主役が音楽から人に変わる音楽サービスをつくりたい
僕は普段個人で音楽系のWEBサービスをつくったりしているのですが、これから書くのは「自分がつくってみたい」ものについてです。
具体的な形は見えていませんので漠然としていますが。
ITがいろんなものを便利にしている昨今ですが、音楽に関してはテクノロジーを上手に使っていないのではないかと思うのです。全然音楽の本質に近づいていない気がしていて、もったいなさを感じます。
例えば「匂い」というものは、感じた瞬間に過去を思い出しますよね。思い出す以上にタイムスリップした気分になれます。
音楽も全く同じで、聴けばその音楽とともに生きていた日々を思い出します。この体験は特別なもので、だからこそ「懐メロ」という定義もされているんでしょう。
僕は人と音楽の関係の本質はこういう部分にあるのだと考えています。
音楽は、単に「いい曲だな〜」と楽しむだけのものではなく、時に人を救うものにもなりえます。つらいとき、悲しいときに音楽に救われた経験は多くの人が持っているでしょう。
このことは音楽に対する人々の共通認識であるにもかかわらず、上手にテクノロジーに乗っていない気がしているのです。
形となっている音楽自体がインターネットを通じて共有されているだけで、「音楽」が持つ感覚的なものをテクノロジーで上手に表現する在り方については全く模索がされていないのではないかと。
僕がつくってみたいサービスとは、「利用しているだけで、人と音楽の背景が感じ取れるサービス」です。
この感じ取れるというのが大事なところで、それは文章で説明されたものではダメなのです。あくまで、利用している中で無意識に感じ取れるもの。いっそのことサイトから「言葉」を排除してもいいかなと思っているくらいです。
TwitterやFacebookは利用されてる人は多いと思いますが、人が書いた近況だけが、本人を説明するものではないはずです。利用頻度や投稿内容の傾向を含める「そのサイトの使い方」に人間性が反映されています。
僕は音楽サービスでこれを表現したいのです。
「あの人がどういう恋愛をしたときに、どういう音楽を聴いていたのか」、「あの人はどういう音楽を聴くと、どういうツラかった日々を思い出すのか」、こういう背景がサービスを使っているだけで感じ取れたら素敵だなと思ってます。
人は悩んだときには、他人に重ね合わせて解決策を求めたりすることもあります。音楽で人の心を癒すことができるのならば、過去に同じ悩みを抱えていた友達や尊敬する人が聴いていた音楽を容易に知ることができる体験は貴重なのではないでしょうか。
今の音楽の共有というのは、既存のSNSに乗っかっているだけです。この共有の仕方では、僕が思っている音楽の本質には近づいていないわけです。
特に日本では音楽配信で海外に遅れをとっていますが、いっそのこと繊細な感情を持つ日本人だからこそ実現できる新しい音楽サービスの在り方を提案できるのはないかとも思っています。
僕はこれからListbandを伸ばしていくか、それとも全く新しいサービスをつくるかはわかりませんが、何か流れを大きく変えるようなサービスを実現したいと思っています。
今の時点では全く見えていないんですけどね。