ブロックチェーンメタバース:プレーヤーが作り、所有し、管理できる『透明』なゲーム社会

The Sandbox
The Sandbox (サンドボックス)
16 min readJan 9, 2020

The Sandboxのような有限の共有世界で、ユーザー生成コンテンツと仮想世界(メタバース)の真の価値を創造する

ブロックチェーン技術は新しい自由と創造の空間を作り出すことができ、未来の社会的表現はデジタルかつ創造的で楽しいものになると信じています。
全く新しい形の分散型ブロックチェーンゲームプラットフォーム「The Sandbox」のローンチが近づいてきたので、現時点での達成度を振り返りたいと思います。
なぜ私たちがこのスタイルのゲームを作ることにし、どうやってそれを達成したのか。そして、なぜこれがゲーム界における重要な瞬間と言えるのか。
全てについてご説明します。

メタバースを造った理由

2年ほど前、私たちはオリジナルのThe SandboxおよびThe Sandbox 2のモバイルゲームを作成し、成功を収めました。 Pixowlとして、数百万のプレイヤーとクリエイターの助けを借りつつ、数千万ダウンロードと毎月100万人以上のアクティブユーザーを抱える、最大の独立したユーザー生成コンテンツおよびゲームプラットフォームの1つを世に送り出すことができたというわけです。人気を博して利益を上げるゲームを作れ、充実した日々でした。

しかし、最終的に私が目にしたものは、「ゲームの限界」でした。ゲーム成功の立役者であるクリエイターが彼ら自身の作品から収益をあげる方法がなかったのです。
彼らは持ち前の才能を輝かせて、小さなピクセルの世界、ゲームの冒険、そしてプレイヤーと共有できる音楽作品までも生み出していました。彼らは名を挙げることにこそ成功しましたが、どれほどのプレーヤーが楽しんだとしても、彼らが作品から生計を立てることは叶いませんでした。

ピクセル単位での作成であったため、作成プロセスは非常に直感的でしたが、小さな2Dワールドをより大きな共有体験に繋げる方法がないという点で限界がありました。
また、ピクセルアートには所有権を証明する方法がないため、クリエイター間の作品の模倣も多くみられました。更には、プレイヤーが互いにコンテンツを販売するためのシステムを構築したい場合でも、真の作者が誰であるかを確認する術がありませんでした。

これらの限界を念頭に置き、私たちはシリーズを発展させる新しいタイトルであるThe Sandbox 3を計画し始めました。作成プロセスの直感性に保ちつつ、3Dに移行しようと考えたのです。 MinecraftやRobloxなどのゲームの成功からヒントを得て、数百万人のクリエイターがボクセル、正方形、ピクセルの3Dバージョンでアイテムやワールドを作成する方法への認知があることに私たちは着目しました。その上で、ボクセルの作成を独自のThe Sandboxスタイルで導入することを構想しました。そう、まさにThe Sandboxのホワイトペーパーで説明したように:

The Sandboxシリーズの来たるべきゲームは、プレイヤーによるユーザー生成コンテンツ(UGC)を備えた3Dボクセルベースのエコシステムです。 The Sandboxでは、クリエイターは、集権的な制御に支配されない真の完全な所有権のもと、独自のゲームワールドとアセットを作成、プレイ、共有、および取引することができ、暗号通貨を獲得する能力とともに著作権セキュリティを享受できます。

作成者の認知、所有権を確立し、価値の移転を可能にするためにブロックチェーンを使用するというアイデアを採択すると、物事は急速に動きました。かといって、とんとん拍子に進んだわけではありません。新しいパラダイムを確立するのは容易でなく、アイデアを磨き続けるためにたくさんの分野をまたぎ続けました。しかし、The Sandboxの非常に小規模で高レベルなチームを新しいクリエイティブおよびビジネスエンティティとして開始して以来、The Sandboxのビジョン、テクノロジー、およびビジネスプランを、30人以上の才能に溢れる人々がプラットフォームで作業できるほどに前進してきました。

