アフターコロナを見据えたこれからの働き方

Rei Inamoto
Apr 14, 2020 · 10 min read

これは、2020年4月2日に英語で公開した記事をもとに、日本語版として加筆・編集したものです。

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「皆さん、当社は明日から在宅勤務に切り替えます。」

今から約1ヶ月前、3月10日火曜日の午後。

I&CO NYで働く全員がオフィスの会議室に集まりました。その時点で全社員にリモートワークを求めるのは、時期尚早にも思えるタイミングでした。

しかし今思えばそんな心配も甘かったかもしれません。

その日に私たちが作成した「COVID-19 状況下のリモートワークに関するガイドライン」は、感染の急速な拡大によってすぐさま有用なものとなりました。それ以来私たちはこのガイドラインをアップデートし続け、今後も進化させる予定です(読者の皆様からのコメントもお待ちしています)。

私たちはこの異常な状況から、事態に直面している現在だけでなくそれ以降の生活においても、人々がより良い協力関係を築き、文化を確かなものにするための普遍的な方法を学び取れると考えています。

ここでは、私たちが見出したこれからの働き方の原則を4つご紹介します:

  1. 隠れず、見せる
  2. 小さなルーティンをつくる
  3. 「伝えた」と「伝わった」の大きな違い
  4. オンのためのオフ

これらは在宅勤務、リモートワークに限った事だけではなく、オフィス内での働き方にも有用なのではないでしょうか?

1. 隠れず、見せる

通勤の負荷もなく、朝食を食べ終わったらすぐにノートパソコンの前に座って仕事を始めることができる。そのような点において、リモートワークは生産性を高めます。とりわけSkype、ZoomやSlackなどのデジタルツールのおかげで、遠隔のコミュニケーションは飛躍的に容易になりました。しかしこれらのツールを使っても、対面の会議と全く同じようにお互いの行動やリアクションを掴めるわけではありません。

また、他の事をやりながら会議に参加したりすることも出来る一方、デジタルツールがある意味自分を隠す「覆面」になりかねません。

私たちが日々いかに言葉以外のコミュニケーションを頼っているかを忘れてはなりません。遠隔のコミュニケーションにおいてそれを助けてくれるのが、言葉とともに表情を伝えることができるビデオ会議です。すでに多くの企業が実践していることではありますが、ビデオ会議の際にカメラをオンにするとしないとでは、参加者全員がその会議に有意義な関わりをもつことができるかどうかに驚くほどの違いが生まれます。

カレンダーやSlackでも、自分のステータス(稼働状況)を可能な限り明確にしましょう。そうすることでチームのコラボレーションや業務プロセスがスムーズになるだけでなく、状況がクリアでないことによるストレスを軽減することができます。

デジタルツールが益々浸透するにつれて、チームの可視化と透明性は、これからの働き方にとってこれまで以上に重要になるでしょう。ここでの教訓は「デジタルツールの便利さに安住しすぎてはいけない」ということです。

「デジタルツールの便利さに安住しすぎてはいけない」

2. 小さなルーティンをつくる

効率的かつ効果的であるためには、特にリモートワークの環境においては、意識的にチームの一体感を高める必要があります。そのために有効なのが、誰もが参加できる小さな習慣、ルーティンを作ってみることです。

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一体感は一朝一夕には生まれません。チームメンバー全員の理解と根気によってはじめて生まれるものです。朝会や夕会といったごく一般的な取り組みも、チームに習慣を生むうえでは重要であり、 COVID-19以降もリモートワークを効果的なものにする助けとなるでしょう。

一方で、こうした平凡な取り組みはついつい忘れてしまいがちです。そこで私たちは毎日のミーティングで「みんなの Fun Fact」をトピックに取り入れています。小さくてくだらない、人間くさいやり取りが、チームのムード作りに驚くほど良い影響を与える。それは私たちにとっても新鮮な発見でした。

Tokyo Officeでは、趣味や自分の気になることについて共有する時間を設けています。仕事の仲間に改めて自分のことを話す機会というのは意外とないものです。雑談の延長のようにも思える何気ない取り組みだからこそ、日々のコミュニケーションを下支えするルーティンになっていきます。

良い仕事は会議やビデオチャットの回数を増やすことから生まれるものではありません。習慣に基づいた、チームの信頼と共感から生まれるのです。

「質の良い仕事は、チームの信頼と共感から生まれる」

3. 「伝えた」と「伝わった」の大きな違い

オーバーコミュニケーションが今成功しているもっとも分かりやすい例は、アンドリュー・クオモ ニューヨーク州知事のCOVID-19に対するアクションではないでしょうか。彼が実施する毎日のブリーフィングは、ニューヨーカーだけでなくアメリカの多くの国民にとって、何が起きているのか、そして政府が何をしているのかを知るための情報源となっています。

彼の行動の根底にあるのは、Googleのような大規模組織でも大切にされている次の姿勢です:情報を提供し、要求し、決定する。

これは対面かリモートかにかかわらず、共に仕事をするチームとそのリーダーにとって有効な方法でもあります。

昨日できたことと今日達成したいことを明確にし、チームに情報を提供しましょう。誰に何のタスクを割り当てるのかを、できれば期限とともに明確に要求しましょう。そして意思決定者を明確にし、ことの大小を問わず、決めるべきことをきちんと決めて物事を前進させることが大切です。

以前このようなジョークを聞きました:

日本人のビジネスマンにYes or Noの質問をすると返って来る答えは何か?

