RadicleとThe Graphによるプロトコルガバナンスプロセスの確立

著:The Graph Foundation

The Graph Foundationは、The Graphを未来に向けて管理するために設立されました。その後、分散型プロトコルとエコシステムのガバナンスを監督するためにThe Graph Councilが設立されました。そして今回、Radicleにホストされる形でGraph改善提案(GIP)プロセスを強化することになりました。

2020年12月のメインネットローンチ以来、プロトコルと財団の財務はThe Graph Councilによって管理されています。The Councilは、エコシステムの中核となる5つの分野の代表者により構成されています。インデクサー、ユーザー、テクニカル分野の専門家、初期チーム、そしてアクティブなGRTホルダーです。Councilは、6対10のマルチシグを構成します。これらの均衡の取れた組織が確立した今、次の焦点となるのは、Graph改良提案(GIP)プロセスとエコシステムの開発を通じてプロトコルのアップグレードをサポートすることです。

The Graph改善提案(GIP)プロセス

GIPプロセスの目的は、プロトコルのシームレスなアップグレードを保証し、コミュニティがグラフプロトコルの開発に貢献できるようにすることです。プロトコルは複雑で、多くのネットワーク参加者間の調整が必要であるため、GIPプロセスは、インデクサー、デリゲーター、キュレーター、サブグラフ開発者など、包括的な視点を含むように設計されています。

GIPプロセスは、貢献者がプロトコルの特定のアイデアを支持する方法を定義するだけでなく、プロトコルの改善に対する実行可能性とコミュニティの支持を評議会が評価する方法でもあります。分散型エコシステムにおける他の改善プロセスと同様に、GIPプロセスは自己起動型です。GIP-0001は、このプロセスを定義するものです。

“Radicleは、開発者をコードコラボレーションの中心的存在に戻し、現在のgitリポジトリを支配する中央管理者やデータサイロに代わるものを提供しています。これは、公共のインフラで構築されたオープンなインターネットというThe Graphのビジョンに強く合致するものであり、GIPプロセスにとっては自然な選択でした。今後、サブグラフのリポジトリをRadicleに保存したり、RadicleのプロジェクトをGraphでインデックス化するなど、2つのコミュニティが協力する機会が増えることを楽しみにしています”

- The Graph共同設立者兼Edge & NodeのリードリサーチャーBrandon Ramirez

GIPプロセスには、提案がThe GraphのRadicleレポで具体化されていく際の段階と受け入れ基準の両方が含まれています。各GIPには、提案の信頼性とコミュニティのコンセンサスを得るために、GIPが書かれる前、間、後に行われるメタプロセスが付随しています。

プロトコルのアップグレードプロセスは、コミュニティからのフィードバックや提案の仕様決定を効率化する為に、3つの要素に分かれています:

  1. Graph改善提案(GIP) — プロトコルのルール、インターフェース、ソフトウェアの機能、プロトコル設定、プロトコルパラメータ、プロセスの改善点を記述するもの
  2. Graph提案要求(GRP) — 具体的な解決策を提示することなく、プロトコルが対処すべき問題や機会を形式化したもの
  3. Graph記載要求(GRC)−アプリケーションレベルのコミュニティスタンダードを指定するもの。(例:特定のユースケースのためにサブグラフを設計する共通の方法や、アプリケーション間の互換性をサポートする方法など)

GIPプロセスは、The Graph Protocol、サブグラフ、アプリケーション・スタンダードを改善するためのワークフローを提案するもので、The Graph Councilが意思決定を支援するために利用できます。GIPの参加者は、The Graph Forumでアイデアを共有・議論し、より広いコミュニティからのフィードバックを募り、Snapshot Votingのようなツールを使ってセンチメントを測る必要があります。GIPが候補の段階になると、The Graph CouncilはそのGIPをプロトコルに含めるかどうかを投票で決めることが可能になります。

The Graph Forumは、GRCやGRPを正式に決定し、GIPについて議論する場です。現在のところ二つのGIPが提出されており、提案の全文はRadicleにホストされているGIP reposで見ることができます。このプロセスは初期段階にあり、ネットワークの安全性を実現し、ネットワーク参加者の視点を取り入れるための最良の方法をコミュニティがまだ決定していないため、今後も継続して実施される予定です。