チームの重要性は言うまでもありません。彼らの懸命な努力とアイデアがプラットフォームに命を吹き込みました。ここで述べるチームには、The Sandboxのコアチームだけでなく、親会社のAnimoca BrandsHashedの投資家も含まれます。私たちのアイデアは集合的に進化し、(おそらく、ユーザー主導の仮想世界を作成しようとしてLinden WorldがSecond Lifeに進化したのと同様に)前進するにつれて思考が鋭くなりました。

私たちは現在、以下の3要素を最重視しています。

・プレイヤーとその作成物に対する、真の所有権と価値

・一貫した審美性と相互運用性を備えたコンテンツを作成する機能

・提携を促進し、社会的に作用する環境

真の所有権を作成する方法

私たちにとって仮想世界での真のデジタル所有権は、実世界における所有の過程に基づいています。たとえば、実世界で私が物理的な漫画本を購入した場合、私は自分がそれを所有していることを知っており、必要に応じて他人に売ってしまうこともできます。
The Sandboxメタバースでも、同様であるべきでしょう。ホワイトペーパーから再度引用すると、以下の通りです:

The Sandboxは、3Dボクセルモデルを作成、組み立て、共有するための独自の方法を提供します。直感的で強力なコンテンツ作成ツールでクリエイターを支えるのです。
The Sandboxを利用することであなたは独自の3Dボクセルオブジェクトを作成し、アニメーション化し、世界規模のマーケットで無料で公開/販売できます!独自のボクセルオブジェクトを作成またはインポートしてそれらを活用し、ユーザーがそれらをアセットと呼ばれる限定的なERC-1155非代替トークン(NFT)に変換できるマーケットへと簡単にエクスポートすることが可能なのです。 NFTは、デジタル上での希少性・セキュリティ、および信頼性のための仮想トークンです。それらは唯一/別個で不可分です。

NFTの力の範疇を越えて所有権を確立しようとすると、現実の世界と同様にThe Sandboxの空間には限りがあります。現実の不動産および物理リソースのようにその制限は定義されており、変更できません。すべての土地が売却されてしまえばなくなってしまい、これ以上新規に作成することは出来ません。これは、Decentralandで最初に確立されたモデルに基づいています。

これらの制限と、世界で作成されたすべてのオブジェクトに付随する絶対的な追跡と記録の両方が、ブロックチェーンを通じて促進されます。ブロックチェーン技術がなければ、私たちはこのゲームを作ることはできませんでした。しかしこの技術があれば、作成されたすべてのアイテムに、作成者とオブジェクトの両方を識別する一意の記録を伴わせることが出来ます。
また、オブジェクト作成時にオブジェクトのコピー上限数を指定します。 1つのユニークな剣またはツリーを作成して価格を上げることも、ユーティリティオブジェクトのコピーを500個作成して価格を下げることもできます。

これらの属性はブロックチェーン上で検証されるため、制御は分散されます。あなたが作成したオブジェクトがあなたから生まれたことを不変に証明でき、あなたが購入したオブジェクトがあなたの所有であることを不変に証明できます。そしてその上で、オブジェクトを保持するか、使用するか、別のプレイヤーと取引するか、合意した価格で販売するかを選択できます。また、所有権はブロックチェーンに紐付けられているため、The Sandbox内のみならず他の任意のゲームでオブジェクトを自由に使用できます。特定のゲームの世界に価値を限定してしまうゲーム内プロセスとは違い、ブロックチェーンを用いれば譲渡可能になるのです。

ゲーム内トランザクションはすべて、分散暗号通貨であるSANDで行われます。暗号通貨の第1世代によく見られたような投機の手段としてではなく、価値の交換を促進するためのユーティリティトークンとして設計されています。 SANDは、他の暗号通貨と交換したり、プレイヤーが望むようにフィアット通貨に戻すことができます。つまり、クリエイターは自分の仕事に対して報酬を得ることができ、アイテムを購入したプレーヤーは必要に応じて購入を現実の価値に戻すことができます。

