#虫展 “Insects — Models of Design”

昆虫から考えるデザインに迫る

Taro Matsumura 松村太郎
@tarosite

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最近はいくつか他にもできたので「六本木にある東京ミッドタウン」と言わないと場所が特定できないと思いますが、六本木にある21–21 DESIGN SIGHTで「虫展 デザインのお手本」が開催されています。会期は11月4日まで。

NTT研究所から慶應義塾大学へ移って教鞭を取られた後、体感して写真家として新人デビューするという、バイタリティあふれるキャリアパスを描かれている恩師の小檜山賢二先生。長らくアメリカにいていくつもミスして悔しい思いをしてきたので、今回の虫展にも参加されるということで見に行きました。

昆虫の驚くべき高精細写真は、マイクロアーカイビングという手法で撮影されており、まるで今にも動き出しそうな迫力に満ちています。いや、確か8年以上前に先生のラボで見たデモは、すべてにピントが合っている微細な昆虫の写真の足や触覚が、リアルに動いている様子が目の前に飛び込んできました。あれは、本当に良い意味で、気持ち悪かった…。

さて虫展を見れば見るほど、小檜山先生の大学での授業が思い出されるテーマだと思いました。昆虫の進化を「デザインのお手本」と設定しており、小檜山先生の授業の冒頭で触れる

昆虫はハードウェア進化、人間はソフトウェア進化

というメタファーそのものだったからです。

昆虫は長い年月をかけて、膨大なハードウェアのバリエーションが登場し、その中から生き残ったものが子孫を残していく。環境、すなわち自然やほかの生態系に属する生物・植物の進化とも関係しながら、生きながらえるスペースにあった体の個体が残り続けるわけです。

後から解釈すれば理路整然と聞こえるかもしれませんが、突然変異に頼るハードウェアのバリエーション増加と淘汰を考えると、昆虫同士を比べながらそのハードウェアの「理由」を考える楽しみがあります。そうした楽しみを心得るほどに、小檜山先生の授業やゼミは心に残るものでした。

とはいえ、虫展に行けば、光や音などを通じて、昆虫の生業を人間が体験できるような展示もあり、昆虫を捕まえる対象として捉えている訪れている子どもたちにとっても、異なる体験になっていたようです。

多分、今回の展示はそこまで鳥肌を立てずに見られると思いますので、虫が苦手な方もぜひ。多分虫への理解が深まって、少し好きになったりするかもしれません。

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Taro Matsumura 松村太郎
@tarosite

Journalist/author covering tech, edu, and lifestyle. ジャーナリスト・著者。iU 情報経営イノベーション専門職大学専任教員。キャスタリア取締役研究責任者。Tokyo JP✈Berkeley CA http://forks.tokyo/