Plasm Lockdrop Introduction

Takumi Yamashita
8 min readNov 21, 2019

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提供者:Pixabay

Lockdrop は ETH などの価値ある資産を一定期間ロックすることで、別の資産を発行するトークン配布の方法です。これは Substrate で開発されたスマートコントラクトチェーンの第一人者である Edgeware が採用したトークン発行方法となります。詳しくは https://blog.edgewa.re/whats-in-a-lockdrop/ を御覧ください。

Lockdrop ユーザシナリオ

はじめに Lockdrop の一連の流れを具体例として見てみましょう。

  1. ユーザ(Bob)はEthereum 上で “lock” トランザクションを発行します。成功すると、Ethereum 上で Locked event が発行され ETH が Lock されます。
“lock” トランザクションの発行と Lock contract の作成

2. ユーザ(Bob)は Ethereum 上の秘密鍵を用いて Plasmchain に “claim” トランザクションを発行します。成功すると、Plasmchain から Lock した ETHの量と期間に応じた PLM を取得できます

“claim” トランザクションと PLM の取得

3. Lock 期間が過ぎた後、ユーザ(Bob)は ETH を Lock contract から引き出す事ができます。

Lock 期間後の ETH 返却

Lockdrop の一連の流れはこのようになります。次の項でトークン配布量について詳しく定義していきます。またさらに、2回目以降のトークン配布についても定義していきます。

Overview

Plasmchain では将来的に lockdrop は3回の Lockdrop を行う予定です。各 Lockdrop について以下のトークンを対象とする予定です。

  1. Ethereum
  2. Ethereum, Bitcoin
  3. Ethereum, Bitcoin + {EOS, etc. Potentially Polkadot}

※更新:2020/2/2: 3-rd Lockdrop において EOS は使用しません。また、Polkadot の Lockdrop は BTC, ETH をは異なる手法を取ります。

初回の Lockdrop で配布される PLM の総量は M=500,000,000 です。

これらを Issue 比率(IssueRate) に応じてトークンを Lock したユーザに対して分配します。IssueRate はLock したトークンの総量(Locked_token)をPLMトークン発行時のドルと Lock したトークンとの変換レート(DollarRate_token)に 1.0005 を日数(Days)乗したものを掛けたものに近似されます。

IssueRate の近似式

ここで 1.0005 は Polkadot の金利を参考にしました。Polkadot のデフォルト最大平均年利は 20%と定義されています。(参考:https://research.web3.foundation/en/latest/polkadot/Token%20Economics/#inflation-model)これを複利込みの日利に直した際の近似解が 0.05% となるからです。

ユーザは Lock する期間を次の4種類から選ぶことができます。Lock 期間に応じて Lock したトークンの価値をドル換算した値に以下の倍率を掛けたものが IssueRate となります。

  1. 30 日: 24倍
  2. 100 日: 100倍
  3. 300 日: 360倍
  4. 1000 日: 1600倍

以下が x 軸を Lock 期間、y 軸を倍率とした時のグラフです。赤の線が式で表される値、緑の線が実際に得られる倍率となります。

https://www.desmos.com/calculator/0y5pegzvba

算出された IssueRate を元に、配られるトークン数が決定します。トークン配布量の決定アルゴリズムは以下のようになるます。

Lockdrop を行ったユーザ数を n, ユーザ iIssueRateIssueRate_i とする。ユーザ i の 得られるPLMは以下になります。

ユーザ i が得られるトークン量

つまり、全体の IssueRate のうち自分の IssueRate が占める割合だけPLMが分配されます。この時、開発費用として 3/20 である 75,000,000 PLM が使われます。

また、1回目の Lockdrop における単位 IssueRate のPLMの量をここで α_1とおきます。これは2回目以降の Lockdrop における PLM 発行量を決めるための重要な値となります。

α_1 は初回 Lockdrop における単位 IssueRate あたりの PLM 発行量

2回目、3回目の単位 issueRateあたりの PLM 発行数を a_2, a_3 と以下の等式を満たすように定義します。

α_2, α_3 は2,3回目における単位 IssueRate あたりの PLM 発行量

上記から2回目,3回目のユーザ i に配られるPLMの量は以下になります。

j 回目の Lockdrop におけるユーザiが得られる PLM の量

こうすることで、2回目以降の Lockdrop のおいてユーザは単に IssueRate に比例した量のトークンを得ることができます。これにより、2回目以降に Lockdrop を行うユーザが非常に増えた場合、ユーザが取得できる PLM の量が全体の割合に対して過度に少なくなってしまう問題を解決します。

複数回の Lockdrop におけるトークン配布量がどのように変わるかの具体例を以下の図で示します。ここで DollarRate は一定とします。

何回目の Lockdrop かでもらえるトークン量が変わる例

なぜ Lockdrop によるトークン発行を行いますか?

  • 私達は担保となるユーザの資産を保有しません。
    ユーザは詐欺師による資産の強奪リスクを考慮する必要がありません。
  • 機会費用を担保に PLM を発行します。ユーザが Lock した資産は Lock 期間が過ぎた後に帰ってきます。
    低コストでユーザは Lockdrop に参加できます。
  • スマートコントラクトを動作できるすべてのユーザが Lockdrop に参加可能です。
    すべてのトークン保有者に参加機会があります。
  • Airdrop とは異なり Lockdrop の参加者はコストを支払って PLM を取得します。
    ゼロでない価値のトークンを発行する事ができます。

なぜ Lockdrop を複数回に分けますか?

  • 初回の Lockdrop ですべての PLM を発行した場合、少数のトークンホルダーが莫大な量の PLM を所有する可能性があります。そうした場合、健全なエコシステムが動作しない危険性があります。
    過剰な先行者利益を防ぎます。
  • 複数回の Lockdrop を行うよりトークンの取得機会を増やすことができます。
    より大勢に PLM を取得できる機会を設けます。

技術的概要

技術的概要について英語記事にて近日公開させていただきます。

結論

この記事は、Plasmchain におけるトークン配布システムの紹介です。Lockdrop は、潜在的な投資家に対するリスクを最小限に抑えた、新しいトークンの発行を約束します。 複数回のロックドロップを行うことで異なるネットワークのユーザがトークン配布に参加する機会を増やします。

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