SNSとマネタイズ

「儲からない」SNSは続かない。Medium使うの、なんだか怖くなってきた

森哲平
テッペイの森
Published in
6 min readFeb 18, 2017

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先日ふと思い出したのがEvernoteのこと。「すべてのノートを1つにまとめる」というコンセプトがおもしろいと思い、あの使いづらさには目をつぶって、自分は一時期Evernoteを結構ハードに使い倒していた。有料会員にもなった。

が、途中で使わなくなった。iPhoneで使おうとするとアプリが重くて落ちたり、どんどんインターフェースが変わって、変わるたびに使いづらくなってたり。最終的には、ちょっとしたパスワードを呼び出すにも一苦労するようになった。

五藤隆介@goryugoさんの著書を読み、ライフログを取るというのもおもしろそうだなって。当初はそれが実現できるツールって、Evernoteくらいしかない、Evernoteがベストなんじゃないかなって思って、ちょっとしたご飯の写真や、娘の成長記録。すべてEvernoteにアップするようにしてたら、一瞬でノート数が1万件とかそれ以上になって。

その頃から重くて使えなくなり、Evernote。今では放置したままだ。

そのEvernote、現在誰が使ってて、一体どうなってるのかな、ってふと思い出して、検索してみたら、大幅な価格改定に、無料ユーザーの使用端末制限。「どこにいても1つのノートから、同じ情報を取り出せる」というEvernoteのコンセプトは見事に崩壊していた。

Twitterも大苦戦。で、Mediumは?

金登さんの記事の通りで、Twitterもマネタイズ(収益化)があまりうまくない。

どうも高い理想を追い求めたり、「これは社会を変革するツールなのだあ!!」と叫んでるだけでは、(まあ、当然のことなのだが)最終的にはEvernoteのように、カネに困って、自分のコンセプトを裏切るような結果になってしまうようだ。

で、mediumだ。mediumのマネタイズについては、方針が発表されている。......のだが、これがどうもピンとこない。

一つはプロモーション記事。意義の大きいオリジナルコンテンツを継続的に発信しており、熱心な読者を維持しているパブリッシャーやブロガーを選んで、それらに対してBose、Nest、Intel、SoFi、Volpi Foodesといった提携先のブランドによる記事をホストすることができるようにするという。

また、収益化手段の二つ目は有料コンテンツ制度。限定的に、いくつかのコンテンツ発行者が会員限定のコンテンツとその他のメリットを読者に与えられるようにしているという。月間の会員費は直接発行者に支払われる仕組みだ。

これを読むと、mediumは自分たちのビジネスモデル、マネタイズの仕組みを明確に理解してないんじゃないか、と思ってしまう。

1つ目の「プロモーション記事」からして、よくわからない。提携先にホストするっていうんだけど、これどういう意味ですか? どなたかわかる人教えて。

そもそも広告、プロモーションなのに、広告主がmediumを選ぶんじゃなくて、medium様がパブリッシャーやブロガーを「選ぶ」という。「おめでとう。あなたはmedium様から選ばれました。つきましてはお金を支払えば、記事をプロモーションできますよ」ってことなのか? 理解に苦しむ。

2つ目の有料コンテンツ制度は仕組みとしてはわからなくはないが、これはMediumの「真に読まれるべき記事こそが読まれるべき」というコンセプトと相反していく可能性が少なくない。課金目当てのコンテンツが増えるのではないか。課金しやすいコンテンツだけが幅を利かせるのではないか等々。

そもそも「コンテンツに課金できるサービス」自体が珍しくないし、「コンテンツはフリー化する」という全体的な時代の兆候にも逆行しているだろう。

それでもMedium使い続けますか?

mediumなあ.......。いろんな記事で書いたけど、ほんといいサービスなんだわ。コンセプトには完璧に共感する。......んだけど、コンセプトっていうのは本当に脆い。コンセプトだけではコンセプトを維持できない。お金が必要だし、コンセプトを維持するためのお金を得るために、一歩踏み出すとコンセプトが崩壊し、ユーザーが離れていってしまう。

ってか「コンセプト」を描くときに、ついつい皆、「マネタイズ」を外して考えちゃうんだよね。で、後で「このコンセプトにマネタイズ、どうにかくっつけられないか」って考える。

でも、コンセプトっていうのはholisticなものでしょう? コンセプト+マネタイズではダメで、コンセプト(=ビジョン、デザイン、システム、マネタイズ)みたいになってないとダメなんだよね。

マネタイズまできちんと含まれているものが、本当の意味での「コンセプト」なのだ。ということは......つまり、マネタイズについて実はあまり考えてないのなら、mediumのコンセプトがダメだって話なんだけど、さてどうなるんだろ。

とりあえず、ぼくは自分のブログをすべてmediumに集めているので、サービスが倒れるのだけは勘弁してほしいけど、そうなる公算大なんじゃないかって思ってる。

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森哲平
テッペイの森

1979年兵庫県生まれ。2011年より徳島に移住。2015年から徳島市沖浜町にて私設の図書館や子ども向けプログラミング教室を運営している。