーシャルワーク、などである。それに加え、母親ー子供達の偉大なサポーターであり、勇気付ける存在であるーが、他の同様の悩みを抱える母親と交流できる仕組みも持っている。

様々なアダラ利用者やその家族と話すと、いつも答えは同じであった。「アダラは本当にいい場所である。何も改善することはない。」

よって、チャレンジは、アダラがこれまでに行って来たことの最大化にはどのようにすれば良いか、また現在の活動とは別領域で、障がいを持つ人の、自立した社会との関わりを促進するためには何ができるのか、と少し形を変えることとなった。

利用者から、視・聴覚障がいを持つ人や家族は、アダラの外部で様々な難局に直面したという話を耳にした。例えば、障がいをもつ子どもたちへの対応が進んでいない普通学級、障がいを持つ人たちとのコミュニケーションの方法が分からない家庭、これから社会に出て行くアダラのプログラムを修了した子どもたちなどである。チャレンジは、手話をある程度の年齢になってから学びはじめ、コミュニケーションに課題を抱えている人たちを対象としたものになった。

視・聴覚に障がいを持つ人のユーザージャーニーを通じて、方策を探る

一連のプロセスを通じて、アダラが、特筆するべき・価値のある体験を利用者に提供していることが改めて明らかになった。そのため、我々はアダラの複数領域にまたがる実践活動を最大化し、他の組織や人々に直接的な影響を与える代替案を探すことに焦点を当てた。さらに、アダラのサービスがより多くの人々に提供され、ゆくゆくはブラジルの障がい者福祉政策に影響を与えるようなモデルケースとなることを目指した。

アダラはスプリント・プログラムでの取り組みを通じて、対象とするサービス範囲を拡大した。視・聴覚障がいをもつ人たちにコンピューターなどの職業教育を提供することによって、潜在的な求人市場に労働力として供給しようという取り組みである。

アダラは、これからも利用者、インフルエンサー、そして提供する教育と方法論を通じて家族を啓蒙していくことを目的として、彼らへの好事例の共有や告知に焦点を当てた取り組みを重視していくことだろう。

「スプリントのプロセスを通じて、我々は新たに自身のサービスと利用者について学んだ」

デニー・レゼンデ、アダラ・インスティテュート、総責任者

気づき

  • 第三セクターにおける取り組みが与える前向きな影響は、今回のスプリント・プログラムにおける代表的なものであった。ユーザー体験改善のための方策は難しいものであったが、それ故にユーザージャーニーを学ぶことが重要なことであった。
  • 最良のサービスを利用者に提供することは、サービスによって得られる体験や体系化されたサービスが与える影響を外部に向けて宣伝することと同じくらい重要なことである。
  • ユーザー、デバイス、プロトタイプについてチーム内で検討する定期的な場をもつことー自身が持つリソースについて検討を始める前にーが重要である。今回の取り組みで学んだことの一つであり、新しいサービスを実行する前に、チームで十分なディスカッションを行った。

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