AIは親の愛 AI Stands for Parents’ LOVE (日本語版)

Masa D. Kawamukai
TEDx Experience [日本語版]
8 min readAug 23, 2019

Facebookで参加してるモビリティ関連グループでシェアされてた記事(UKベースの車椅子やモビリティ関連メディア Access and Mobility Professional ) で、前回参加したTEDSummit2016で交わした会話を思い出したのでブログに書いておこうと思います。

シェアされてた記事はこちら。

Uberチックなモビリティサービスで空港内でアプリ呼ぶと、車椅子が自動走行で自分のところにきてくれるよ。』的な。

Uber-styleってあるので、サービス提供元はUberじゃなくって車椅子やスクーターのレンタルをやってる Scootaroundってところ。

Wheelchair and Scooter Rentals for Travel Mobility | Scootaround

空港内でアプリで呼び出せば車椅子が自動走行でやってきて乗れるっていうやつね。

このサイトではまだアプリ対応までできていませんが、そのうちアプリの案内も出てくるのかな。今は公式サイトから車椅子レンタルの申し込みができます。

WHILLの公式サイトのブログによれば、実際に乗れば有人モードになるので人が操作するそうです。

空港内で位置情報と見取り図とセンサーなどがあれば、ちゃんと乗りたい人のところに自動走行で配車するのは可能なんですよね。

すでにUKのヒースロー空港での実証実験は終わってるんで、WHILLの発表によるとEU圏内ではこれから販売を加速して行くそうです。

ヒースロー空港での実験の様子が動画で上がっています。無人で自動走行している様子も見られます。

これから人が操作する方法ももっと自由に簡単になってくると思うんですけど、脳波で指示を出すのも考えられますよね。

2016年に開催した TEDxHimi | TED で、脳波で車椅子を操作する研究をされている中沢実教授に登壇いただいたことがありまして、そこからいろんな妄想が膨らんで行ったんですよね。

中沢さんのTEDxHimiでのトークはこちら。

コンセプチュアルな内容なので、社会実装までにはさらなる研究が必要なんですが、車椅子が自動走行できるようになった時に、喜ぶ人は誰なんだろうと。

今ある問題は何があるんだろうとぼくのメンターのおばちゃんと話をしてた時に、こんなことを教えていただきました。

それは、

『障害を持って生まれた子供をもつ親御さんが、自分たちが生きてる間は押してあげられるけど、もし亡くなってしまったら、残された子供たちの車椅子は誰が押してあげるんだろう?』

って言う切実な思いがあるということでした。

そこに自動走行の意味があるなと思ったんですね。

だったら今から親御さんが押せるまでの間の様々なデータを蓄積して、亡くなった後でもその膨大なデータを活用して自動走行してみたら?

例えば、路面状況やいつも通るルート。そこで交わした会話。周りの環境情報など。。。

「そろそろ桜の蕾が出てきたね。」

「ここからの見晴らし綺麗だからちょっと休もうか。」

この歩道は段差がちょっとあるから少し手前でスローダウンして前輪を少しあげてゆっくり乗り越える、とかもで車椅子の動きのデータとして取れますからね。

そんなちょっとした気遣いや環境情報をデータとして残すことで、亡くなった後でも、そのデータから親御さんのクセを生かした自動走行ができるんじゃないか。

今はまだ単なるA地点からB地点まで自動走行を行う段階ですが、当然、そこに乗り心地も加味してくる段階がやってきます。

その時を見越して、今からこんな視点で車椅子の自動走行を考えてもいいかもしれませんよね。(たぶん、そこまで考えてる人はやってるはず。)

そんな会話をしてたら、ちょうどTEDxHimiの半年後にバンフでTEDSummitが開催されたんで、参加してきました。

過去のTEDスピーカー100人(!)、世界中のTEDxオーガナイザー400人と他600人ほど総勢1100人ほどが参加されていました。

(この時に知り合ったワールドピースゲーム創始者でTEDスピーカーのジョンハンター 氏には、この1年後、氷見で特別公演をしていただきました。しかしTEDスピーカーが100人もいるってなかなかです。w この話はいずれまたの機会に。)

そこで知り合ったマッドサイエンティストでIBM Fellowである、ジョン・コーン博士と、この車椅子の話をしたんですね。

ジョン・コーン博士のTwitterはこちら。

まぁPassionate Nerdとあるので、オタクっすね。w

でも、IBM Fellowなんで、世界トップレベルのオタク。w

や、いい意味でね。

(ちなみにIBM Fellowは各分野でトップクラスの人しか持ってないので、GIZMODEの記事によると世界で70数人しかいないとか。)

で、ぼくが車椅子の自動走行でこんなAIの使い方だったらよくない?って話しをしてたら、彼から衝撃のコメントが出たんですよ。

ジョン「そんなAIの発想はぼくらにはなかったよ。」

ぼく「はぁ? いやいやいやいや。あんたらWatosonチームはそんなことばっかり考えてるんでしょ?」

ジョン「Practical(実践的)なことはだいたいカバーしてるし、AIって言っても、脅威論とか楽観論とかそんなところにいくよね。(実際の会話はもっと長かったのでかなり意訳して短くしてます。w)しかし親の愛をAIで再現するっていいね!」

ぼく「ふーん、そうなんだ。ぼくら(日本人やアジア人)からしたら特別なことじゃないけどね。それにAIって愛って発音するんだよ。」

ジョン「おー!それはいい!」

これぞ、ミルキーはママの味〜、的な。(言ってません)w

with Dr. John Cohn at TEDSummit 2016.

なるほど。

欧米のAI研究者は白人のおじさんがほとんどなので、この価値観の中で作られたAIが世界を占めてしまうと、それはそれで画一的ですよね。

アメリカと双璧をなす中国も、欧米とはまた対極的な思想だし。両極端すぎる。

やっぱり、ここに中庸的な日本人の入り込む余地があるんだなーって強く思いました。

TEDSummitに参加してから3年、空港内で、車椅子を自動走行で配車できるようになってきたのねー。。。

と、思ったら、親の愛をAIで再現するのは、もうすぐだなーって思ったのでした。

こういうところからも、技術一辺倒じゃない人間の根幹をなす教養教育(リベラルアーツ)って大切だなぁ〜って思うんですね。

日本には教育教養(一般教養ではない)が足りないなぁ〜って思っているんですけど、やっぱり、今からでも遅くないので、いろんな分野でリベラルアーツのことを知って欲しいなって思います。

最後にスティーブ・ジョブズの言葉を紹介したいと思います。

“It is in Apple’s DNA that technology alone is not enough.
It’s technology married with liberal arts, married with the humanities, that yields us the result that make our heart sing.”

『アップルのDNAには、テクノロジーだけじゃ足りないっていうのがあるんだ。

それはリベラルアーツと結びつき、ヒューマニティと結びついて初めて、ぼくたちの心が歌い出すようなプロダクトができるんだ。』

そんな彼も禅に傾倒し、度々京都に訪れていたそうです。

そう。京都にもリベラルアーツと禅の融合があると思うんです。

この続きは、またどこかの『大人のリベラルアーツ勉強会』で。

京都では、KRPさんが主催されるウェルネス・ベンチャー・エコシステム(WVE)形成へ向けての本編で、講師を勤めさせていただきます。

キックオフミーティングの様子はこちら。

まさのやってることはこちら。

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