Engineering of TEDxKyoto (2014)

Ichi Kanaya
Jul 7, 2016 · 8 min read

以前ブログに掲載していた Engineering of TEDxKyoto を若干修正して再掲する.

はじめに

僕は現場の人間でありたいと思っている.さすがに体力が持たなくなってきているが,少なくとも次の1月で42歳になるまでは,現場に立ち続けていたいと思ってきたし,そうし続けてきたつもりだ.[この記事は2014年の終わりに書かれた.]

現場の人は,多くを語らない.現場の人は口先より手先だということを知っているからだ.

2012年の立ち上げから参加させてもらっている TEDxKyoto でもまた,僕は現場に立たせてもらってきた.2012年,2013年は TEDxKyoto そのものの認知度を上げる必要もあり,僕もブログで発信をしてきたのだが,2014年は現場にだけ集中するようにした.

3年間夢中になって走り続けた結果,多くのことを学んだように思う.そのほとんどは,現場で学び,現場で伝えようとしてきた.ただその知見のうち,言語化できるものは,是非とも書き残しておかねばと思うようにもなった.

僕は現場の人たちの暗黙ルールを破って,TEDxKyoto 運営に関して学び,工夫し,挑戦し,成功し,失敗したこと — 僕はこれを Engineering と呼ぶ — を,これから書き残していこうと思う.

ショウとしてのTEDxイベント

僕はミリヲタでは無い.しかし,軍事用語はこの種のイベントを説明するのに大変便利であるから,ある程度軍事用語を使わせてもらうことにする.

僕は TEDxKyoto では,キュレーション,コーチ,ショウ(ステージ),ビデオプロダクションを主に担当させてもらっている.TEDxKyoto の他のミッションには,オペレーション(イベント運営,チケッティング),コミュニケーション(広報,参加者コミュニティ運営),そしてパートナー獲得と資金管理がある.残念ながら,僕はこれら他のミッションについては,通り一遍のことしか書けない.

まずは,ショウについて書いていこうと思う.ショウとは,TEDxKyoto というイベントの一部であり,後のビデオ公開の収録現場でもある.

ショウについて最も大事なことは,ロジスティクスである.予定した日に,予定した場所へ,訓練された人と必要な物資を滞り無く届けることだ.予定した日とは,イベント当日と,その前後のリハーサル,設営,撤収の日程,さらに下見,打ち合わせの日程などだ.特にイベント開催日はすべての基準になるので,慎重に選ぶ必要がある.

開催日選びには,近隣のTEDxイベントと重ならないこと,天候が安定していること,特に京都の場合はホテルが取れないシーズンを避けることを心がけている.TEDxKyoto はこれまで9月末の日曜日を選んできたが,この選択は台風のことを考えると非常に賢明とは言えなかった.[TEDxKyoto 2015 は11月8日に開催された.]

予定された場所とは,イベント会場のことである.出来れば,アウェイは避けたい.たまたま TEDxKyoto ショウチームメンバー(とオペレーション,コミュニケーションのディレクターたち)はアウェイに滅法強いという特技を持っているのだが,万全の体制でショウを実施するためには,イベント会場を徹底的に自陣にしておかねばならない.ほら,城攻めは下の下と孫氏にもあるでしょ.

またよく誤解されていることであるが,TEDxはただのカンファレンスではなく,ショウなのである.なので,イベント会場は少なくとも演劇を行える設備が無くてはならない.我々は TEDxKyoto 2012 でこの事を学んだ.

とにかく,この二つをきっちりした上で,人を集中的に投下することになる.

会場選び

上述の通り,会場選びは日時の確定の次に重要だ.会場の出来不出来もあるのだが,交通アクセスや近隣の環境など他にも注意すべき点が多数ある.

まず,近隣に泊まり込みができる拠点があること,ホテルやシェアオフィスでも良いけれど,できれば部屋を借りるか,メンバーの下宿があるといい.それから,ホームセンター,電気屋,100円均一のお店,コンビニ,キンコーズ,安食堂とリハーサルスタジオがあると重宝する.あと,ステージの作り込みのための作業スペースも確保できることが望ましい.

