着物で台湾いきたいわんII

2016 Autumn (Taipei)

・洋服は着ない、持って行かない。服装は機内含め、着物のみ。

・スーツケース、ダメ、絶対。荷物は風呂敷に包む。

着物出張シリーズ前回に続き、また台湾に着物で出張に行ったので、海外出張、あるいは海外旅行を考えている男子の参考になればと思い、書いてみます。

今回は2016年10月26日から28日まで二泊三日と短期出張でした。主目的は現地法人設立に伴うお役所・銀行周り、事務作業、打ち合わせです。


気候下調べ

毎回悩む気候ですが、今回は15-20度ぐらいの秋の世界(東京)から、25-33度ぐらいの盛夏の世界に行く感じなので、割と大変でした。

現地の真夏の暑さに合わせてしまうと、こちらで空港まで行く間寒いし、かといって日本の15–20度という気温は、コートを着るほどの気温ではない。この微妙な状況にどう対応すべきか、しばし考えたのですが、今回は奥の手として夏の格好をして車で空港まで行くことにしました。

二泊三日ぐらいだと、羽田空港で駐車する料金は3日で5000円前後くらいで、都内に住んでいる私にとっては、電車・バスで行くのと比べると、高速代を含めて2000-3000円ぐらい多めに払う感じになります。このくらいなら寒暖差を埋めるためのオーバーヘッドとして許容してもいいのではないかと考えました。フライトが朝7時と早いので、電車でもバスでも一筋縄でいかないという事情もありました。

装備

前回は下駄で行ったんですが、台北慣れしてきて、それほど豪雨に見舞われることもないとわかってきたので、足元は今回は晴れ仕様で雪駄にしました。

着ていった

・越中ふんどし
・肌襦袢
・麻の長襦袢
・長着(縞 単衣 だいぶ薄いやつ)
・角帯
・黒足袋(晒裏)
・雪駄
・カンカン帽
・アフガンストール(シュマグ、首に巻く)

持って行った

・長着(薄物 上布 蚊絣 単衣 黒ベース)
・長着(単衣 麻 縮み 紺)
・黒足袋(晒裏) x 2
・角帯
・絽の羽織(ポリ)
・羽織紐
・羽織紐予備
・甚兵衛(部屋着、緊急時用)
・着物ハンガー(折りたたみ式、短いやつ)

二泊三日なのにちょっと持って行き過ぎかなとも思ったんですが、実際のところはペラペラの夏服なので意外と小さくまとまってしまい、いい感じになりました。

長襦袢、ふんどしは予備を持たず、現地で洗濯を計画しました。いざとなれば甚兵衛を襦袢代わりにすればいいやという覚悟です。

新しく導入した装備

たとえビジネス出張だったとしても、歩かないヘタレだったとしても、僕の出張スタイルは紛れもなくバックパッカーに分類されるので、よくバックパッカーの方々の足袋テク……ならぬ旅テクを参考にします。そうした中で見かけて気になっていたのが「シュマグ(アフガンストール)は便利だ」と主張するブログ記事です。

すごい!それに、これって、正方形じゃん!それなら風呂敷を活用する要領でいろいろ活用できそうだ、と思って僕も買ってみることにしました。

手始めに、と思い、アマゾンで300円くらいのやつを買ったんですが、これが万能なこと万能なこと。たまに羽織紐のカンに引っかかるのがたまにキズですが、首に巻くと想像以上にあたたかいし、食事のときに手拭いのかわりに膝に敷くのもありだし、風呂敷のように何かを包むのにも使えるし、ホテルの部屋が乾燥しすぎているときに、手洗いして干しとくといい感じになるし、とにかくいろいろ使える便利なやつです。

空港まで(着物で運転)

夜明け前の助手席に鎮座する唐草風呂敷

「着物で運転」については触れたことがなかったのですが、実際やろうとすると
・雪駄/下駄で運転すると運転しづらい
・雪駄/下駄で運転すると道交法違反の可能性がある
・雪駄/下駄を脱いで足袋で運転すると足裏が汚れる

などの課題があります。

いろいろ試した結果、僕は足袋にスニーカー用のショートソックスをかぶせる方法を取っています。車内にそれ用のソックスを置いておき、車に乗ったら雪駄・下駄を脱いで、足袋の上からソックスを履きます。そうすると足元が地下足袋風になり、いい感じになります。

また、今回は飛行機が羽田空港7時発のため、家を朝4時半ぐらいに出たのですが、単衣着流しでは微妙に寒いため、茶羽織を羽織っていきました。茶羽織とは温泉旅館で浴衣の上から着るアレで、僕は部屋でよく着ています。

車は羽田の駐車場に停めて、茶羽織は車内に置いていきました。

チェックイン(羽田)

今回は中華航空でした。チェックインカウンターでは、ビニールも被せず、ダンボールをご用意いただくこともなく、スムーズに風呂敷を預かっていただけました。羽田・成田発でははじめてだと思います。

到着→荷物受け取り→入国

東京羽田→台北松山空港のフライトはわずか4時間弱です。

このエリアには撮影禁止の表示がある空港と、そうでない空港があります。例えば羽田は撮影禁止です。

今回は風呂敷がビニールに包まれることもなかったので、大変スムーズに荷物受け取り・入国しました。 いつものように中華電信の「3日行動上網計日型」のSIMを購入。

松山空港の到着ロビーにあるSIM売り場。いつになく混んでいました。

その後タクシーに乗るために空港を出て三秒ぐらいで後悔しました。

暑いよ……!

