ギークハウス藍住に行こう!

知られざる「ギークハウス」の生態。

森哲平
テッペイの森
8 min readJan 10, 2018

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ギークハウス藍住のチラシ。

自分は今、藍住にある、四国初のギークハウス「ギークハウス藍住」(通称ギーズミ。以下、ギーズミで)に関わっている。よく「ギークハウスって何なの?」と尋ねられるので、ギークハウスとは何か、自分はどう関わってるのか、何してる場所なのか。ブログを書いておく。

そもそもギークハウスって何。

最初に「ギークハウス」という言葉を聞いたのが2010年頃だから、おそらく、ギークハウスなるものが登場してから、既に8年近く、それ以上経っているのだけれど、知らない人もいると思うので、まずは「ギークハウスって一体なんなのか?」って話を。

要するに「ギーク」と呼ばれる人たちが、共同で住み、暮らし、好きなことをしている。単にそれだけの場所、それがギークハウスである。じゃあ、その「ギーク」って何なのか?って話だが、geek、つまり、主にテクノロジー系、IT系の「オタク」「変わった人」のことだ。具体的にはプログラマとか、3Dモデラーとか、そういう人を念頭に置けばいい。

ギークハウスプロジェクトの発起人はphaさんという、京大卒の「元・ニート」だと言われている。ただし、別にギークハウスを開設したり、運営するのに、phaさんに届出たり、みかじめ料を払う必要はまったくなく、オープンソース、つまり「好きに」「勝手にやってくれればいい」ということになっている。

今すぐあなたの自宅を「ギークハウス〇〇」と名乗れば、それだけでギークハウスとして知られてしまうという、非常にゆるーい仕組みだ。

こんなゆるい、好き放題できる仕組みなので、「ギークハウス」という名称の活動、建物は全国各所にあるにもかかわらず、その内実は様々。思いっきりプログラマーが集まって、互いに研鑽を積んでいるハードコアなギークハウスもあれば、「ギーク」というけれど、ほとんど誰一人、プログラミングなどしていない、毎日朝から動画やSNSばっかり見てるニートの巣窟のようなギークハウスもある。

ギークハウス藍住とは?

そんなギークハウスプロジェクトに、縁あって、昨年夏から関わっている。昨年、ひょんなことから、四国初となるギークハウス、ギークハウス藍住=ギーズミの立ち上げ時メンバーになった。

ギーズミはその名の通り、徳島県板野郡藍住町(あいずみちょう)にあるギークハウス。藍住町は「田舎でもない」「都会でもない」、ゆめタウンというショッピングモールが数年前にできた、言ってみれば中途半端なまちだ。確か住民の平均年齢が43歳。非常に「若い」のが特徴で、いわゆる子育て世代が、分譲住宅地を購入して住んでいる、そんな場所だ。

ギーズミは富永さん、通称トミーが運営している。トミーさんの昔の実家、築30年だったかを掃除し、不要物を捨て、ギークハウスとして活用している。

住民は現在4名。管理人のトミーさん。「松井どんぶり」というケッタイなフリーペーパーを不定期で作っている松井くん。それに全国を旅してまわっている「聞こえないやつ」、流さんが「春になるまでは四国にいる」らしい。自分は「半住民」という感じで、自宅は別にあるのだが、妻や娘を連れて遊びにきたり、一人寝泊りしたりしてる。自分を入れて、住民は現在4人。

敷島さんがつくった、風紀委員の腕章。差別発言やレイシズム、セクハラはすぐに取り締まられ、適切な謝罪と反省がない場合、一瞬で粛清される。

そして、主婦、かつ虚弱体質なので、寝泊りこそしてないが、ホームページをつくる、チラシをつくる、勉強会を開催するなど、立ち上げ時からなんだかんだで八面六臂の活躍をしている敷島さんがいる。ギーズミのホームページはぜひスマホ、PC、両方でチェックしてみてほしい。特にPC版の表示の作り込んだダサさは注目だ。

過去には大西さんという元引きこもりの人や、佐々木さんという、自宅警備員みたような人が住んでいた。大西さんは引きこもりがキツくなって出ていってしまった。佐々木さんは今は岡山は真庭という場所にあるギークハウスに住んでいる。ラーメンと卓球と中華料理が好きな、ラーメンマンみたいな人だった。