ユーザー生成の世界で美的統一性を保つ

The Sandboxは、複数の理由から3Dボクセルグラフィックスに基づく設計が採択されました。既に述べたように、数百万人(推定5,000万人)がボクセルアイテムの作成方法をすでに知っているため、潜在的なユーザーベースが大きくなります。ボクセルクリエイタースペースも非常に影響力があり、「デジタルレゴ」としてのボクセルの使用は、レゴコンストラクション(活気のある中古マーケットプレイスが存在する)の多くの成人クリエーターと並列させて見ることができます。

ボクセルは、風景を作成するための最速のツールでもあります。もし、優れたボクセルの世界とゲーム体験を作成できるゲームがあり、ブロックチェーンを介して作成物を安全に保存および交換できる機能を備えることが出来たら、クリエイターは一変して自らの創造性に対してより大きな利益を得ることができるのです。

またそれ以上に、ボクセルは、共同構築を容易にする美的統一性をもたらします。ボクセルアートでは非常に複雑なオブジェクトと環境を作成することができ、一貫して使用できるサイズと形状を簡単に定義できます。これは、アイテムまたは環境の共同構築がより簡単であることを意味します。また、他者との提携の容易さにより、より大規模なプロジェクトの作成も可能にします。

私たちのチームは、クリエイターを支援するためのガイドラインと定義を作成しましたが、ボクセルの固有のプロパティによってタスクが簡素化されています。ボクセルアートは固有の見た目をもち、ゲームが登場する前から誰もがこれを理解していました。ボクセル技術の導入を選択することで、共同作業が容易になり、多くの異なる経験があたかも一緒になっているように感じられる世界を構築できます。

提携と社会的相互作用を促進する方法

私たちは常に、The Sandboxがプレーヤーとの協働で構築されるメタバースであるように、と志向してきました。オリジナルのThe Sandboxゲームでのユーザー生成コンテンツ(UGC)導入の経験は、ツールの作成、プレイヤーに適切な量のガイドラインと自由を提供するなどの分野で強力な推進力となりました。しかしこのプラットフォームでは、 UGCをさらに展開させ、我々チームとプレイヤー間だけでなく、プレイヤー同士間の提携をぜひ可能にしたかったのです。

そこで、私たち開発チームは最初からこれらの観点に焦点を当てました。つまり、提携を容易にするシステムツールを作成し、あるプレイヤーがオブジェクトを作成する一方で、別のプレイヤーがそのオブジェクトにアニメーションをつけ、さらに別のプレイヤーがスクリプト動作を作成できる、といった分担が可能になるようにシステムを分離しました。これにより、アーティストはアーティストに、アニメーターはアニメーターに、デザイナーとプログラマーは動作設定の作成を、のようにそれぞれが得意分野でベストを尽くし、共有できるのです。

この提携も、必ずしも意識的に行われるとは限りません。互いに知らない2人のクリエイター間でも、第三者のプレーヤーがアイテムを個別に取得して自分のゲームワールドで組み合わせることで、結果的に互いにうまく機能するオブジェクトとスクリプトを作成できたと言えます。

提携はまた、プレイヤーが購入・所有できるワールドの単位であるLANDの所有権にも及びます。将来、LANDは別のプレーヤーに貸し出させるようになる予定です。所有者は、他のクリエイターをLANDに招待して、共同で体験を生み出すことができます。プレーヤーは、LANDをより大きな共有空間と合併させて、より豊かでより大きなゲームやソーシャルエクスペリエンスを作ることも可能なのです。

アイテムとLANDのこの創造的な提携は、それぞれに真の所有権があることで可能になります。アイテム(The Sandboxの用語ではアセット)の作成が完了すると、ブロックチェーン登録を介して元の所有権が確立され、基本的な所有権と発信元の情報が保持されます。プレーヤーは永久に、アセットの著作権も完全に所有しています。誰が何を作成したかで論争を起こす必要はなくなります。すべてが公開され、透明性が高くて証明可能なブロックチェーンの記録として残るのです!