The GraphとRadicle

The Graphは、分散型のガバナンスには、分散型のコードコラボレーションツールがふさわしいと考えています。完全に分散化されたスタックは、完全にパーミッションレスなアプリケーションとWeb3のビジョンを確保するために不可欠です。 プロトコルが透過的かつ分散的に管理されていることを保証するために、The Graphは今後のプロトコル管理にRadicleを使用することを約束します。

Radicleは、コードコラボレーションのためのP2Pネットワークで、gitとRadicleプロトコル参加者間の分散型ガバナンスを活用し、パーミッションレスなコードを保証します。プロジェクトはRadicle上で自分のリポジトリをホストできるだけでなく、編集やリクエストのマージのプロセスも完全に分散化されています。

GIPプロセスの拡大に向けたもう一つの重要なステップは、Radicleとのコラボレーションによって達成されました。RadicleにはGIPが保存され、コミュニティがアクセスできるようになります。このプロジェクトに関連するすべてのコミュニティのフィードバックは、可能な限りオープンソースで管理可能であることが重要であり、ピアツーピアのコードコラボレーションツールであるRadicleはこれを実現しています。Radicleは、The Graphのサブグラフであるlbp.radicle.networkを使用しています。

Graph財団は、現在進行中のイニシアチブが行われているThe Graph Forumを通じて、全ての人がガバナンスに参加することを奨励しています。GIPについて議論された2月23日の最初のタウンホールを見逃した方は、こちらでご覧いただけます。

Radicle創業者の言葉

Radicle共同創業者Eleftherios Diakomichalisは次のように述べています:

“The Graphのミッションと分権への取り組みは、Radicleにとって長年にわたりインスピレーションの源となっています。だからこそThe GraphのガバナンスプロセスがRadicleにホストされることは、非常にエキサイティングな事であると感じています。RadicleはThe Graphのような分散型コミュニティを念頭に置いて設計されており、セキュリティ、主権、パーミッションレスという中核的な特性が非常によく適合しています。”

また、Radicle開発担当Abbey Titcombは次のように述べています:

“プロトコルエコシステム間の相互送出とコラボレーションは、分散型開発者ツールの次の波をサポートするための最良の方法です。The GraphはまさにWeb3の分散型アプリケーションを動かす燃料となるでしょう。Radicleが弾力性のある堅牢なコラボレーションインフラで彼らのミッションをサポートできることに感激しています。”

The Graphについて

The Graphは、分散型ウェブのインデックスとクエリのレイヤーです。開発者はサブグラフと呼ばれるオープンなAPIを構築・公開し、アプリケーションはGraphQLを使ってクエリを行うことができます。The Graphは現在、Ethereum、IPFS、PoAからのデータのインデックス作成をサポートしており、今後さらに多くのネットワークをサポートする予定です。現在までに8,000以上のサブグラフが10,000人以上のアクティブな開発者によってデプロイされており、Uniswap、Synthetix、Aragon、Gnosis、Balancer、Livepeer、DAOstack、AAVE、Decentralandなどの主要アプリケーションに利用されています。

アプリケーションやWeb3アプリケーションを構築している開発者であれば、ブロックチェーンからのデータのインデックス作成やクエリにサブグラフを利用することができます。The Graphを使うことで、アプリケーションは効率的かつパフォーマンスの高いデータをUIに表示することができ、他の開発者もあなたのサブグラフを使うことができます。サブグラフをデプロイしたり、Graph Explorerにある既存サブグラフを照会することができます。

The Graphでは、あなたがThe Graphのネットワーク上でインデクサーキューレーターデリゲーターになることを歓迎します。技術的な議論を行うDiscordで自己紹介し、Telegramチャットに参加したり、Twitterをフォローしたりして、The Graphのコミュニティに参加してください。The Graphの開発者やコミュニティのメンバーは、いつでもあなたと話したいと思っています。また、The Graphのエコシステムでは、開発者同士がお互いにサポートし合うコミュニティが成長しています。

日本コミュニティでは毎月オンラインミーティング(ウェビナー)を開催しております。誰でも参加自由ですのでThe Graph JapanのTwitterTelegramをフォローしてアナウンスをお待ちください!

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