2015年から、もう2年半ほどTEDのボランティア翻訳者をしている。
今回たまたまイギリス在住だということで、4月開催のTEDxExeterにTED Translators枠でゲストとして招待された。

入場(本会場は昼食付£65=約一万円)と宿泊は負担してもらう代わりに文字起こし/翻訳を最低5本やるのが参加条件。公開がまだのものも含めて、月平均6本以上のペースで通算200本程度の作業をしている(らしい)私の脊髄反応は「そんなんでよければぜひ!」だった。

2011年の結成から7年目の6回目を迎えるTEDxExeterは、世界各地で年間数千とあるらしいTEDxの中で、もう既に8本がTED.comに掲載されている。もちろん全部英語のイベントは有利なのかもしれない。でも、去年一般客として行った同じイギリス国内の別のTEDxを見た限り、それだけじゃない。そこは観客数とトークの本数こそ今回のTEDxExeterと似ていたが、TED入りしたものはない。控えめに言って、TEDxExeterは勢いがあると思う。

奇遇にもTEDxExeter 2016から、私はFiona McNaeのトークを翻訳していた。レビュー(翻訳のチェック)をしたDeeyah KhanのトークはTED入り。同じイベントから、関わっていないけど気になっていた元イスラム急進派Manwar AliのトークもTED入りした。普段、作業するTEDxトークを選ぶ時に「x」以降は気にしていないので、偶然というよりもそれだけ魅力あるトークが多いということなのかもしれない。

TEDxExeter 2017は、900人の出席者が行き交い、ライブストリーミングで全世界10数カ国で同時配信、これが朝から夕方5時まで滞りなく運営され、ほぼ全員がボランティアだというから驚く。

締めはオーガナイザーチームのアフターパーティー。キュレーターのClaireの自宅を使っての立食パーティーでもてなされた。宴もたけなわというところで、Claireはボランティア参加した自分の娘&娘の彼氏から始まり、私たちTED翻訳者チームまで紹介しながら、スタッフ一人一人についてのエピソードと感謝を述べた。数十名という人数を一巡するまで皆が聴き入り、拍手して、冗談も飛ばす暖かい場だった。

食卓に並んでいた、スポンサーでもある地元メーカー提供の無農薬りんごジュースとこのシーンとを思い出し、TEDxExeterの強みの一つは家族友人もスポンサーも含めて「巻き込む力」かもしれないとふと思った。

ところで、この記事にリンクするトークを検索していたところ、TEDxExeterはなんと私の翻訳したFiona McNaeの字幕が今年1月に公開されるなり即「翻訳ありがとう!」とtweetしていた。

公開からもう数ヶ月過ぎた今更ながら、小さな発見に小さな感激を覚え、その抜かりのなさにニヤッとした。アフターパーティーで紹介されていたsocial media担当者の顔がおぼろげに浮かんでくる。翻訳者の私も、もうすっかり巻き込まれているようだ。

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