Maker Faire Tokyo 2020で展示をしてきました
2020年10月3日、4日に東京ビッグサイトで開催されたMaker Faire Tokyo 2020で展示をしてきました。準備と当日の様子をまとめます。
久しぶりに多くの知人に会えたので、とても楽しかったです。運営の皆さん、コロナ禍でリアルイベントを行うことが難しい中、イベントを開催していただきありがとうございます。
Maker Faire Tokyo 2020とは
毎年ビッグサイトで行われている日本最大のMaker Faireです。私は今回が4年連続4回目の参加でした。
過去のレポートは下のリンクから見れます。
例年は8月1週目に開催されてますが、今年はオリンピックで日程が変更になりました。そしてさらにコロナでリアル開催が危ぶまれてましたが、例年に比べて規模を縮小して無事開催されました。
イベント規模
出展者・スポンサーはおよそ210組くらいでした。去年は東京オリンピック開催に伴う東京ビッグサイトの利用制限により、会場が狭くなって展示数が大幅に減少してましたが、今年はコロナ対策でブース間隔をあけるためさらにブース数が少なくなりました。
- 2017年 450組
- 2018年 600組
- 2019年 350組
- 2020年 210組
ブース間隔が適度に確保されてたので、人が密集して怖いと感じることはなかったです。
展示したもの
いつものようにロボットボール omicroをアップデートして展示しました。代わり映えしない展示ですみません。
本当は新プロダクトや派手な新機能をだしたかったんですが、展示間隔が詰まると大きめの変更ができなくなるので、展示間隔が空いた今回はぐっと堪えて、地味だけど今後につながる土台の変更をメインでやりました。
土台を壊して作り直したので、筑波の時の完成度が60%だとすると、今回は5%くらいの状態で展示しました。
ハード側の変更
- 基板を変更。UnitVなどを差すため端子を追加。
- LEDの電源を変更。電池の持ちが良くなりました。ボールの電池交換はこれまでは日に2回行ってましたが、今回は日に1回で済みました。
- ボールのコーティング方法の変更。以前の展示で傷ついたボールを加工して再利用。ガラス材の塗装方法を変更して、ボールのダメージを軽減。
ソフト側の変更
- 操作用のiOS・iPadOS・watchOSアプリはこれまでUIKitとWatchKitで書いてましたが、今回これをiOS14で登場したSwiftUI 2.0に変更。アプリは全て書き換え。
- ライブラリもSwiftUI用に変更
- 操作用のジョイスティックをSwiftUI用に作成(詳細はこちら)
- 画面の表示要素が多くて操作が複雑になってたので、操作UIを再設計。UIの階層を深くしたので操作しづらくなるかもと思ってましたが、表に出る情報を絞ったことで、操作しやすくなりました。
- アプリ内ロガー、解析ツールを追加。操作ログを可視化して、展示中に不具合の調査を行えるようにした。あとログをエクスポートしてMLで扱えるようにした。
- スマホの利用可能時間を少しでも増やすためダークモード対応
- スマホアプリと接続してるすべてのomicroのセンサーの状態をリアルタイムで見えるようにした。
GitHubで作業をissueやプルリクにまとめて、淡々と消化しました。今回閉じたiOS関連のプルリクは全部で114。ファームウェアとライブラリ関連のものを含めると全部で140くらいだと思います。
操作アプリをリニューアルしたので、当日は大量のバグが出ました。テストでバグが出づらいモーションセンサー・BLE関連のバグが展示中に出るのはある程度 想定済みだったので、展示中は操作しながら事前に用意したアプリ内ロガーや解析ツールを使って不具合の原因を調査し、隙を見てアプリの修正を行なってました。
修正をいっぱい加えたので、初日朝と2日目の夜で別アプリになりました。
私の展示ブースの様子
例年は会社のMake部で展示をしてましたが、今年は人との接触をできるだけ避ける必要があったのでワンオペで展示しました。会場出口近くで大きな通路沿いだったので、ロボットボール omicroの操作は非常にしやすかったです。