これからの私たち

私たちは最近、The SandboxのLANDの第一回目となるプレセールを開催し、約3000のLANDが4時間以内に完売しました。またThe Sandboxには招待したアーリーエントリーアーティストによって既に数千のアイテムが作成されています。 アセットの売買、真の所有権を可能にするマーケットは、2020年に予定されるThe Sandboxの解禁に伴い、取引を開始します。

The Sandboxの商業的なポテンシャルとは別に、このゲームのリリースは真のメタバースが実を結ぶというゲーム革命の一部となることでしょう。分散方式での統制により、私たちチームを含め、誰も干渉できないブロックチェーンの公平な管轄権に従う不変のルールのもと、プレーヤーは仮想世界における独立した行動者となって好きなように自由に行動できます。

ほんの一例を挙げると、クリエイターは自分のLANDにテニスコートを作り、物理法則、アニメーション、アイテムを組み込んだテニスゲームへのアクセス権を貸すことができます。また、テニスコートのセットアップをマーケットで販売することで、すべてのLAND所有者が自分のLANDにテニスコートを建てることができるようになります。あるいは、テニスコートを建てて、ビジターがラケット(プレーヤーから簡単に購入できるでしょう)を持ってプレイできるように設定することもできます。あるいはテニスゲームを作成して、他のプレイヤーにそれをプレイさせてスキルを身に付けてもらい、仮想「チケット」を販売して、他のプレイヤーがこれらのトーナメントを視聴できるようにすることもできます。みなさんが想像するものは全て、The Sandboxで構築できます。

真の所有権、多様性を実現する統一された美学、社会的な提携を取り入れた新しい対話型空間により、私たちは新しい時代の幕開けを迎えつつあります。プレーヤーが指先で豊富なオプションを駆使して運命を制御できるこの新しいモデルのポテンシャルを証明したい、と私たちは考えています。

プレーヤーが確実にコントロール権を手に入れた時、一体彼らはどのような運命を描くのでしょうか?
オンラインユニバースの出現以来、数々の歴史的事象が数千人ほどのプレーヤー間で起こっており、バーチャルの歴史はしばしば文明発展の歴史に似ている節があります。たとえば、韓国のMMORPGであるLineage 2では、2004年に低ランクのプレーヤー達が重い税金を課す少数の強力なプレイヤーに対して反旗を翻すという出来事がありました。 よろいを装備していないことから「アンダーウェアファイターズ」として知られる何千人ものプレイヤーが、Batzサーバーで城を襲撃しました。 3か月の闘争の末にその反逆者たちは要塞を占拠し、抑圧者たる高ランクプレーヤーたちの体制を転覆させるに至りました。悲しいことに、1年以内にかつての反逆者たちはその連帯を失い、高ランクプレーヤーたちはかつての彼らの城と地位を奪還することに成功し、革命は終結しました。

完全なタイムラインと歴史を持つ最初のメタバースの1つになり、すべてがプレーヤーの行動によって駆動される可能性がThe Sandboxにはある、と私は予想しています。上述のようなプレイヤーから発生する多くのイベントがメタバースの基盤になると予期しています。よそから押し付けられる物語などありません。プラットフォームの使用とそれらの事象がその歴史をどのように形成するかによって、すべてが生まれるのです。

分散化・プレーヤー主導型アクティビティにおける新たな観念を完全に実践に移したことで、The Sandboxのプレイヤーとクリエイターをいつの日かテクノロジーの画期的な瞬間として振り返られるようになるかもしれません。

もし新たなメタバースでの冒険に飛び込みたくなってもらえたなら、私たちのホームページhttps://www.sandbox.game/jp/ から最新情報をご確認ください。
また、ぜひコミュニティへの参加もお忘れなく!

Twitter: https://twitter.com/TheSandboxGame

Discord: https://discordapp.com/invite/vAe4zvY

Telegram: https://t.me/sandboxgame

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