引きこもりだったため、突如出ていってしまった大西さん。でも、ダンボール工作とラズパイを使ったデジタルクローンが代わりに作られた。

様々な住民や旅行者が寝泊まりしているが、本格的にプログラミングや電子工作をしているのはトミーさんくらいで、あとのメンバーは、特にプログラミング、電子工作というほどのことはせず、それぞれ好き勝手に暮らしている。

プログラミングや電子工作も含め、とにかくおもしろいことをどんどんしていこう、というギークハウスがギーズミだと思ってくれればいい。

ギーズミの設備

部屋は全部で5室。1階にはプログラミング教室を開催している勉強部屋や、通称「こたつ部屋」と呼ばれているたまり部屋がある。

iPadにドローンに藁人形。創作意欲を好きに爆発させることが推奨されている。

こたつ部屋には、プレステ、ニンテンドー64、スーファミなどがあり、遊ぶに困らない。勉強部屋には、子どもたちが勉強できるように、ギークなアイテムが並ぶ。

・小型ドローン ×4
・mBot ×2
・iPad×5
・ノートパソコン×5
・卓球台
・その他意味不明なモーター、センサー、電子工作器具

などなど。寝具もあるので「遊びに来たけど、帰るのめんどくさい」という人は一晩泊まっていくことも可能だ。

台所には調理器具も多数取り揃えてある。

・ホームベーカリー
・菜麺機(野菜を麺にする機械)
・ヌードルメーカー
・ホームブリュワリーセット(やろうと思えばビールが作れる)

など。凝ろうと思えば、簡単に、結構凝った料理が作れるはずだ。

ギーズミの活動

では、そんなギーズミではどんな活動をしているのか。

まず、管理人のトミーさんが、ここギーズミで子ども向けのプログラミング教室をしている。

http://terakoyamirai.me

プログラミングだけでなく、電子工作やロボット工作なども教えているそうだ。

その他「ユーチューバー養成講座」「育てた鳥を屠って参鶏湯にして食べる会」「人見知りの会」「彼氏も彼女もいない終わってる人たちでホームアローン2を観る会」など、好き放題にイベントを開催している。

現在、敷島さんが持病により長期入院中のため休止になっているが、ウェブやプログラミングについて学びたい人のための勉強会も平日に定期的に開催している。

また、ギーズミの大きな特徴なのだが、なぜか若い男女が集まって毎週末楽しそうに過ごしている点が挙げられる。カルチャーや同年代との交流が欲しい人はギーズミへ。ギークハウスというより、これじゃテラスハウスなのだが、皆、楽しそうなので、これはこれで、よい。先週は森が手作りコロッケとヤムウンセンを作ってふるまった。

電子工作やプログラミング、ドローンについて学びたい人はもちろんのこと、SHISHAMOやChaiやceroのライブが気になるような人も、いや、現時点ではそういう人こそ、徳島のよくわからん隠れスポットとしてギーズミに来ると、いいかもしんない。

ギーズミは住民を募集しています

とまあ、ここまでギーズミの設備、活動を紹介してきた。自分たちでいうのもなんだが、結構、不思議なギークハウスだ。特に田舎、特に都会というわけでもなく、また日本から忘れ去られがちな四国だからこそ、全国的にもぽわわーんとした、ゆっるいギークハウスになっている気がする。

そんなギーズミだが、現在住民を募集している。

・個室 20,000円
・ギークオフ室 10,000円

電気、水道、ガス、インターネット。すべて込みの家賃で、最低1ヶ月から入居可能。デポジット(敷礼金)はなしだ。

ちょっと気軽に家出してみたい、一人暮らしを試してみたい、旅してみたいという人は、ぜひギーズミへ。お遍路の土地、四国大地を踏みしめれば、きっとあなたの人生も浄化され、憑き物も落としていけるはずだ。

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森哲平
テッペイの森

1979年兵庫県生まれ。2011年より徳島に移住。2015年から徳島市沖浜町にて私設の図書館や子ども向けプログラミング教室を運営している。