21世紀の電子政府!API化するシンガポール

タクシーの利用可能データ。政府はこのようなデータを市民に提供している。

シンガポールで隣人に動物問題が起きたとすれば、誰に報告すればいいのだろう?

生きているか死んでいるか、飼われているのか野生かによって報告する相手は異なる。鳥であれば、それはカラスなのかそうではないのか?答えの組み合わせは誰に話すかで決められる。

官僚的な責任回避が複雑なため、人々は諦めて「友達に電話する」ことを選んできた。友達と言っても、警察のことであるが。

これをどうにかするために、シンガポール政府はOneServiceというアプリを作成した。これはワンストップアプリで国内における問題を報告し、ペット規制や衛生、自然環境、建設といったサイト領域をカバーしている。

報告はその内容に関連のある政府機関へと送られて措置がとられ、アプリ内で進捗情報がアップデートされる。

仕組みはシンプルに聞こえる。では、政府はなぜもっと早く行わなってこなかったのだろうか?

情報通信開発庁(IDA)の政府最高情報責任者であるChan Cheow Hoeは、就任2年前からこの状況を問題視していた。

彼が言うように政府とは複雑な組織で、それまでに彼が銀行やコマーシャルITシステムで何年か経験してきたものとは違うのである。

「資格システムを例にとってみましょう。全ての資格システムを総括した、政府の認可を得た1つのシステムを持つことはできないのでしょうか?もちろん出来ることには出来ますが、そのシステムを作るのはとても複雑なんです。」

「しかも政府機関は85もあります。全ての規制を一つにしようなんて命取りな行為です。」とChanは言う。

そこで、政府は規制統合のための別の手段を試みた。一種の分散構成を起用したのだ。何十もの政府機関から要求される何千もの要求を実現しようとして自ら災難を生み出してしまうのではなく、各政府機関ごとの異なるシステムを、ユーザーも関与できるような別々の「エンゲージメント・レイヤー」として合わせたらどうか?

この手段では、各政府機関に存在しているデータベースが別々に残っている。データはエンゲージメント・レイヤーと政府機関の間をあちこちに繋がれている。

これはユーザー、政府機関の両者にとって良いものである。ユーザーはたった1つのインターフェースを使用するだけで良いし、政府機関はこれならば統合のような不可能なタスクを試む必要がない。

このフィロソフィーはChanが「政府全体のAPI」と呼ぶ土台によって成り立っている。政府機関間だけではなく、政府と公共間でもデータフローを簡単にするネットワークのパイプやゲートのようなものだ。

この政府全体のAPIで重要なのが「APIゲートウェイ」である。これは全てのデータフローを保護し運営するために必要不可欠なシステムなのだ。

これがあれば、APIコールを抑えたり、データを悪用しようとする不正アプリを利用不可にしたり、監査記録をチェックすることが出来る。ダッシュボードがあって、管理者が機密扱いのデータにアクセスに切り替えられるようにもなっている。

情報通信開発庁(IDA)の政府最高情報責任者であるChan Cheow Hoe

APIゲートウェイは2つある:一つは政府機関間の内部データ交換のためのプライベート用、もう一つはAPIのデータアクセスを可能にする国民向けの公共用だ。公共用はData.gov.sg上で見ることができる。これら2つのゲートウェイは別々のものである。

OneServiceの他にも、この政府全体のAPIを使用したオンライン政府アプリがすでに幾つか作られている。

MyInfoというアプリは全ての個人情報を貯蓄しているため、他の電子政府サービスを使用する際にまた情報を入力する必要がない。

他にも、Business Grants Portalというビジネス閲覧のサイトでは、10ほどの政府機関へ助成金を申し込むことができる。

今後これらのeサービスは、すでに使用が進められているPaaSを使って作られるだろう。「これらのプラットフォームを作る方法はすでに存在しているので、いつも新たに作成して作り直す必要がないのです。」とChanは言う。

新しいData.gov.sg

政府は改訂版のData.gov.sgで躍進しており、そのウェブサイト上で公共で利用可能な全てのAPI政府データを収集している。

以前のバージョンは文字通りデータダンプといった感じであった。11,000のデータセットを持っていたものの、それらのほとんどがPDFとCSVであったため、ユーザーは手動でダウンロードする必要があったのだ。これは、アプリ利用の際に困難な問題であった。またデータはData.gov.sg上に収容されていたが、政府機関はまず第一にそこにデータを載せるのを忘れていた。そのためデータは古くて不正確なものであった。

新しいData.gov.sg.

新しいサイト開設は真のオープンデータ・ムーブメントの動向であると言える。11,000のデータセットの他に、500以上の人気なデータセットが整理され新しいサイトにアップロードされた。この質の良いデータセットはAPIを通じて抽出可能だ。今後もより多くのデータセットとAPIが追加されていくであろう。

政府機関は現在、 Data.gov.sg.と繋がっている自身のデータセットを管理する役割を担っている。開発者は抽出データの手引きとなる書類を読むことが出来る。

進歩の余地

シンガポール政府のAPIは、やっと立ち上がったばかりだ。そのようなわけで、国がこの新しいアプローチから十分な利益を得るには数ヶ月か、もしくは数年さえかかるかもしれない。

異なるサービス間におけるさらなる統合と結束の余地の可能性はまだある。例えばSingPassは国の単独サインインシステムであり、様々な電子政府サービスにアクセスできるが、理想としてはMyInfoはSingPassと緊密に統合するべきである。

その統合によって、FacebookとGoogleの単独サインイン方法と似たような事が作成できるであろう。そうすれば様々なアプリ間での個人情報取引が可能になる。ちなみに「シンガポールでサインインする」という特徴はもうすでに存在している。

またChanは、 Data.gov.sgがオープンデータが経済的利益を広げる「APIエコノミー」を作る助けとなることを願っている。しかし一方で、オンラインニュース代理店やソフトウェア開発者が政府データを彼らのストーリーやアプリでより多く活用しているのにも関わらず、コマーシャル企業間におけるデータの巻き取り速度は現在まだ遅い。

ひょっとするとこれはとても時間がかかるものなのかもしれない。マインドセットは突然変わるものではないのだ。

かつての大親分のような上司は、アプリやウェブサイトはこのようであるべきで、色や写真はこれだなどと徹底的に言い張るような、教育のない決定を下していた。

しかし、データ主導の意思決定によって全ては変わった。今はユーザーのニーズが絶対的な主導を握る。

「今日会議に行けば、人々はビックデータについて話すでしょう。しかしそこには問題があります。話すべきなのはビックデータやツールやインフラについてではないのです。」とChanは言う。

「人、ユーザー、ビジネスマンを得て、データを使った問題解決について考える必要がある、ということが最も大事なことです。非常に大きなマインドセットチェンジとなるでしょう。とっても大きなね。」

By Terence Lee

[原文へ]

翻訳:Mayu Tomozoe

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