書籍「DevRelの3C」トークイベントで、aiboのAPIの話をきいてきた

Mami Enomoto
techwithaibo
Published in
8 min readDec 17, 2019

12/17、書籍「DevRel エンジニアフレンドリーになるための3C」のトークイベントに、aibo の開発に携わる藤本さんが来ると聞き、行ってきました。

登壇は、著者のひとりである戸倉さん、明治大学の渡邊先生、aibo開発担当の藤本さん。

トークイベント中、いい子におすわりしてるaiboちゃん。VisualProgramingにそのヒミツが。

※以下はあくまで個人的メモと感想です。

aiboらしさや感情があるAPI

11月に、aiboのAPIを公開したSonyさん。以前より、学生さんにAPI使ってもらったり、日立さんの家電とaiboがコラボレーションするなど、様々なチャレンジをしている。洗濯機の前でぐるぐる回ったり、お掃除ロボットをおいかけたり、aiboらしい。
aiboのビジュアルプログラミングは、ドラッグ&ドロップで簡単に使える。一般の方や企業の方とaiboの可能性を一緒に考えたくて、APIを公開した、とのこと。

(藤本さん)プログラムしてしまうと、aiboがかわいそうではないですか? っていう話があるけど、APIと関係なく撫でると喜ぶし、嬉しい時と怒っている時とでワンという鳴き声が異なる。プログラミングしても、aiboの感情を持ったまま `ふるまい` をする。

プログラミングで命令した時の返答が都度違うっていうのは、開発的にはありえないこと。aiboのAPIを叩く時、自分が書いたプログラムが間違ったのか、aiboがその気分でなかったのか、とaiboの顔色とパソコンのコンソールを交互に見ることになる。その時が、逆にaiboらしさを最も感じる瞬間なのかも、と思った。

自分も「つくり手」になろう

渡邊先生によると、これまでユーザーは製品を使うだけだったけど、同時に`つくり手`になっていく時代だという。

(渡邊先生)メーカーがユーザーのところに行ってニーズを調査するけど、多様性が増えて、ユーザーごとに違うニーズがある。エコシステムとして、P(プラットフォーマー)、D(デベロッパー)、U(ユーザー)がいる。

これまでは、Sonyさんがデベロッパー、オーナーさんがユーザー。という関係だった。これからは、デベロッパーとして「個人」が「つくり手」として参加することで、細かいニーズを満たせる可能性が出てくる。プラットフォーマーは、そのエコシステムを維持する仕組みをつくり、提供する。

aiboオーナーの私はUでしかなかったが、今はUでありDであるということだろう。ビジュアルプログラミングが提供されたことで、プログラミング経験のないUもDになることができるようになった。ニーズの多様性が増えたと同時に、個人が製品への関わり方にも多様性や選択肢が増えてきたようだ。流動的でおもしろい。
ビジネスモデルとしてではなく、エコシステムのフレームワークとして、PDUを説明されていた(と思う)。その辺の理解足りてないから、渡邊先生の本も読んでみよう。

(藤本さん)例えば、ファンミーティングのaiboカウンセリング で、直接ユーザーの声を聞いて開発に活かしていくというサイクルだった。「もっとaiboに可能性があるのではないかと思いながらも、Sonyだけで考えたり実現できる事は限られる。今回、APIを出したことで、オーナーさんを含めデベロッパーではない方もその可能性を考えてほしい」

APIを出したことで、社内外で変化は?