駐車場からの距離も重要で,理想的にはトラックを直付けできる会場が望ましい.少なくとも台車が通らない会場はやめたほうが無難だ.

会場はインターネットに接続されている必要がある.モバイルルーターは本番環境ではまだ信頼できない.意外とネットに接続されていない会場も多いので,ネットを引いてもらう交渉をするか,自分たちで引くかすべきだ.

電源周りも気をつける必要がある.壁コンはあるけれど配電されていないとか,図面通りに配線されていないとか,冗談のような状況があるのだ.また予定されているパフォーマンスによっては200Vの電源が必要ということもある.僕は下見の時には必ずテスタ(電圧計)を持っていくことにしている.会場に着いたら全てのブレーカをオンにしてもらい,それからコンセントの電圧をひとつひとつ測るのだ.

会場押さえ

本番日程と会場が決まったとしよう.

次にすることは,可能な限り会場を抑えることだ.例えば TEDxKyoto 2013 ではイベント前の設営2日,リハーサル1日,イベント後の片付け1日を含む連続5日間を抑えた.TEDxKyoto 2014 ではそれに加えて,イベント一週間前にも本番と同じ会場でのリハーサル日を設定している.

僕のようなアマチュアは,とにかく,何度も何度も,できれば同じチームメンバーで,できれば同じ会場で,演習を繰り返すことでしか上手に運営できるようにはなれないのだから,可能な限り会場へ足を運ぶことを心がけた.

2012, 2013 は舞台監督と机上演習も行った.これは,ステージの図面の上に人を表す紙片を置き,時刻ごとの変遷をシミュレートしつつ,写真に撮っていくものだ.こうして,無理な舞台転換が無いか確認をしていった.

From the storyboard of TEDxKyoto Special Event “To Boldly Go” (2014)

2014 に関してはひたすら絵コンテを描いた.何度も何度も描き直しているうちに,一通りの流れがディテールまで頭に入るのである.これはなかなか得難い経験だった.スペシャルイベント To Boldly Go の準備について書いたブログに絵コンテの一部を載せている.また TEDxKyoto 2014 の完全な絵コンテをこちらで公開している.その他の公開可能な資料(絵コンテ全てを含む)をGitHubにおいてあるので,参考になれば幸いだ.

人とチーム構造

人である.

超有能な人物を数名(3名から6名)集める必要がある.ああ,要するに,蕭何張良韓信である.これらの人物がいなければ,何もできない.念のために書いておくと,ロジスティックを担当する人,作戦を担当する人,そして現場で先頭を切って走る人だ.

とにかく,どんなことをしてもこれらの人を迎えなければならない.

TEDxKyotoのチーム構造は毎年変化しているが,だいたい次のような構造に落ち着きつつあるようだ.

  • Exec (Administration, Financing, Accounting)
  • Production (Curation, Coaching, Show, Film, Translation)
  • Operation (Architect, Omotenashi)
  • Communication (Web, SNS, PR, Documentary, Program)

大雑把に言うと,ホールの内側がProduction,ホールの表側がOperation,残りの世界全部がCommunicationの担当だ(この表現は TEDxTokyo/TEDxKyoto で活躍してくれたTakiさんが指摘してくれた).この構造は嬉しい事に TEDxKobe も引き継いでくれている.

それぞれのチーム群はさらに細かなチームにわかれている.(以前に書いたかもしれないが)僕が担当させてもらっていたProductionは

  • Curation
  • Coaching
  • Show
  • Film
  • Translation

の各チームから出来ていて,その中でも特にステージを担当するShowチームは多数のユニットからできている.ただし,階層構造は採用していない.

Showチームの中身は次のようになっている.

まとめず

改めて Engineering of TEDxKyoto と題した一連のブログを読み返してみると,全然完結していないことに気づいた.改めて加筆修正版を公開したい.

というわけで,この章のタイトルは「まとめず」とさせて頂いた.

TEDx Experience [日本語版]

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Ichi Kanaya

Written by

Computer Scientist, Media Artist, Tomb Raider.

TEDx Experience [日本語版]

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