ユーザーヒアリングで「本質的な価値」を見つける方法

HARAGUCHI Yumiko
Sep 7, 2018 · 9 min read

こんにちは、UXデザイナーを目指して右往左往しているiOSエンジニアの原口です。

突然ですが、皆さんは「こういうプロダクト(機能)があったら便利だよね。ちょっとUI考えてみてよ」という具合にふわっと企画や開発を引き受けるなんてことはありませんか? 私たちは今回そのような場面に直面してしまいました。

Photo by rawpixel on Unsplash

プロダクトの詳細はまだ明かせませんが、弊社営業が日常的に利用している某サービスがいろいろなことを自社にあった形に出来て便利な反面、新しく入社した方が慣れるまでに時間がかかるという課題がありました。そこで、弊社サービスのマニュアル作成ツール「Teachme Biz」で同じように困っているユーザーさんを助けてあげられたらいいね。と、ある程度やりたいことが書かれている企画書を渡されました。

その企画書には主に以下のような3つのことが書かれていました。

  • アイデアベースのプロダクト案
  • このプロダクトによって助かる人
  • ビジネスモデル

そこにはテーマはあったのですが、コンセプトがありません。
私の中でテーマとは「何をするか(what)」であり、コンセプトは「どうやってやるか(How)」という位置付けで考えています。
そして、これから私たちはコンセプトを考え出さなければなりませんでした。
この「コンセプト」を出すために行なったステップは3つ。
1. ユーザーヒアリング
2. KA法と価値マップの作成
3. 構造化シナリオ法によるシナリオ作成

ユーザーの痛みを知るべくヒアリングを行い、ヒアリング内容をもとに価値マップを作ることで、どこにどういった価値があるのかを知ることができます。
その上でユーザーの動向をシナリオ化していきます。そうすることによって、本質的なユーザーの欲求・目的が明確になり、私たちが手がける企画の目指すべきゴールが自ずと見えてきたのです。

今回はこの中から本質的な価値を導くための「1.ユーザーヒアリング」と「2.KA法と価値マップの作成」について取り上げてみたいと思います。

「ユーザーの痛み」と「本質的な価値」を導き出すための4つの手順

私たちが「本質的な価値」を得るために行なった4つの手順を紹介します。ユーザーヒアリングの方法論のひとつとして皆さんの参考になればと思います。

1. 情報収集

弊社営業部をモデルにして、本プロダクトの対象となった某サービスと営業部の接点を探るため、情報を収集することにしました。

【収集した資料】

  • 営業フロー図
  • 営業フローと某サービスとの関連図
  • 営業ブートキャンプ資料
  • 営業マニュアル
  • CS業務プロセス資料

そもそも某サービスでは何ができるかとか、営業プロセスのことも全くの無知でしたので、事前知識を営業フローなどから勉強する必要がありました。
さらに某サービスのアカウントを発行してもらい、実際に操作したり画面を眺めたりして、ユーザーがどの辺りに痛みを感じているのかを自分なりに過程を立てていきました。

2. ヒアリング準備

ヒアリングを行うためには、どこに課題がありその課題をどう解決するといいのかという過程を立てて置く必要があります。またヒアリングの場において、今何について話し合っているのかを常に明確にしなければなりません。
そこで情報収集した内容をもとにエクスペリエンスマップを作成することにしました。

まずは営業プロセスにフォーカスし営業メンバーの行動を時系列に並べます。
そしてその時の感情や思考を付箋に記してマップに貼っていきます。

さらに今回は課題と解決策を時系列で俯瞰したかったので、少しカスタマイズしてマップの中に課題と解決策という項目を付け足し、想定しうる課題と解決策も付箋に書いて貼っていきました。

エクスペリエンスマップを用意したことで営業メンバーの行動が可視化でき、どのプロセスに課題があるか、どうすれば解決できるかについて容易に議論することができました。

3. ヒアリングを実施

ヒアリング当日がやってきました。
最近弊社営業にジョインしたばかりの2名と、営業サポートメンバーとバリバリのフィールドセールスマンの4名を会議室に招集し、いざヒアリング開始。対する私たちは、デザイナー2名と私、そして開発部部長の4名。