正解は「 or 」

反対はしないけど、賛成もしない。このジョークは皮肉ではありますが、日本の企業にありがちな、曖昧な仕事の進め方を浮き彫りにした言葉ではないでしょうか?

今置かれている状況は、こうした曖昧な仕事の進め方を見直す絶好の機会でもあるのかもしれません。

そしてもう一つ、コミュニケーションをする際の小さな、しかし重要なお願いをメンバーにしています。それは、たとえ特定の個人に向けた話題であっても、チームで仕事をするときには一対一のメッセージ送信を避けるようにというものです。これは当たり前の感覚に反するようにも聞こえますが、たとえばSlackで交わすDMは「噂話」になる可能性があり、あなたが想像するよりも容易にチームメンバーの齟齬を引き起こす恐れがあります。タスクについてチームの誰かにメッセージを送る必要があるときは、オープンなチャンネルでメンション機能を活用しながら、その人にメッセージを送りましょう。

誰かに仕事のメッセージを送る、「伝える」ことが私たちの仕事ではありません。その先にあるメンバーの意識・情報レベルが揃う「伝わった」状態であることがスタートライン。そして、お互いが認識し、物事を明確にしながら仕事を進めていくことが重要です。質の高いチームと、物事を前に進める意思決定は、やりすぎなくらいの細かなコミュニケーションから始まるのです。

「伝えることだけが仕事ではない。」

4. オンのためのオフ

テクノロジーは仕事の非効率を解消してくれます。それは一見ポジティブな側面ばかりに思えます。

しかし、一日中切れ目なく続くビデオ会議に疲れ切ってしまった同僚を見かけることも増えてきました。(私たちは、意識してデジタルツールをオフにする時間を推奨しています。)

デジタルによって世界は常に「オン」の状態になり、「オン」の時間はこれからも増え続けます。常に、いつでも、どんな場面でも。

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私たちはテクノロジーに頼るようになり、事実テクノロジーによって、より効率的に仕事がしたりできるようになりました。しかし効率化だけを追求していては、心は次第に疲れてしまうものです。自分自身を大切にし、本当の意味で人とつながることができるかどうかは、ツールやテクノロジーではなく私たちが人間としてどう振る舞うかにかかっています。

この考え方を大切にして、私たちが最近意識的にやっている取り組みををご紹介しましょう。効率こそ正義という現代においては、ある意味で必要のない、非効率的にさえ思われるような取り組みです。

私たちは現在リモートワークを徹底しているので、取り組みのほとんどはSlackチャンネルを活用しています。例えば「#最近のオススメ(#letters-of-recommendation)」はお勧めの本や映画、番組の情報を交換するためのチャンネル。また「#つながりテーマ(#WFH-but-still-connected)」は、名前のとおり離れていてもつながりを感じられるよう、リモートワークをしている部屋の写真や食べているスナック、部屋の中にある自慢のアート、聞いている音楽、一緒に暮らしているペットなど、設定されたテーマに沿った写真を共有する場となっています。

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私たちはみんなプロフェッショナルで、取り組んでいる仕事はシリアスなものばかりです。しかし、私たちはこのようにして定期的に「オフ」になるための小さな工夫を積み重ねる必要があります。なぜなら「オフ」の時間はあなたが効果的に「オン」になることを助け、むしろ生産的を高めることにつながるからです。

忘れてはならないのは、特にリモートワークをしている場合、こうしたオフの取り組みにも一定のルールや声かけが必要だということです。例えば先ほど紹介した「#つながりテーマ(#WFH-but-still-connected)」は、オフィスマネージャーが毎日のテーマを設定しみんなに知らせて積極的な参加を促しています。

こうした「オフ」の瞬間は、チーム内の壁やヒエラルキーを取り除き、一体感を生み、それが徐々に文化となって、離れていてもチームの距離を縮めます。

「工夫されたオフが、より良いオンにつながる」

終わりに:

テクノロジーによって世界がつながり、距離という概念が縮まっていく中、GDPでは中国に追い抜かれてはや10年。日本の企業が世界に取り残されていく危機感は、認めざるをえません。

「働き方改革」が盛んに唱えられる日本で、デジタルツールを駆使しながら、他国に遅れをとっている所を改善していくのはもちろん大切なことです。

しかし、働き方を変えてくれるのは、道具ではなく、それを使う人間です。

デジタルツールが発達し、色々なことがとても便利になった世の中だからこそ、あえて我々の「人間らしさ」を再認識するのが大切なのではないでしょうか。

I&CO

A collection of articles by the I&CO crew on the future of business

Rei Inamoto

Written by

A designer by trade, a minimalist at heart. Founding Partner of I&CO. Named in “Creativity 50,” “The Top 25 Most Creative People in Advertising.”

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