スタートアップにおける事前検屍(死亡前死因分析)のススメ

Taka Umada
Startup on Rails (仮)
2 min readJun 2, 2015

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意思決定をするときには、関係者から様々な意見や視点を集めて行うことが有効だと言われています。ただスタートアップ内のそうした発言において特にやりにくいことの一つは「ネガティブな意見を言う」ことです。

一般的にノリの良いスタートアップはネガティブな要素の発言を嫌う傾向にあります。「悲観的に計画し、楽観的に行動する」「常に最悪を想定する」と口では言いつつ、なかなか最悪の事態を想定した発言が雰囲気的に行いにくいところや、ほとんど定まっているチームの方向性に対する疑念を口に出しにくいところがあります。自分たちの判断に自信過剰になりがちで、良い意思決定ができません。

そのようなときには是非「事前検屍 (premortem) 」を行ってみてください。これは Gary Klein が産み出した考えで、以下のような議題を設定するだけです。

「今が1年後だとして、今決めた計画を実行しました。しかし大失敗に終わりました。どんなふうに失敗したのかを簡単にまとめてください」

こうした想定の上でディスカッションすることで、前向きな形でチーム内の懐疑的な視点や見落としていたリスクを発見することができます。話し合った結果、本当にそうしたリスクがあり、事前に対応可能なものであれば、実行の前にそのリスクを潰せばいいだけです。

実際に Gary Klein が行った実験では、「その従業員が半年後に辞めるとしたらどんな理由が考えられるか」という問いと「半年後、その従業員が会社を辞めたとする。その理由は?」という問いの 2 種類を用意しました。後者が事前検屍にあたります。この結果、前者の聞き方では平均 3.5 個の理由が挙がりましたが、後者は平均 4.4 個と 25% 近く挙げられる理由の数が多かっただけではなく、理由も具体的なものが挙がったとされています。

事前検屍(死亡前死因分析)は簡単ではあるものの、一つの有効な考え方です。重要な意思決定をする前には是非試してみてください。

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Taka Umada
Startup on Rails (仮)

The University of Tokyo, Ex-Microsoft, Visual Studio; “Nur das Leben ist glücklich, welches auf die Annehmlichkeiten der Welt verzichten kann.” — Wittgenstein