Pepapbo Maker Festival 9をSpatialで開催しました

Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE
Published in
Oct 26, 2021

2021年10月15日にPepabo Maker Festival 9をSpatial上で開催したので、その様子についてまとめます。

Spatialをギャラリーとして利用してる事例はネットで探せば多く見つかります。これらを参考にすれば展示会を行えるだろうと考えてましたが、実際はSpatialのシステム側の制約が多くて思ってたより大変でした。

Pepabo Maker Festivalとは

Pepabo Maker Festival(PMF)は、GMOペパボ社内で行っている有志のパートナーによる自由な作品展示会です。自分で作ったものなら、ハンドメイド・イラスト・写真・ゲーム・小説・動画・同人誌・料理・音楽などジャンル問わずなんでも展示が可能です。

2019年まではペパボの東京・福岡・鹿児島オフィスで開催してました。東京オフィスでは3ヶ月に1回の頻度で定時後に行ってました。

2020年はコロナ禍でオフィスに集まるのが難しかったのでPMFを行いませんでしたが、代わりにペパボの公式イベント お産合宿とコラボして開催しました。その際はバーチャルSNS clusterを使いました。

clusterは、ソロ展示だとUnityを使って凝った空間を作れるのが良かったのですが、複数人で使う場合には共同作業しにくいのが課題でした。

この問題をMaker Faire Tokyo 2021のオンラインイベントで利用したSpatialを使えば解決できると考えたので、今回初めてオンライン展示イベントで使ってみました。

事前準備

スケジュール

展示準備は以下のスケジュールで行いました。

  • 9/10 社内アナウンス
  • 10/1 展示申し込み締め切り
  • 10/5 Spatial上で説明会
  • 10/13 展示締め切り
  • 10/14 運営確認
  • 10/15 展示本番

Spatialの操作方法に慣れてもらうため、イベントの前にSpatial上で展示者向けの説明会を行いました。この時にSpatialの操作方法について説明し、展示者同士で操作方法の共有が行えたのがよかったです。展示者と運営者の双方の不安を取り除くため事前説明会を行なって事前にツールに慣れておくのは大事だと思いました。

展示締切後に運営メンバーで行った点検で、会場にアップロードされてる展示コンテンツ(ファイル)に問題があることが複数見つかりましたので、展示締切日に関しては、もう少し余裕を持った方がよかったと思ってます。

展示物

PMFのルールに沿ったもの(自分で作ったものなら、ハンドメイド・イラスト・写真・ゲーム・小説・動画・同人誌・料理・音楽などジャンル問わずなんでも展示が可能)であれば、ファイルフォーマットはなんでもありにしました。画像や動画のアップロードがメインになると思ってたので、アップロードするファイルのフォーマットには制限を設けませんでした。

Blenderで作成したアニメーション付きのGLBファイルや360度画像を3Dオブジェクトに貼り付けてアップロードしてる猛者もいて、当初考えてたより展示物やファイルに関しては種類豊富になりました。

展示物が華やかになった一方で、Spatialが会場に影響があるファイル(Spatial 3D Model Preparation Guide Target file metricsを逸脱するようなファイルやBlender以外で作成したGLBファイル)を全然Validationしてくれないので、それらのファイルを確認して展示者に修正依頼を出すのに時間がかかりました。不具合が見つかった際は、会場のコピーをSpatialの機能で作成して、1個ずつファイルを削除しながら会場の動作を確認しました。Oculus版のSpatialアプリは、Spatialの1 Spaceの総メモリ使用量が表示可能です。会場のファイルのチェックの際は、これがとても役立ちました。

会場の動作チェックは大変だったので、次にやるときは、全ファイルのファイルサイズと、3Dモデルの生成方法に関してルールを設けて、事前に問題を取り除くようにしたいと思います。

展示物の設営方法

展示者に直接会場に入ってファイルアップロードをして設営してもらうスタイルを取りました。展示場所に関しては、オンサイトのイベントのように細かく展示場所を指定することはしませんでした。会場に均等に配置してくださいと伝えたら、各自が判断していい感じに展示してくれました。

会場

今回はBoardroom LoungeとGalleryという2つのSpace Templateを使いました。Boardroom Loungeを入り口にして、そこから3つのGalleryに遷移するようにしました。

当初は1つのSpaceをABCDの区画に分けて、そこに全ての展示物を配置して、その会場のフルコピーを4つ作る計画でした。しかし会場設営を進めていくうちに、これには問題があることが分かりました。

全ての展示物(今回のブース数は20ブースくらい)を1会場にまとめると、Spatialを起動するデバイス側のメモリが足りなくなったり、あとは会場の同時接続数が減少したり、さらに会場のローデイング時間が3分かかるようになったりました。これでは使い物にならないので、最終的にはABCDのブースをAとBとCDの3会場に分散して、これらを解決しました。

会場の導線

3つのSpaceに人が均等に入って負荷分散するようにしたかったので、1つのエントランスSpaceと3つの展示Spaceはお互いに直接飛べるようにしました。オンサイトの美術館のように一本道に並べることも考えましたが、会場が重い場合に、すぐに別会場に移動できるようにする方を優先しました。

運営メンバー

運営スタッフは自分を含めて4名で行いました。4名いれば余裕だろうと思ってましたが、Spatial会場内に設置するドキュメントや案内板の用意、会場の分割、ファイルのチェックに思ってたより時間がかかったので、人数はちょうどよかったです。

イベント当日

イベント当日は朝から会場を公開状態にして、社員であればいつでもログインできるようにしました。コアタイムを19時から22時に設定し、この時間には展示者が会場に来場するようにしました。コアタイムに一気に人が来ると予想してましたが、日中の暇な時間や、イベント当日以外の日に訪れる人が思ったより多かったです。

Space分割すると、1 Spaceの滞在者が減って体験が落ちると考えてましたが、実際に開催してみたらSpaceごとに会話の輪ができてて、SpaceがGatherの話題別テーブルみたいになってました。来場者が自分の喋りたいテーマの会話に好きなタイミングで入って好きなタイミングで抜け出せていたので、結果的に分割して良かったです。

まとめ

Spatialの公式マニュアルに詳しく書かれてないシステム上の制約にぶち当たって苦労することが多かったです。Spatial公式には「Host up to 32 people in a room」と書かれてますが、これはSpaceに3Dオブジェクトが何も置かれてない場合の最大値です。展示イベントを行う場合は、これより厳しくなると考えて、会場を設計すると良いと思います。

最後に

Spatialの共同でファイルアップロードして、作業できる機能はとても便利でした。今後はこの展示会場を常設展にして、ちょっとずつ付け足しできる展示会を作っていきたいと考えてます。

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Takuya Ichise
TAKUYA ICHISE

🗻Engineer, Maker 🎥http://youtube.com/@tichise