The GraphによるWeb3のインデックス作成

The Graph Japan
The Graph Protocol Japan
8 min readJan 7, 2021

The GraphはWeb3用のインデックス/クエリ作成プロトコルであり、ブロックチェーンからのデータのインデックス作成とクエリ作成を可能にします。The Graphはブロックチェーンスタックの重要なミドルウェアコンポーネントになりつつあり、データやAPIアクセスの新たな在り方に挑戦しています。

著:MAX HATESUER

免責事項:TokemyはThe Graphのキュレータープログラムに参加しています。この投稿は投資アドバイスではありません。

私たちは以下のtwitterスレッドでThe Graphについて簡単に議論しました。今回の投稿で、この興味深いプロジェクトをより深く掘り下げてみたいと思い筆を取りました。

The Graph @graphprotocolは、サーバーレスアプリの作成、改善されたオープンAPI、分散化されたデータマーケットを可能にするエキサイティングなプロジェクトです。これら3つのユースケースについての短いスレッドは以下の通りです👇

— Tokemy.eth (@_Tokemy) November 2, 2020

The Graphとは?

インデックスとクエリ

非静的なWebサイトやアプリは、ユーザーが要求する何かを表示するために、常にデータをクエリする必要があります。クエリは、データベースに保存されているデータを取得してアプリケーションのインターフェースに表示するために使用されます。クエリに加えて、データをインデックス化することでクエリの効率を最大化することができます。これは、より良いユーザーエクスペリエンス(UX)とアプリの読み込みの高速化につながります。

ブロックチェーン上で構築する場合、クエリを行う上で重要なデータベースはブロックチェーンです。現在のところ、ブロックチェーンへクエリは複雑かつ困難であり、劣悪なUXになってしまうことが多い状況です。The Graphはこの問題の解決を考えています。

サーバーレスアプリの構築

ブロックチェーン上にアプリケーションを構築するためには、開発者は脆弱な集中型インデックスサーバーを構築しなければなりません。これは、アプリが完全に分散化されていないことを意味します。完全な分散化は、活性化を確実にするために重要です。

「完全な分権は必要ない」と言っている人たちの意見はポイントがずれています。完全に分散化された (または サーバーレスの) アプリケーションは、ユーザーに *常にそこに在る* という信頼感を与え、その上に安全に構築することができる部分に価値が生じます。

— vitalik.eth (@VitalikButerin) April 7, 2020

The Graphは、アプリを完全にサーバーレスにすることを可能にします。中央管理型サーバーを使用する代わりに、The Graph上のノードであるインデクサーがインデックス作成とクエリサービスを提供します。

Web3スタックでは、The Graphはブロックチェーンとアプリケーションのフロントエンドの間のミドルウェアコンポーネントとして見ることができます。

透過的なデータのためのオープンAPI

ブロックチェーンは完全な透明性を有しており、オンチェーンのデータを誰でも利用することができます。しかし、現状ではユーザーフレンドリーなアクセス方法はありません。例えばUniswap.info(Uniswapが運営)もCoingeckoも、Uniswapのオンチェーンからデータにアクセスすることができますが、クエリやインデックスを共有するレイヤーが存在しないため、チームはホイールを再構築して分離する必要があります。

そこで、The Graphは、サブグラフと呼ばれるオープンなAPIの作成を可能にします。

GRT

グラフエクスプローラー上にあるサブグラフを誰でも検索することができます。更には誰でも新しいサブグラフを作成することができます。そして最適で有用なサブグラフはインデクサーによってインデックス化されます。The Graphは、データを照会したいコンシューマーとインデクサーを結びつけます。コンシューマーはインデクサーに小額の手数料を支払います。

The GraphのトークンであるGRT(ERC-20)は、ネットワークで機能するトークンです。これは異なる役割を持つ参加者にインセンティブを与えることによって、ネットワークのデータの完全性や品質、セキュリティを保証するものでもあります。インデクサーとコンシューマーに加え、ネットワークのキュレーターとデリゲーターという役割も存在します。

GRTの使用方法

インデクサーは、サブグラフのインデックス作成とクエリに対してGRTで報酬が支払われます。彼らはインデックス作成率を設定することができ、インデックスを作成したいサブグラフにGRTをステークする必要があります。もし彼らが悪意を持ってインデックスを作成したり、間違った又は質の低いインデックスを作成した場合、ステークされたGRTを失うことによるペナルティを受けます。インデクサーはレート、アップタイムなどで競い合います。

キュレーターは、サブグラフにGRTをステークすることで、どのサブグラフにインデックス化を施す価値があるかをインデクサーにシグナリングします。キュレーターは、サブグラフにり生成された手数料の一部を報酬として受け取る事ができます。つまりキュレーターは、需要の高いあるいは需要の高まりが想定される高品質のサブグラフを探すことにインセンティブを与えられます(多くのコンシューマーがサブグラフにクエリを求めています)。彼らはボンディングカーブにステークする形になるため早期にシグナルを出せば、手数料のより大きなシェアを受け取ることが可能になります。

デリゲーターはインデクサーにデリゲートし、インデクサーが受け取る手数料の一部を得ることができます。デリゲーターは、パフォーマンスの良い(稼働率が高い、クエリ料率が良い)インデクサーに保有GRTをデリゲートするインセンティブが生じます。

コンシューマーはデータのクエリの際にGRTを支払います。彼らは、サブグラフからデータを表示したいアプリケーション開発者である可能性が想定されます。

ビジョン

The Graphのプロダクトは既に市場に適合しています。開発者は自分自身でブロックチェーンに対して直接クエリすることも可能ではありますが、The Graphを使えば信頼性の高いパブリックネットワークにその煩雑な作業をアウトソースすることができ、誰でもアクセスすることができます。今後時間の経過とともにThe Graphは普遍的かつ不可欠なクエリレイヤーになるかもしれません。

さらに、The Graphは特定のチェーンのみに依存しないことを意図しています。様々なネットワーク(サイドチェーン、レイヤー1など)をサポートしていくことを想定しており、現在のところEthereumとIPFSの両方のクエリをサポートしている。

現在、The Graphは既に多くのDeFiアプリケーションで使用されています。時間の経過とともに、より多くのソフトウェアがブロックチェーンに移行し、Graphはweb3のデータをキュレーション、検索、整理する重要なネットワークになる可能性があります。 最終的には、Graphはデータのサイロを破壊し、全てのデータをマーケットプレイスで利用できるようにしたいと考えています。

リソース

The Graphについて詳しく知りたい方は以下のリソースをご覧ください:

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The Graph Japan
The Graph Protocol Japan

オープンAPIによる分散型アプリケーションを可能に GraphQLでブロックチェーンデータをクエリする為のインデックスプロトコルです