半構造化インタビューのコツ 〜非構造化部分をどう攻めるか〜

--

スタディスト開発ブログ Advent Calendar 2023の11日目の記事です。

スタディスト 開発本部 プロデザグループの磯野です。久しぶりのブログ記事ですが、今回は最近グループ内で話題になったインタビューのコツについて書いてみたいと思います。

はじめに

ユーザーリサーチとして行うインタビューは、事前に質問リストを用意して行う半構造化インタビューが多いと思います。質問リストを元にして行う構造化部分は準備の時間も取ることが出来るので、インタビューアーのスキルに依存する部分が少なく、安定した品質で実施できます。一方で非構造化部分については「深掘りを行う」「気になった点を詳しく聞く」という大まかな方針のみでインタビューに臨むケースが多く、インタビュー品質はインタビューアーのスキルに大きく依存してしまいます。

本記事では、BtoBサービスやプロダクトを中心に、非構造化インタビューに臨む際のコツを3つ紹介します。

コツ①:不足情報を追加で質問

質問リストの質問をすれば知りたいことをすべて答えてもらえるとは限りません。知りたいことを十分知るために質問リストに有るものだけでなく、追加で質問をする事が必要です。

もれなく必要な情報を得るために、事前に整理した全体像に基づき、インタビュー中に情報の不足部分を確認する事が有効です。

常に全体像を意識・確認しながら質問をしていくのは難しいので、一通り質問が終わった後に見返したり、サポート役が全体像を見返しながら追加の質問を行うのが効果的です。

コツ②:回答の深掘り

応答者の回答をさらに詳しく探るために、特定のキーワードに注目することが有効です。

  • 限定表現・比較表現:「私の場合は」「普通は」「前より」など
  • 程度を表す表現:「いつも」「大きい」など
  • 感情や効果を表す表現:「うれしい」「便利」「助かる」など
  • 不確実性を表す表現:「たぶん」「おそらく」「〜のはず」など
  • 一般的な用語、概念:「業務指示」「管理業務」など

限定表現や比較が有った際には、それ以外のケースを把握することでより多面的な情報を得ることが出来ます。

程度を表す表現はそれが具体的・定量的に言うとどの程度なのかを把握することでより正確な情報を得ることが出来ます。

感情や効果を表す表現そう思った背景を聞くことで、その人が何を大事にしているのか、何を重視しているのかを知ることが出来ます。実際の効果の大きさとユーザーが持っている感情の大きさが想定とは違うことは多いです。

不確実性を表す表現背景を確認することでその事象の発生確率や発生条件、またはその人がその事象にたいしてどれほど近い位置にいるのか把握することが出来ます。

一般的な用語、概念は大体の意味はわかるので流されがちですが、業界・職種によって具体的な形が異なる場合が多いです。具体的にどのようなものなのかを把握することが重要です。

コツ③:トピックの拡張・転換

元々聞きたかったテーマから離れて質問をしていく方法です。インタビューイーが持つ情報から新たな洞察を得るために質問の範囲を広げましょう。個人の背景、業務プロセス、組織・人の関心事を知ることで、より深い理解を得ることができます。たとえば、次のような質問を試みてください。

インタビューイーがこちらの期待した情報を持っていないケースや、事前に準備した設問が少なく時間が余ってしまったケースなどでも使えます。

大まかに以下のような切り口で質問をしていくのがおすすめです。

  • 個人をより知るための質問: インタビューイー自身のITリテラシー、価値観、年齢、学歴、働き方について理解を深めることで、顧客像を明確に描くことができます。
  • 業務プロセスを知るための質問: インタビューイーの日常業務がどのようなプロセスで進行しているかを具体的に把握することで、リサーチ後の課題発見や解決策の検討が容易になります。(業務フローチャート、サービスブループリントをイメージしてます)
  • 組織・人の関心事を知るための質問: インタビューイーだけでなく、上司や経営層が何に注目しているかを理解することで、顧客への提案がしやすくなります。

非構造化インタビューの具体例

不足情報を確認の例

Q: 1日の業務の流れを時系列で教えてください
A: 10時に出社してすぐ品出しかレジに入ります。そのあと・・・

Q: 職場に到着して実際に作業を始めるまでにどんなことをしていますか?

回答の深掘りの例

Q: 入社初日に受けた教育内容を教えてください」
A: 自分のときは、まず店長から紙のマニュアルを渡されてそれをもとに説明を受けました。そのあと・・・・・

Q:「自分のときは」と仰ってましたが、他の人は違うのですか?

Q: 本部と店舗のやり取りはどのようなものがありますか?
A: 本部からは毎日業務指示が来るのと、店舗からは・・・・

Q : 業務指示とは具体的にどういったものですか?

トピックの拡張・転換拡張の例

一通りの質問が終わった後で

Q:〇〇の業務以外で会社や個人として関心が有るものや課題があるものはありますか?
Q:その課題について上司や同僚の認識はどうですか?

まとめ

半構造化インタビューでは、以下のポイントを意識することが重要です。

  • 知りたいことを漏れなく聞くために、質問リストに囚われずに情報の全体像を追求する
  • 回答内容をさらに深く掘り下げ、具体的な情報を得るために重要なキーワードに注目する
  • ユーザーから有益な情報を引き出すために、広い視点でアプローチする

この記事が、皆さんが行うリサーチにおいて、少しでもお役に立てば幸いです。次回のインタビューで、ぜひこれらの攻略法を試してみてください。

仲間を募集しています!

株式会社スタディストでは、一緒に“知的活力みなぎる社会”をつくるメンバーを、広く募集しています!「まずは話だけ聞いてみたい」も大歓迎です。少しでもご興味がある方は、お気軽にご連絡ください。

事前に開発本部の概要が知りたい、という方は、Entrance Bookを覗いてみてください。

採用情報はこちらをご参照ください。
https://recruit.studist.jp/

最後までお読みいただきありがとうございました!

--

--