日本はすでに朝晩寒い気候になっていたので、夏のうだるような暑さは忘れてかけていたのですが、現地はものすごく暑く、薄手の単衣でもひどく汗ばむ気候でした。

しかし、松山空港は本当に便利ですね。街の中心部に近く、日本で言うと田町あたりの駅前に空港がある感覚です。松山空港の国際線を廃止にして桃園空港だけにする計画もあると聞きましたが、ぜひ残してほしいものです。

市内(お役所、信用調査機関、銀行)

今回行く主目的は、現地での法人銀行口座の開設。現地法人の代表者である私が、実際に各所の窓口に行かなければいけない用事を済ませることだったのですが、今回まず行く予定にしていたのが「移民署」「信用調査機関」「銀行」です。

どれも名前がお堅いですよね。もし日本で法人銀行口座を設立しにいくとしたら、万が一口座開設を断られたりしたらいやなので、仮に僕が普段はカットソー+デニムみたいな服装をしていたとしても(そもそも洋服着てないので、断じてしてないですが)、念のためスーツにネクタイで行くと思います。そう考えると、やはり羽織くらいは羽織っていく必要があるのではないかと考えたのですが、スケジュールに余裕が無く、とにかく午前中にその3つの機関を回る必要があったため、「普段着でOK」という事前調査結果を信じて、着てきた着流しのまま突撃する感じになりました。暑いし。

飛行場で、今回全面的にサポートいただいている進出支援会社の担当の方と落ち合い、

「小椋さんは、ご実家はお寺ですか?」

と流暢な日本語でご質問をいただきつつ、タクシーで各所を回りました。日本のアニメだと、着物を着ている人はだいたい寺の息子なので……ということだったんですが、一体どんなアニメを見ているんでしょうか(笑)。ともかく着物を着ていると初めて会った方とも会話のきっかけができて良いです。

さて、移民署ではいわゆる外国人登録のようなことをします。仰々しい感じの名前なので、いろいろ質問されるのではないかと思ったのですが、まったくそんなこともなく、この手続きは一瞬で終わりました。統一証号という、たぶんマイナンバー的なものを取得しました。私は中国語を話せないため、このあとの手続きも含めて、担当の方に全力でサポートいただきましたが(というか僕はついて行って本人確認するだけ)、あとで聞いたところによると、この手続きは英語でもできるらしいです。

次に某信用調査機関(実は名前を忘れた)を回ります。できたばかりの何の信用もない当社が、現地の企業と取引するにあたり、信用調査レポートの提出を求められていたので、法人の登記簿(的なもの)と印鑑等を持って行きましたが、こちらもつつがなく完了。

最後に銀行の窓口で法人の口座開設と、インターネットバンキングの申請。日本だといろいろ面倒なので、大変なんじゃないかと思ったんですが、特に嫌がられることもなく、粛々と口座開設が進みました。とはいえ結構長く時間がかかり、私の身分を証明して必要な手続きを取ったあとは、担当の方におまかせして先に現地オフィスに向かいました。

ちなみに銀行では「個人口座も作っていかれますか?」と訊かれました。(私は口座必要なかったので作りませんでしたが)日本だと外国人が銀行口座を作るのは大変難儀するので、対照的だなーと思いました。

市内(その他)

以上で仕事はだいたい完了。あとはオフィスで決済・会計処理等についてミーティングを行ったり、お世話になっている先をご訪問したり、ご挨拶に行ったりしました。

二日目は夏物の着物+絽の羽織に変えたので、だいぶ涼しくなりました。

Goodpatchさんの素敵なオフィスロビーで卓球ができるフリをする私

帰路

三日目(最終日)はもうここは紛れもなく盛夏と割り切って、麻の縮みで過ごし、そのまま日本に帰りました。帰りはいつもどおり風呂敷はそのままチェックインできました。

カンカン帽に麻縮みという格好で10月末の羽田に降り立つと……寒い!

外では雨が降っていて、気温10度ぐらいの中、震えながら車につくと、シートには脱ぎ捨てられた茶羽織が。自分グッジョブ!な気分でした。

その他

いつも通り毎日麻襦袢と褌を毎晩洗濯、翌日朝には乾く感じでした。

まとめ

着流しでも会社設立手続きはできる。

そんなわけでHDE Taiwan, Inc. (台灣惠頂益股份有限公司) は無事に営業を開始いたしました。当社メンバー含め、設立に尽力くださったすべての方にお礼を申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。