愛のチカラ?マレーシア人夫妻が世界級の画像販売サイトを作り上げるまで

Sitt夫妻(右:Andy氏、左:Stephanie氏)。写真提供: Inmagine Group

過去17年間、Inmagine Groupは世界トップのストックイメージプレーヤーの1つに成長した。外部の資金調達を行わず、香港に登録されているがマレーシアに拠点を置く同社は、世界40箇所以上のオフィスで450人の従業員を抱えている。

年収数十億円を誇っており、長年にわたり利益を上げている。収入の大半を占めるウェブサイト123RFは、世界で4番目に大きなストック・イメージ・ライブラリで、7200万品あり、月に1,600〜1,800万人の訪問者を抱えると言われている。

しかしそこに行くのは過酷な旅だった。

ささやかなはじまり

多くのスタートアップと同様に、Inmagine社はノートパソコンと2人の共同創業者、すなわちマレーシアのIpoh出身のSitt夫妻(夫Andyと妻Stephanie)のアパートで始まった。

2000年、Andy氏はカタログを顧客に示すCDのストックイメージを販売していた英国の企業Digital Vision社の財務管理者を辞めたばかりであった(後にGetty Images社が165億円で買収)。

業界を後押しすることを熱望し、Andy氏は故郷に戻り、eコマースを開始した。

「人々が画像を購入する方法をアジアから変えることができると確信していた」と彼は回想する。

「当時私の彼女であったStephanieは、私が得ることができる唯一の無料の労働力でした」と彼はハートフォードシャー大学でマーケティングの学位を終えたばかりの現在の妻について語る。

彼らが持っていたほとんどの貯金とクレジットカードを使い、Inmagine社を設立し、プレミアムな大判写真プリントを自社と既存の写真会社の両方から1枚5万円で販売した。彼らの市場は主に広告代理店で構成されていた。

オンラインでの販売では、カタログやCDの印刷コストが削減されたが、独自のコンテンツを制作するにはかなりの費用がかかった。「写真家を雇い、私たち自身のコンテンツを作るために場所やモデルを探しました。それは全て生産でした。私たちは髪と衣装をし、写真編集を行うグラフィックデザイナーを雇いました」とStephanie氏は語る。「ポストプロダクションの費用も高かったです。私たちは、すべての資産のメタデータと営業チームが需要に応えるために人々を雇う必要がありました。」

2人のチームから、会社はゆっくりと6人に成長し、10人に成長した。

金欠の危機

Inmagine社の販売は当初も爆発的に伸びたわけではなかった。大部分は口コミで紹介されたもので、売上げが何であれ生産に再投資された。

初めの頃は、継続する為に必要な資金についていつも心配していた。

苦労し、投資家に会いに行っては「NO」を何度ももらうだけだった。

「資金のないビジネスは難しいです。いざという時に十分な資金を持っていないとなると、あなたの意欲が低下してしまいます。私たちは資金調達を試みましたが、VC業界は当時は今とはとても違っていました」とAndy氏は言う。

「誰もその機会を理解したことはありません。誰も私たちとそのリスクを冒すことはありませんでした。銀行や政府機関から融資を受けることも不可能でした」とStephanieが詳しく語る。

そのような困難な状況を乗り越えるために、Sitts夫妻は、顧客への評判が上がるまでの最初の数年間は自分たちに給料を支払っていなかった。

デジタル化の波に乗る

幸いなことに、2005年には状況が変わり始めた。

デジタルカメラが飛び交い、誰でも写真を撮り、オンラインでお金を稼ぎ、急激にコンテンツの供給を拡大することができた。より手頃な価格の画像の需要もインターネットの上昇とともに増加し始めた。

それはInmagine社が123RFを立ち上げ、ストック画像、ビデオそしてオーディオクリップをも、1枚100円から300円で提供していた時だった。以前のものとは異なり、123RFはプロダクションを廃止し、ロイヤリティフリーの作品をどこにでも販売するために写真家を雇った。同社はポートフォリオのパフォーマンスに応じて、30%から60%の売上を削減した。

