これからの本と人とのつながりを考える

新しい可能性を見つけるThe Book Garden

The Libium
Published in
6 min readSep 25, 2015

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あなたは、本に対して言葉では言い表せない魅力があると感じたことはありませんか?本は書かれている内容、装丁のデザイン、質感、匂いや本自体が持つ雰囲気など様々な魅力が詰まっているメディアです。しかし、本はただ置いてあるモノや本棚にしまってあるだけのモノとなるとつまらないオブジェと化してしまいます。本は読み手である人という存在がいることで成り立つメディアです。本を介して人々がコミュニケーションや交流をすることで本に新たな価値や意味を見いだすことができるのです。

実際に本と人とのつながりを生む活動は、様々な場所で形を変えて実践されているようです。例えば「kumori」というしおりを用いて本と人のつながりをつくるという取り組みがあります。

kumori

http://kumori.info/

kumoriは、本と人をつなげる、参加型のしおりです。自分の大切な本 をkumoriにのせて紹介することや、他の人の大切な本と出会うことができます。http://kumori.info/

自分の大切な本や好きな本の魅力を言葉で伝え。他の人と共有することができる楽しい取り組みの1つです。具体的には、まず紹介文を1冊選び、100〜180字のその本の紹介文と伝えたいことを表現するための文を4行10字以内の文を書きます。そして公式ウェブサイトにある応募フォームまたは応募用紙(PDF)を投函するだけでしおりをつくることができます。作られたしおりは、後日応募者本人に手渡しか郵送によって送られ、さらに「kumori」が置かれている図書館で配られる仕組みです。

実際のしおり http://kumori.info/

「kumori」はデザイナーの渡辺ゆきのさんの取り組みであり、しおりのデザインも手がけています。可愛いイラストでほんのり幸せを感じることができるデザインです。若い世代の人でも気軽に参加できるような工夫がされてある素敵なアイデアですよね。

マイクロ・ライブラリー

また他にも、図書館を介して本と人との出会いをつくるマイクロ・ライブラリーという取り組みがなされています。

マイクロ・ライブラリーとは

個人の私的蔵書を基本に一部、またはその全部を他者に開放し閲覧提供ないし貸出を行っている。

図書を通じて自己表現し、活動拠点の活性化、参加者の交流を通して活用されている。

運営主体が、個人または小規模の団体によるものであり、法的な規制や制度にしばられない運営がなされている。

http://curennt.ndl.go.jp/ca1812カレントアウェアネス・ポータルから引用

マイクロ・ライブラリーは図書館という場所を用いて、気軽に本と人とのつながりをつくるという活動です。マイクロ・ライブラリーは公共図書館とは違い公的な制約、基準が設けられていないため、誰でも、どこでも、いつでも、1つの本棚をつくるといったような小規模なものから始めることができるようです。やる気や熱い思い、多少の資金さえあれば、気軽に本と人とのつながりを見いだすことができる魅力的な取り組みの1つです。マイクロ・ライブラリーは自由がきくため、場所に捕らわれることなく図書館という空間を形成することができ、人が本に触れあう機会をカジュアルにつくることが可能になります。

Little Free Library

またアメリカでも本と人とのつながりをつくる可能性を見いだしている活動が実施されています。それは北アメリカで発祥したマイクロ図書館ネットワーク「Little Free library」というプロジェクトです。

http://www.documentsdelivered.com/update-little-free-libraries-thriving/
http://www.mymodernmet.com/profiles/blogs/little-free-library

オフィスや家庭の玄関先などに、お気に入りの本などを入れた左の写真のような箱を設置し、近所の地域の住民たち同士で、無償で本の交換や貸出を行うという本を介した人とのつながりを生むという取り組みが盛んに行われています。

「Little Free Library」は本が入った箱を設置するだけでそこが図書館の場所としての役割を果たしています。図書館の小さなネットワークを幅広く展開することで、本を介した地域住民の人々のソーシャルキャピタルを形成することができている活動であると感じました。日本でも企業などがさっそく取り入れているらしい(埼玉県の大野建設などhttp://current.ndl.go.jp/node/24384)のですが、浸透しているまでとはいっていないため、アメリカでの活動をもう一度見直すべきであると感じました。今後、また違う機会に触れたいと思います。

これからの本と人とのつながりを考える

このように日本、アメリカなどの海外においても場所や形態を変えて本と人とのつながりをつくる働きかけは実際に行われているようです。

今回紹介することができなかった多様な取り組みがまだまだ沢山あると思います。本と人との関わり合い方は予知ができないほど可能性があるので、ほんの小さなアイデアから新しい本と人とのつながりを発見することができるのではないでしょうか?

The Book Garden はまず、現在行われている本と人とのつながりを発信し、未来の新たな本と人とのつながりかたを考えていきたいと思っています。そして最終的には本と人とをつなぐ側になれることを目標に、これから多くのことを伝えていければと思っています。

The Book Garden と共に、これからの新しい本と人とのつながりを見つけていただければ幸いです。

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