「TEDxKyoto 2012 裏話」のウラ側【中編】

もともと「TEDxKyoto 2012 裏話」のウラ側【前編】を書いたときには,前篇・後編の2編構成にする予定だったのだが,どうしても触れておきたかったことを思い出したので,中編として挟ませていただく.

それはTEDxKyoto登壇しなかったスピーカのことだ.

毎年TEDxKyotoはこれはと思う人に登壇をお願いする.そういった人物は使命感と偉大なアイディアを持っていて,ひとたび話せば周囲の人に今すぐ行動しなくちゃと居ても立っても居られなくなるような魅力を感じさせずにはいられない.

そんな人々とTEDxKyotoチームは何ヶ月もかけてストーリーを練り,リハーサルを繰り返し,本番へのぞむ.スピーカもTEDxKyotoチームももちろんボランティアで,本当に使命 (mission) だと思いこんで取り組む.

二人の人物が一つの使命に向かって突き進むとき,必ず出会うのは衝突という事実だ.

衝突は乗り越えられる.ただ,どうしても本番までに乗り越えられないケースはある.スピーカもTEDxKyotoチームも最高のストーリーを最高のビジュアルで届けたいと思っているのだが,学術的バックグラウンドが違うこともあるし,文化的な違いに直面することもある.

TEDというもともと多民族に伝わることを前提に設計されたフォーマットに,日本文化の情緒を載せることは相当な困難を伴う.そんな困難と戦うぐらいなら我々日本人が得意な「舶来品の魔改造」をしたほうが手っ取り早い.実際,こうしてカレーパンTEDxが産まれる.

またサイエンスやテクノロジーの話は,最大18分という講演フォーマットの中だと,どうしてもわかりやすい側面だけをピックアップせざるを得ない.ビジュアルもキャッチーにする必要がある.ところが科学者というものはセクシーなスライドが独り歩きすることを極端に恐れる種族でもある.僕はビル・ゲイツのプレゼンテーションをよく槍玉に挙げるが,科学者同士の間ではビル・ゲイツ風プレゼンテーションのほうが親切とされるのだ.

ビル・ゲイツ vs スティーブ・ジョブズ

しかし,僕たちTEDxKyotoはできるだけオリジナルのTEDのフォーマットというか精神に沿うように意図している.

そのために,こちらから登壇をお願いしておきながら,最終的に登壇をキャンセルさせて頂いたスピーカが,かなりの人数いる.そんなスピーカのことをいまでもたまに夢に見る.

登壇をキャンセルされたスピーカも,本当に優れたアイディアを,多大な犠牲を払って遂行している.ただ我々が時間内にTEDフォーマットに載せられなかっただけだ.

そんな人達のことも,本人の許可を得られれば書いていきたいと思う.