「The Data Journalism Handbook」はこうしてはじまった

一枚の写真が示すデータ・ジャーナリズムの本質

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全てはここからはじまった

データ・ジャーナリズムの実践的なガイドブックとしてNew York TimesやThe Guardianの記者が集まって執筆した「The Data Journalism Handbook」。

ロンドンで開催されたMozilla Festivalに集まったジャーナリスト達が、当時盛り上がりを見せ始めていたデータ・ジャーナリズムについてのワークショップを開き、48時間で最初の版を完成させたのが始まりでした。その後6ヶ月に渡るオンラインでの作業を経てこの文書は公開されました。

その最初の章にこの写真が飾られています。

時がたって2016年。米大統領選挙でのトランプ氏とクリントン氏の戦いが世界的な注目を集め、多くの人がNew York Timesの制作したリアルタイム・ニュースを――あのブラウザの中で揺れ動くゲージを――見守りました。

いまや当たり前のようになったデータによるジャーナリズム。こうした新しい試みを支える人々が、黎明期にオープンな共同作業でData Journalism Handbookを執筆していたことは感動的でもあり、また同時に必然でもあったとも言えます。なぜなら、組織や職種を超えたオープンな共同作業は、データ・ジャーナリズムの本質でもあるからです。

このハンドブックでは、多くのデータを使った報道の事例とともに、データの集め方、データからストーリーを紡ぎ出す方法、エンジニアや記者といったこれまで別々の場所で仕事をしていた人たちがどうやってコラボレートするのかが語られています。そしてその事例の一つ一つに、関わった人々の情熱がこめられています。

さて、日本においてもこうした熱気に賛同した有志による翻訳作業がはじまり、沢山の方の協力を経てついに第1版が完成しました。

The Data Journalism Handbook

このハンドブックの公開を記念してイベントも予定されています。翻訳プロジェクトのメンバーがハンドブックの内容についての講演を行います。

ぼく自身もこのプロジェクトに関わっており、イベントでは「データ・ジャーナリズムとはなにか?」についてお話させて頂く予定です。

“help write … THE WORLD’S FIRST DATA JOURNALISM HANDBOOK”

この誘い文句に、Moz Festでの高揚した雰囲気がにじみ出てますよね。とても好きな写真です。そして自分がその高揚の結晶に翻訳という形で関わることができたのは、とても光栄で楽しいことでした。

イベントでは、そういう楽しさが少しでも皆さんに伝わるようにお話をさせていただきたいと思っています。

ぜひ、会場でお会いしましょう!

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立薗理彦(たちぞのまさひこ)
スタジオピグボ

「ナタリー」「ゼゼヒヒ」「ポリタス」いまはこれ→「カラクリ合戦伝」(スマホ用リアルタイム・ストラテジー・ゲーム) https://yoyaku-top10.jp/u/a/MTgwNzA