クラウドソースサービス「99designs」でロゴを発注してみた
99designsというクラウド・ソースのロゴ・デザインのサイトでロゴを発注したので、その時の様子を書いておきます。いくつか自分が見つけた傾向と対策もあったので、もし利用を検討している方がいたら参考にどうぞ。
99designsとは?
99designsは、ロゴやウェブサイト、Tシャツのデザインを発注できるサービスです。いわゆるクラウド・ソースのシステムになっていて、クライアントの開いた「コンテスト」にデザイナーが応募、一番優れたものをクライアントが選んで発注する仕組みになっています。
元々はオーストラリアで起業し、後にサンフランシスコにもオフィスを開いて世界展開をしているそうです。
日本語のサイトもあり、日本語で発注することもできます。
ロゴの用途
現在スマートフォン向けのゲームを開発しています。いわゆるスプラッシュ・スクリーンにスタジオのロゴを表示したいということで、今回の依頼になりました。
※後から「名刺に載せるときに縮小しても綺麗に見えるものが良い」とかアドバイスをもらって、おおなるほどという感じで色々な「展開」をすることを考え始めましたが…。
コンテストの作成
まずはコンテストを作成します。例えば「私たちのスタジオのロゴを制作してください」というような募集をします。そのコンテストにデザイナーさん達が応募をしてきます。
コンテストは、「英語」または「日本語」で概要を記述することができます。99design自体は翻訳をするようなサービスは提供していない(と思う)ので、どちらを選ぶかで応募してくるデザイナーさんも変わってきます。
今回は、英語圏を含めて活動しているデザイナーさんに制作してもらうことを意識していたので、頑張って英語でチャレンジしました。タイトル、サブタイトル、企業・商品についての説明、業種それから「伝統的か現代的か」などのスタイルを指定し、イメージを伝えるために既存のロゴをいつくつか選ぶこともできます。こちらで内容を読むことができます。
提案が沢山来る!その後の応募者とのやりとり
コンテストを作成すると、数時間で提案が届き始めます。こちらで、古い者から順に提案を見ることができます。
コンテストが始まったら張り付く要員が必要
コンテストを始めたら、どんどん提案がきます。多いときはリロードする度に新しい提案が来る感じです。提案者はメッセージを通じて「フィードバックしてね」と言ってくるので、どんどんフィードバックを返す必要があります。五つ星評価をつける他、メッセージで直接「もっとこうして」と頼むこともできます。
ここで気をつけたいのは、最初の提案は「修正を前提にしたジャブ」であることです。つまり、フィードバックをしてどんどん新しい提案を生み出していかないと、ゴールにたどり着くことができません。思った以上にここが大変で、コンテスト期間により良い改善のサイクルを回すには、張り付きになる人員が必要なのではないかと思いました。
フィードバックを返す際は、まず「素晴らしい!」などと褒める言葉とThank youを伝えた上で、具体的に「こういうバリエーションも見せてもらえますか?」というメッセージを送ります。
タイムラインで発生するインスパイアの連鎖
フィードバックを加えつつ新しい提案を眺めていると、後からやってきた提案が結構ほかの提案を良く見てるな、ということに気がつきます。良く見てるな、というかぶっちゃけていうとパーツをさくっと流用してきます。インスパイアされまくる。最初はこれを見て「うーん、後出しジャンケンだなあ。流用された方はつらいなあ」と思ってたんですが、俯瞰して眺めるとタイムラインで参加者全体がコラボをしているという面もあり、これはこれで発注者には嬉しいのではないかと思うようになりました。
意思をはっきりとフィードバックをすると、そのデザインをアレンジした提案が別の人からも届く。この繰り返しで参加者全員で希望するデザインに向かっていく訳です。
提案の多様性を奨励するには?
先に書いたようにインスパイアが多発するタイムラインでは、一方で多様性が生まれない懸念があります。このため、それまでの流れに沿っていないデザインで気に入ったものがあれば、積極的に高評価をするようにしていました。
追記:タイムラグ
応募者の居住地域はぱっと見分からないのですが、いくつかのプロフィールをチェックしたところ、使用言語に「インドネシア語」が多く含まれているようでした。99designs全体の傾向なのかは分かりませんが。提案が届く時間帯については、東京のタイムゾーンとほぼ重なっていた印象です。昼過ぎくらいから、ほぼリアルタイムでやりとりが進行していました。
支払いの確定
ここまで大量の提案がとどいていますが、それでも気に入る提案が集まらない場合もあるかもしれません。99Designsでは、提案が気に入らない場合はコンテストをキャンセルすることもできます。
逆に「現在の応募のどれかに必ず支払いをしますよ」という意思表示をすることもできます。必ず1つは選択がされるということで、恐らく提案者の意識も変わるのではないでしょうか。
ちなみにぼくの場合は、#4のデザインが来た時点で「支払いを確定しても良い」と判断したので、3日目に少し提案の増加が停滞した際に確定処理をしました。実際、それ以降に再度提案が増え始めました(支払い確定の影響はちょっと計りかねる感じはありましたが)。
最終候補の決定
最初の予算だと、5日間でコンテスト予選が終了し、6人の候補者を選ぶように言われます。この6人がいわば決勝に進むメンバーとなり、それからさらに3日ほど決勝メンバーだけでデザインの改善提案をしていきます。
最終作品の選定
候補の中から最終作品を選びます。提案者に「おめでとう!」メッセージと共に納品物のフォーマット指定などをして、問題無ければ支払いを確定します。
今回は、単体でイラストとしての面白さがあるロゴと、シンプルながら色々な使い方ができそうなロゴとで最後まで悩みましたが、「使い回し」の部分を重視して決断をしました。
- 費用: 53099円
- 提案総数: 107件
- 応募デザイナー数: 29人