ロースクールを中退し、3つのスタートアップを立ち上げた22歳の女性
2014年の研究によると、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学のオープンオンラインコース (MOOC)を受講する学生のうち、約95パーセントがそのコースを終わらせることがないという。
Yale-NUSカレッジ の学生であるPayal Lal は、オンラインコースを受講する学生たちを互いに影響させ合うことでこの状況を変えようとしている。Lalと彼女のチームの3人は、受講者同士が相互作用できるようなMOOC ウェブサイトのプラグインを開発している。
Lalは自身の経験からこのインスピレーションが湧いたと言う。「私は授業に行くのが嫌いだったの。でも学校での仲間達とのコミュニティはとっても大好きだった。オンラインコースではこの仲間のサポートがないと気がついたの。」と彼女は説明する。
このプラグインは、3つの小規模なMOOCウェブサイト用のアプリとしてまず始まった。そして良い反応を得た。ディスカッションフォーラムに参加している2パーセントのe-ラーニング受講者に比べるとこのアプリのことを知っていた人のうち30パーセントもの人がアプリを使用した。
しかしMOOCにはウェブサイト内で使えるものが必要だった。その思いがLal達のプラグインを開発をさらに進めた。彼女達は今後一ヶ月につきおよそ100円の料金を顧客に課すことを検討している。
起業家として始動
22歳のLalはインド出身で「シリアル」な起業家である。デリーのNational Law Universityのロースクールを1ヶ月で中退し、その後すぐに初めてのベンチャーを立ち上げた。18歳の時である。
「大学に行き始めてから4日も経たずに、法律は私に合っていないと思ったの。」とLalは言う。現在は心理学を専攻している。「私は一流の道に進もうと考えていたからロースクールを選んだの。でもそれがどんな方向に向かうのかわからなかった。何か大きくてインパクトのあることがしたいと思ったの。法律よりもっとクリエイティブな事が私には必要だった。」
LalはニューデリーでTutor Connectという電話サービスを立ち上げ、学生をプライベートチューターとマッチングさせるビジネスを行った。
Lalは大学をやめて1週間もせずにこのサービスを開発したのだ。このサービスでは400人のチューターがデーターベースにいた。しかしスケールできず、また容易にマネタイズできるものではないという理由から、一年後オペレーションを中止した。
Lalの2つ目のベンチャー
Tutor Connectを運営する傍ら、Lalは面白おかしい言葉がプリントされているセーターを販売するオンラインストアを開設した。最も人気のあったセーターの言葉の一つにはこんなものがある。「私にふさわしい人がきっと現れるってみんな言うけど–その人はトラックに引かれちゃったかも。」
Lalは親友と共にセーターをFacebookページで販売し、そのセーターを20校の大学で着用し、販売する人を雇って委託した。
自分たちの7500円で始めたそのビジネスで、Lal達は3ヶ月のうちに16万円を稼いだ。
「デリーの外れにある工場へ行った時、工場の人達は私たち女子2人をじろじろ見ていたわ。私は1日3回電話をかけて、彼らが確実に期限を守って製品を作ってくれるようにしていたの。」とLalは説明した。
教育を終えて
このセーターのビジネスはLalがシンガポールに行くことになり、6ヶ月のうちに終わった。彼女は2013年からYale-NUS Collegeのパイオニア学生として大学生活を始めた。来年の12月に卒業予定のLal。彼女が現在の大学を選んだ理由はそこが「スタートアップ大学」としてしられているからである。
Lalは意図的にビジネスではなく心理学を専攻すると決めた。心理学は人間を理解するのに役立ち、それはスタートアップを立ち上げる時に重要なスキルとなると考えたからだ。ビジネススキルに関しては「オンラインで簡単に学べるから。」とLalは言う。
カレッジ教育とは別に、Lalは大学の海外プログラムを利用して、イスラエルのテルアビブにあるeRatedというeコマース・スタートアップで6ヶ月のインターンシップを行った。
ビジネス・マーケティングインターン中にLalはより断言的になることを学んだ。LalにとってeRatedの社員は、シンガポールやインドで経験してきた以上に、自説を曲げず、ずげずげ言う人たちだった。
「今まで出会ってきた人たちの中で最も優秀な人たちと働くことができたの。」とLalは言う。「最初にその職場へ行った時、なぜみんながこんなにも口論しているのかと思った。だけど実際はみんなただ話しているだけだったの。」
Lalのメンターであり、教育者、起業家でもある Steven Rudolphは、Lalの「並外れた熱心さ」に感動したという。彼が初めてLalに会ったのは、彼女が法律学校をやめると決めた時であった。「このようなステップを踏む人は非常に珍しい。特にインドの若い女性ではね。」と Rudolphは話す。
「 Payalの質問能力にはびっくりするよ。顧客にぴったりと寄り添い、どんな状況下でも辛抱しようとする彼女の意欲には感動するね。この意欲は全ての起業家に必要なことだけれども、ほとんどの人が十分に実行できていないことだから。」
Lalは現在、新しいベンチャーの成功に力を注いでいる。「私は今MOOCプラグインが持続可能であることにフォーカスしているの。たまに、今日は休もうと自分自身に語りかけるんだけど、それでも結局働いてしまう。もう自分のスタートアップのために働くことにはまっちゃったみたい!」
Lalは彼女のこれまでのスタートアップにおける経験が有益であると信じている。「失敗はスタートアップを作るための要素。」と彼女は言う。「リーンであること、シンプルでい続けること、そしてユーザーの声を聞くことを私は学んだの。」
この記事はTech in Asiaのキャンパスアウトリーチ活動の内容の一部です。南洋理工大学の Wee Kim Wee School of Communication and Information (WKWSCI)と連携し、Tech & Startup Reporting Labの学生を記事で取り上げることとなりました。これらの学生は Blk 79 at One Northにある報道室から報告を行っています。Tech in AsiaとWKWSCIのコラボ記事についてさらに見たい方はこちらからご覧いただけます。
By: Krystal Chia
翻訳:友添茉結