当日行った準備としては以下のようなものです。

  • 用意してきたエクスペリエンスマップを壁に貼る
  • 付箋と色ペン
  • 録音できる機器(スマホ)

アジェンダとしては、

  1. 企画の内容の説明を行い、今回のヒアリングの意図を知ってもらう
  2. エクスペリエンスマップの説明。マップの見方からマップに書かれている内容の共有
  3. ヒアリング開始

いきなりヒアリングを開始しようとしても、参加している営業メンバーはこのプロダクトの背景も企画内容もほとんど知らされていなかったので、まずは説明から行うことに。
前提状況をお互いで共有することで、スムーズにヒアリングを開始することができます。

ヒアリングはエクスペリエンスマップをもとに営業フェーズごとに行うことにしました。
それぞれのフェーズでどんなことに困っているのかを丁寧に営業メンバーにヒアリングします。
ヒアリングの具体的な内容は「私たちが仮定した課題は正しいかの確認」と「私たちの考えが及ばなかった課題はないか」の2点。

営業メンバーから出てきた課題内容ひとつひとつをその場で付箋に書いていき、エクスペリエンスマップの時系列の中で当てはまるポイントに付箋を貼り付けました。
そうすると、一番困っているフェーズに付箋がたくさん密集していき、どのフェーズでどれだけ困っているのかが一目瞭然となったのです。

4. ヒアリング内容を分析

ヒアリングを行うだけでも、どこに課題があるか、どの課題を解決したら良さそうか、なんとなく課題感の検討がつきます。しかし、その課題を解決した先にどのような価値があるのかはまだわかりません。
この「本質的な価値」を見つけるためにKA法と価値マップの作成を行いました。

KA法とはヒアリングから得た情報をもとに、「出来事」「ユーザーの心の声」「出来事の背景にある価値」を書いていき、課題から価値へと転換させていく技法です。

まずは上記のようなカードを用意します。(私はカードの代わりに付箋を使用しました)
そしてそのカードに以下のようなことを書いていきます。
1. ヒアリングによって得られたユーザーの出来事。
2. その出来事が起こった時のユーザーの心の声。(ユーザーになりきって書いても良いのだそう)
3. 出来事と心の声から導き出した出来事の背景にある価値を書く。

【例】

この作業をすべての課題で繰り返し行います。
その結果、今回は約30枚ほどのカードの山が出来上がりました。

最後にこのカードの山を使って「価値マップ」を作成します。まず、たくさんのカードの中から似たような価値を集めてグルーピングしていきます。
そしてグループ内で共通した体験価値は何かを考え、グループのテーマとして書き出します。

こうすることでいくつかの体験価値の洗い出しと価値同士の相関関係の可視化を行うことができました。

以上4つのステップでユーザーの「本質的な課題」とユーザの求める「本質的な価値」を導き出すことができました。
実際にはこの後私たちはこの価値マップを作成することによって洗い出されたいくつかの「本質的な価値」の中から、どの価値に焦点を当てるかを考えました。
それは、それぞれの体験価値に重み付けを行う方法で実現しました。
例えば、どの価値が一番たくさんの人を助けられるか、一つの価値を提供することで他の課題も解決できるかといった視点から、各価値に重み付けを行いました。

ユーザーヒアリングから価値マップ作成までをやってみた結果

本質的な課題と価値の発見の他にも、実際には以下のようなメリットが得られました!

  • アイデアが机上のものにならない
    実際に現場の声を吸い上げるので、事実に即した課題が得られました。
  • 合意形成がはるかに楽になった
    なぜこのようなコンセプトにしたのか、本当に課題や価値がそこにあるのかなどについての説得力が増すため、根底から覆ったり、合意形成の場での議論がブレたりしませんでした。
  • 自分の意見に自信が持てた
    自分のアイデアだけでなく、ヒアリングを通してたくさんの人の意見も入っているので、自信を持って合意形成の場でプレゼンテーションを行うことができました。

企画案をもとにUIデザインを考えることになった時、ぜひヒアリングから始めてみてはいかがでしょうか?

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