LODGE XR Talk Vol.14で披露した「球体型ロボットと複合現実を活用したマルチエージェントシステム」の展示レポート

Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE
Published in
May 6, 2024

2024/04/16に開催された「LODGE XR Talk Vol.14」に参加し、「球体型ロボットと複合現実を活用したマルチエージェントシステム Boundary Blur」を展示しました。このイベントは、LINEヤフー株式会社が主催するトーク&体験イベントで、最新のXRトレンドやデバイス、コンテンツを紹介する場として開催されました。この記事では、参加した理由、当日の会場の様子、私の展示の様子、そして振り返りについてまとめます。

イベントについて

「LODGE XR Talk Vol.14」は、LINEヤフー株式会社のオープンコラボレーションハブLODGEが主催するイベントです。オープニングトークで最新のXRトピックが紹介され、その後は来場者が直接デバイスやコンテンツに触れる体験会が行われました。参加者は会場の紀尾井町オフィスに集まりましたが、YouTubeでのオンライン配信もあり、広範囲にわたって最新情報を共有していました。

イベントに参加した理由

私は過去の「LODGE XR Talk」に来場者として申し込んだ際、ハードウェアを作っている展示者が多くないため、経路の違う自分のプロジェクトを展示するのは少し遠慮していました。しかし、LODGE XR Talk Vol.10 Winter Specialに来場者側で参加してみて、そういった異なるアプローチを面白がってくれる展示者や来場者が多いことを感じたため、「Boundary Blur」を展示することを決めました。

また、xRの専門家の方々が自作ハードウェアとxRで構成される「Boundary Blur」をどう評価するか、特にxR界隈では見慣れたものであるLeapMotion 2を組み込んだ展示体験についての感想を聞くことにも興味がありました。専門家の視点からの意見やアドバイスを通じて、新たな知見を得て、Maker Faire Kyoto 2024に向けたプロジェクトの改善に活かしたいと考えました。

当日の会場の様子

イベントは19時にオープニングトークからスタートし、トークセッションではXRの最新トピックが紹介されました。その後の体験会では、参加者が最新のデバイスやコンテンツを体験し、展示者に直接質問することで知識を深めていました。会場全体が活気に満ち、xRに関心を持つ初心者から専門家まで、多様なレベルの参加者が集まっていました。

展示準備の時間が十分に設けられ、展示スペースも潤沢に用意されていたため、展示を行いやすい環境が整っていました。しかし、展示時間が短かったため、来場者は全ての展示をじっくり見ることができない様子でした。あっという間に時間が過ぎ去った感がありました。それでも、多くの方から参考になるアドバイスを聞くことができたのは有益で、2時間という短い時間ではありましたが、充実した交流の場となりました。

私の展示の様子

私が展示した「Boundary Blur」は、球体型ロボットと複合現実を活用したマルチエージェントシステムです。来場者は、システムの動作を興味深く観察し、実際の操作感や応用可能性について積極的に質問してくれました。特に、球体型ロボットとゲームAIを使った群制御の新たな可能性や、複合現実を操作インターフェースに用いた展示方法に興味を示す方が多く、意見交換が非常に活発に行われました。デモンストレーションでは、来場者がLeapMotion 2のハンドトラッキング技術を使って、球体型ロボットの動きを制御できるインタラクティブな展示が特に好評でした。

展示した「球体型ロボットと複合現実を活用したマルチエージェントシステム Boundary Blur」の動画

私自身の振り返り

維持すべき点

展示で成功した点はいくつかあり、特に以下の点は維持する価値があると考えます。

  • 装置の固定: LeapMotion 2は自転車用マウントと3Dプリンタ製のケースを使って三脚に固定していたため、取り外しや角度調整が簡単で、十分な距離も確保できました。
  • 接続の安定性: LeapMotion 2とiPad ProをEthernetケーブルで接続し、WebSocketで迅速な通信を実現しました。
  • サーバーの稼働: MacBook AirでWebSocketサーバーを稼働させたところ、2時間の展示中にファンの音やサーマルスロットリングの問題がなく、定期的な再起動がさらなる安定性を提供する可能性があります。
  • 注目されやすさ: 来場者が手で操作する様子は他の来場者の注意を引き、展示への興味を高めていました。
  • 非接触展示の重要性: 非接触での展示を可能にするLeapMotion 2により、展示物の体験性が向上し、来場者は心理的な安心感を保ちながらインタラクティブな体験を楽しめました。
  • ハードウェアと仮想空間の連動: 来場者は手の動きでハードウェアと仮想空間の物体が連動することを体感でき、展示の魅力を引き立てました。

問題点

一方で、展示で問題が見つかった点もいくつかあります。

  • NeoPixelの不具合: NeoPixelが機能しなくなり、基板のチェックが必要です。
  • Matrix LEDの問題: 移動中にMatrix LEDが断線しました。
  • LeapMotion 2の認識問題: 訪問者がLeapMotion 2を見逃すことが多く、展示の見せ方を再考する必要があります。
  • WebSocketの不安定性: 展示中にWebSocketサーバーの突然の切断が発生しました。
  • 新機能の未使用: 開発した新機能のうち、約10%しか試せませんでした。
  • ボール検出の困難: LEDの相性が原因でボールの位置検出が難しい場面がありました。

トライすること

次の取り組みで、今後の展示を改善する計画です。

  • ボールの挙動の改善: 現実の動きと異なるという指摘があったため、仮想空間のボールの動きをダイナミックにします。
  • 手の位置の微調整: 手の位置の微調整機能は役立ちましたが、操作に慣れが必要です。
  • 手の座標の突然の変更: 展示中に手の座標が突然変わる現象を調査します。
  • 動物の動きの多様化: 犬の動きが単調であったため、追いかけっこなどの動きを強化します。
  • 球体型ロボットの改善: LeapMotion 2により外部から仮想的に操作できるため、スマホアプリの自動操縦モードをオフにすることが適切です。

まとめ

「LODGE XR Talk Vol.14」では、多くのxR専門家や来場者から貴重なフィードバックを得られました。特に、LeapMotion 2を組み込んだ「Boundary Blur」について多様な意見を直接聞くことができたのは、イベントに参加した理由を達成することにつながりました。参加者や他の展示者との交流を通じて、作品の改善に向けたヒントや新しい視点を得られたこともあり、有意義な機会となりました。

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Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE

🗻Engineer, Maker 🎥http://youtube.com/@tichise