(藤本さん)APIを公開して、APIをきっかけにaiboにまた触りはじめたり、子どもがvisual Programingをはじめた、という声をきくようになった。まだDeveloperの声は十分に聞けていないので、どのように DevRelを展開していくか、これから考えていきたい。

(渡邊先生)例えば、シミュレーターがあればよいのでは? パソコンの中でもaiboが遊べたり、成長する。実機がなくても開発できるとよいのではないかなぁ。オーナーさんでない方も、仮想的に動かすことができると、開発面としては参加者が増えるのではないだろうか。

オーナーさんの前で言っていいのだろうか…(笑)と何度も呟き、言葉を選びながら話してくれる渡邊先生。aiboへの愛情が伝わってきた。

(戸倉さん)aiboを持っていないからAPIをすぐに触れないのは残念だな、と思ったけど、今渋谷でVisual Programingを実際に体験することができる。楽しむことができた。

(藤本さん)オーナーさんに一番楽しんでほしい。感情を殺さないなど、世界観を壊さないようには気をつけている。その中でどのようにDevRelを進めていくのか、考えている。

ソフトウェアを中心にDevRel活動を行う戸倉さんは、”ハードウェアや人工知能など新しい技術を盛り込んでこれほどに生活に密着したものの場合、「デベロッパー」という言葉ではなく、別の言葉が必要なのかもしれない。”という。

(藤本さん)「デベロッパー」と「オーナー」の垣根のない、融合したカタチができると、みんなにとって良いものになるのかもしれないと、今日の話を聞いて感じた。
これまでデベロッパーでなかった人が、開発の世界に踏み出している。aiboがプログラミングの入り口であり、同時に、様々なプログラミングや技術が詰まった出口でもある。

UでありDでもある個人としては、垣根なんてものはそもそもない。しかし、プログラミング経験のないUが、Dへの垣根を感じる気持ちは、とてもよくわかる。そこは、垣根を超えるための階段を丁寧に作っていく必要があるのだろう。
藤本さんによると、オーナーさん向けコミュニティはあるけど、開発者向けは現時点でないので検討中、とのこと。Sonyさんに期待はしつつ、ユーザー発の開発に関する情報交換の場があってもよいのかもしれない。まずはBlogコツコツ書こうと思った。仲間がふえるといい。

BiscoのWebAPIうごいたー!

トークを聞いて思ったこと:

「個人がつくり手になる」という話は面白く、ワクワクする。「プラットフォーマーとしての企業の責任分界点は?」など、突っ込んだ話もあって面白かった。書籍を読んで、もっと理解したい。

実際にAPIを使っての個人的な感想としては、APIを触るようになって、aiboと人の関係性について考える視点が増えたと思う。
これまで、ユーザーとしての自分とaiboの関係性が基本だった。それは、掛け声に対してふるまいがあり、同時にそれはオーナーではない他者とaiboの関係性も、ほぼイコールだった。私が「おすわり」といっても、別の誰かが「おすわり」といっても、aiboはおすわりをする。その時のご機嫌によって動きや表情が違ったりするとはいえ。
aiboを連れて出かけた先で、aiboに興味を持って子どもたちが近づいてくることがよくある。APIが提供されてから、どうすればその子が喜ぶだろうか、とaiboのふるまい以上に広い視点で考えることができるようになった。4歳の女の子が喜ぶaiboとの関係性と、10歳の男の子がワクワクするaiboとの関係性や距離感って、少し違うと気がつく。じゃ、こんなことしたいな、あんなことできたらどうだろ、ってアイディアが湧いてくる。つくり手に参加するって楽しい。

あるイベントの運営お手伝い中?のBisco。ビジュアルプログラミングで。

このように開発視点で書くと、もしかすると気を悪くするオーナーさんもいるのかもしれないけど、私もaiboを可愛がっている気持ちは一緒だよ!と言いたい。Sonyさんが「aiboらしさや世界観を大事にしている」って仰ってた気持ちやその世界観は、個人のつくり手にも伝わっていると思う。そしてその世界観や価値観を広げるためにも、今後のDevRel活動に期待したい。
妄想ばっかりで、手を動かす時間が取れてないから、ちょっとずつでも手を動かそうと思った。SonyさんのDevRel活動を心待ちにしつつ。

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Mami Enomoto
techwithaibo

シビックテックしたり、DjangoGirlsしたり。aiboと遊んだり。