ベンチ

😌Sitting on the bench

ベンチをつくった。「つくる」といっても、ツーバイフォーの木材を買ってくれば、簡単に組み立てることのできるキットだ。ちょうど石川さんがいたので声をかけて、学生たちとともにおしゃべりをしながら、1時間ほどでベンチを組み立てた。背もたれを回転させれば、テーブルのように使うこともできる。とくに表面を整えたり塗装したりせず、そのままの状態だ。なんとも無愛想な感じだが、これぞツーバイフォーという雰囲気で、多少なりとも乱暴に扱われることがあってもだいじょうぶだろう。時間が経てば、もっと素材感が際立ってくるはずだ。

June 19, 2017

ところで、このベンチを置いただけで、テラスがちがって見えてきた。もちろん、これまでも「テラス倶楽部」と称して、月に1回（暑い日も寒い日も）テラスにテーブルを出してランチを食べる集まりを続けてきた。季節の変化を感じつつ、外で食事をするのは気持ちがいいものだ。だが、じつは、わざわざイベントを企画しなくても、スツールやキャンプ用のテーブルはすぐ手の届くところにあるのだから、その気になれば、いつでもテラスで過ごすことはできる。日ごろからフィールドワークや「カレーキャラバン」の活動をすすめていて、仮設的な場所をつくることには慣れているはずなのに、このテラスはあまり使うことがない。

ぼくたちは、あたえられた空間に服従しがちだ。そして、窮屈だったり使いにくかったりすると、すぐに建物や物理的な設えのせいにする。もちろん、改善すべきところはあると思うが、じつはぼくたちのほうがちょっとした工夫と手間を引き受ければ、いつもの場所は生まれ変わる。ベンチを置いたことで、融通が利かないのはテラスではなく、ぼくたちのふるまいなのだということにあらためて気づいた。

ベンチは「常設」だ。雨にも風にもさらされながら、テラスに佇む。「常設」されているのだから、もはやぼくたちの工夫も手間もいらない。簡単なことのようだが、ベンチを置いただけで、ひと部屋増えたような気にさえなる。研究室棟のテラスに置いてあるので、当面は「関係者」が腰をおろすのだろう。
だが、ベンチは無骨ながらも外に開かれている。ベンチは、いつでも「どうぞ」と、ぼくたちに呼びかけている。誰でも、ベンチに腰をおろせばいいのだ。それは、コミュニケーションのはじまりだ。😌

腰をおろす