SIM ちば2030を通して見えてくること

URAMOTO Kazunori
Stories by Code for Chiba
5 min readDec 25, 2016

突然ですが、「SIMちば2030」(以降、SIMちば)をご存じですか? SIM で千葉だとちょっと前に話題になった、こちらを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

SIM ちばも、シムシティに着想を得ているところもあるようですが、内容はかなり違います。TVゲーム機やスマートフォンと違い、対話を重視するゲームとなっており、街の方向性をグループで話をしながら進めるゲームです。システムは SIM熊本2030がオリジナルとなっており、千葉県のとある都市の状況を取り込んで作ったシナリオで体験することで、身近な環境の中でプレイできるようになっています。

さて、そんな SIMちばを体験するイベントが、先月開催されました。

当日は、スタッフの方含め30名ほど集まり、3つのグループに分かれて行いました。

SIM ちばは、千葉県内にあるとされる仮想都市C市を舞台に行われます。C市は、政令市で実質公債費比率、将来負担比率が高い財政状況のよくない都市です。しかしながら、昼夜間人口比率は高く、地域資源も多く持ち、独自性の発揮しやすい環境にある、という設定となっています。どこかと似ていますね :)

そういった背景のある C市で、SIM ちばのタイトルにも含まれている通り 2030年に向けて街をどうしていくのか? を考えていきます。C市の将来の見通しは人口ベースで想定され、社会保障費の増加、税収の減少などがリアルに設定されています。

ここまでが前段として説明され、いよいよゲームがスタートします。プレイヤーは、6つの局のどれかの局長に任命され、市長から辞令が交付されます。

シナリオは、2016年から始まり、5年ごとにラウンドが区切られています。各ラウンドでその時点での情勢と必要な事業がシナリオとして用意され、各局の持つどの事業を残すのか切るのか、はたまた借金を増やしてでもやるのか? といった選択をグループ内で話し合って進めていきます。

各ラウンドの内容は、書きすぎるといざプレイするときに面白くないと思いますので詳細は書きませんが、増えていく社会保障費から目を背けることはできませんね。。。実感。

2030年まで 3ラウンドプレイすることになりますが、プレイを通じて様々に気づきを得ることができます。SIMちばは、各局長になりきってプレイするので行政側の視点で物事を考えることになりますが、SIMちばを通して見えてくることは、むしろ民間(市民)が何をすべきか? です。

増え続ける社会保障費、減り続ける税収は話としては聞いたことがあると思いますが、なかなか実感することはないと思います。SIMちばは、選択肢を限定しているので、お金がなければいまある事業を中止するか、借金を増やすかしかありません。しかし、借金を増やし続けるわけにはいかないのは自明です。否が応にもいまあるサービスレベルから低下することになります。持続可能にするためには、行政に任せっきりにするのではなく、民間の事業として継続する必要があります。このヒントが SIM ちばを通じて見えてくるのではないか、と思っています。ソーシャルインパクト、なんて言葉に興味がある方には、おすすめなゲームだと思います。

今回行われた SIM ちばの体験会は、来年の 3月にも計画されています。

また、このSIMちば体験会にはクラウドファンディングを通じて集めた資金で、高校生を招待しています。2030年になれば、この世代は働き盛りの中心となっていく世代です。未来を考えると、今の大人達はこの世代につなげていくためにも一緒になって、考えることはとても大切ですよね。

私は今回、軽い気持ちで SIM ちばに参加しましたが、一緒になったグループの方の多様な考え方を知り、そして様々な気付きがありました。是非、次の回にも多くの方に参加してもらいたいな、と思っています。Code for Chiba としても、SIM ちばの普及に少しでも貢献できたらいいな、と考えています。個人的には、これまで開催した結果を集計して、分析してみると面白そうだな、と思っています。皆さんが考えている未来、知りたいですよね。

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