展示者向けにサイン(休憩中、故障中、撮影可能、タッチ禁止)が配られたので、それらは百均のプラカードに入れて使いました。美術館の設置方法を真似しました。置き方に問題があった気もするのですが、これはあまり意味なかったです。大人も子供も気にせずボールを触ってました。机に置くだけだと見てもらえなかったので、次回は立てかけて目立つようにします。
テーブルクロスはAmazonで売ってた178cmのシャワーカーテンを購入して使用しました。高層ビル用なので防炎加工がされてて、安価で軽量、そして汚れにくく、サイズも横幅180cmのテーブルにちょうど合うサイズでした。幅178cmと書いてますが、幅180cmの机に被せても、横幅に余裕がありました。
バーチャル展示会場
Maker Faire Kyoto 2020 online、Virtyally Maker Faire 2020、夜のNT金沢 2020の時に作ったomicroのバーチャル展示会場をiPadで映して、それをプロダクトの構造説明時に使う予定でしたが、当日clusterがテザリング経由で起動した時にポートブロックされたので結局それは使わなかったです。
代わりにFusion 360で作ったomicroの3Dモデルを印刷して持っていきましたが、説明が捗ったので、これは持っていって正解でした。
Wifi環境に左右されるのはよくないので、次回展示時はclusterを使わずに素のUnityアプリにしてオフラインで展示します。
コロナ対策
運営からコロナ対策の厳格な出展ガイドラインが事前に共有されてました。取りまとめるのは大変だったと思いますが、これがあったお陰で安心して展示することができました。
運営や展示者、来場者のコロナへの過敏度が分からなかったので、自分はフェイスシールドとアルコール消毒液、消毒シートを用意しました。床での展示がメインなので、飛沫防止パネルは用意しないで、代わりにフェイスシールドを用意しました。
フェイスシールドは熱がこもらないのでこれだけ着用でOKなら便利なんですが、単体で使ってもあまり飛沫を防ぐ効果がないようなので、マスクと併用して使いました。
アルコール消毒液は効能が最も高いエタノール 70%(w/w)前後の物を使うと消防法上の危険物と見なされるので、60%未満の業務用の物を使いました。これと消毒シートでプロダクトとブースを頻繁にふいて展示しました。
ホテル
ビッグサイトすぐ近くのワシントンホテルの値段が安くなってたので、展示1日目の夜に利用しました。Agoda経由の予約で1泊¥4000くらいでした。この値段でこの立地なら来年も泊まりたいです。
当日の自分の展示様子
1日目は久しぶりの展示で私がomicroの操作方法を忘れてたので、操作方法を思い出しながら慎重に展示しました。ソフトが不具合だらけだったので、watchOSアプリはほぼ使わなかったです。
2日目は勘が少し戻ったので、時折watchOSアプリでの操作を挟みながら展示しました。腕の筋力や感覚が以前と変わってたので、展示しながらその辺りの差異をプログラムで補正してました。
会場の様子
1日目終了間際なので人がいないように見えますが、日中はたくさん人が来てました。
故障
蹴る・落とす・座って潰す・囲って潰す・ヒールリフトなどに起因する故障は今回なかったです。
omicroは壊れやすい・壊されやすいプロダクトなんですが、今回は壊れませんでした。
毎回壊れるたびに破損箇所を分析してフレームの設計や材質、ケーブルの配線や接着方法を変えてるので、故障は順調に減ってると思います。
今後やること
来場者の方から、「この状態のまま売って欲しい」「自律して動かしてほしい」「一緒に散歩したい」と言っていただくことが多かったので、その辺りに着手したいと思います。
今回のアプリや基板の改修はこれらを実現するためのものだったので、これらは淡々とやっていきます。
最後に
見にきていただいた皆さん、ありがとうございました。
今回の展示は代わり映えしない地味な展示でしが、作ってる人間のモチベーションは全く下がってませんし中身はちゃんとアップデートされてるので、これからも根気強くブースを訪れて進捗をせっついていただけると嬉しいです。