新しい価格設定基準により、Inmagine社の顧客基盤は広がった。「大手企業以外、広告代理店に行く予算がなかったのです」とStephanie氏は指摘する。 123RFでは、中小企業やスタートアップが独自の広告資料を作成できるようになった。

写真提供:Inmagine Group

資金調達をせずに成長するため、同社はpay-as-you-go(現金支払い)モデルを組み込む契約を開始した。「これにより、まず現金を手に入れ、後でプランに対応することができました。毎月または毎年先に支払う顧客からの現金で事業を展開していました」とAndy氏は言う。

同時に、新たな市場への参入が始まり、新たな課題が浮上しました。「世界市場への参入は確かに厳しいものでした。ローカライズや登録申請、オフィス開設、地元の人材の雇用が必要でした」

今ではヨーロッパがInmagine社の需要の40%、続いて米国が30%、アジア太平洋が残りを占めている。

エコシステムへの成長

グローバルビジネスになるというより、Inmagine社はもっと大きな野心を持っていた。さまざまな創造的なコンテンツと市場セグメントにまたがり、活気あるエコシステムにしたかったのだ。

Inmagine社は、一律の金額であるNetflixモデルから取って代わったサイトの StockUnlimitedをローンチした。StockUnlimitedは当初はベクターを提供し、その後写真や音声クリップへと展開した。

Webサイトのテーマやインフォグラフィックス、名刺、レジュメのテンプレートなどのようにすぐ使えるデザインファイルを販売する別のサイト、Designs.netがある。

「クロス・セリングとアップ・セリングを行うためにシームレスに統合することが戦略です。」とStephanieは言う。

ちょうど最近、英国に本拠を置くTheHungryJPEG(THJ)のデザインマーケットを非公開金額で同社初の買収をしたことで戦略に弾みがついた。

300,000人のアクティブユーザーとなり、THJはInmagine社の新しい近郊市場への継続的な参入をサポートする。 Inmagine社のクロス・セリングを支援し、フォントやグラフィックスなどのクリエイティブバンドルを製品ラインに追加することで価値を高め、デザイナーの間でよく売れるものの理解を深める。

写真提供:Inmagine Group

「これはWin-winな状況です。 THJは、我々の幅広いグローバル・ネットワークと、世界中の数百万人ものユーザーに製品やサービスを販売したいと望む顧客へのサービス能力を活用していきます」とAndy氏は述べる。

THJが100%自給自足でコミュニティーの中心であるのと同様に、そのような企業も似たようなDNAをもっている。

その間、123RFはまた、成長のもう一つの道を提供するTencentエコシステムの広告目録の世界的な再販業者として任命された。

その先にあるもの

次のステップとして、Inmagine社は継続的拡大のために資金を調達するためIPO(株式公開)する予定だ。同社が外資を調達したのは初めてである。

「私たちは創造的かつデザイン的なエコシステムを強化する新製品に引き続き投資します。たとえば、テンプレート編集、API、分析機能などです」とAndy氏は語る。

Sitts夫妻が成長する余地がまだまだあると思えば、夫妻は経験から学び続ける。

Andy氏が起業家に言ったアドバイスがある:「あなたは運がいい限りできるし、あなたの知識はあなたのものです。しかし、人材はどの会社においても成功の中核です。私のチームメンバーの多くは、私と10年以上一緒でした。」

Stephanie氏にとっての成功の中核は、変化に適応する能力だ。「過去15年間はすばらしかったです。技術と革新的なニーズの絶え間ない変化にも関わらず、我々のような創業者が未だに全株式を保有して全面的に経営している会社が、迅速に対応できることが証明できたのですから。」

「今後も何が起きるかはわかりません。ただ一つ確かなことは、我々は常に変化の最前線に立っているということです。」

編集者:Judith Balea

【原文】

翻訳者:小野紗和子

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